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第101話 あばれるGカップとヘラクレス

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 凶悪なハリボテを手に持ったまま、近づいてきたエレナに【お尻痒くな~る】を放ったキモヲタ。

 最初のうちは、赤毛のGカップ美女がベッドにお尻をすりつける様子を見て、キモヲタは楽しんでいました。

 スリスリッ! バルンバルン! スリスリッ! バルンバルン! 

「さすがエレナ殿! 見事なおっぱいがバルンバルンしてるでござるよ! バルンバルンでござる!」

「ちょ、ちょっと! ア、アタシが悪かったから、と、止めて、アハァアアン♡」

 バルンバルンするエレナの巨乳を、さまざまな角度から観賞するキモヲタでした。

 しかし、現在はまだ賢者モードが残っていることもあり、

「ほほう。これはなかなか見事なものでござる」

 あとでオカズにするための脳内撮影を、冷静沈着に続けていたのでした。

 スリスリッ! バルンバルン! スリスリッ! バルンバルン! 

「お、お願いだから、こ、これをとめて頂戴、アアアァン♡」

「あいにく我輩には、これを止める力を持ってないでござるよ。そのうち収まるのを待つでござる」
 
 スリスリッ! バルンバルン! スリスリッ! バルンバルン! 

「ま、待つっていったいどれくらいなの? アハァァア♡」

「これまでの経験上、だいたい1時間から1日くらいでござるよ」

「い、一日!?」

 エレナの顔が真っ青になりました。

 キモヲタはエレナからヘラクレスを取り上げると、それを彼女の目の前で振りながら言いました。

「同情はするでござるが、我輩の警告を無視するのが悪いでござる。これで我輩がこのハリボテの先端を向けられることをどれだけ恐れているか、分かってもらえたでござるな」

 スリスリッ! バルンバルン! スリスリッ! バルンバルン! 

「わ、分かったわ! もう分かったから、このかゆさを何とかしてぇえ!」

 エレナが声をあげると、部屋の扉がドンッと音を立てて開かれました。

 扉の向こうには、キーラとエルミアナが立っていました。

 そして二人は同じものを見たのでした。

 ベッドにお尻をすりつけて、バルンバルンとGカップを揺らしているエレナと、その前でヘラクレスを持つキモヲタ。ちょうどスイッチを入れたところでした。

 スリスリッ! バルンバルン! スリスリッ! バルンバルン! 

 ヴォオオオン! グリングリン! ヴォオオオン! グリングリン! 

 目を見開いたままフリーズするキーラとエルミアナ……そしてキモヲタ。

「キモヲタ! 何してるの!」
 
 ダッ!

 と最初に動いたのはキーラでした。キーラはキモヲタに一直線に突進すると、そのお腹にガブリと噛みつきました。

「ひぃぃいぎゃぁああああ!」

 お腹にキーラの歯が喰い込んだキモヲタは、ヘラクレスを手放して、そのままベッドの上に倒れてしまいました。

「なにがあった!?」

 キモヲタの悲鳴を聞きつけてやってきたユリアスとセリアも、部屋の様子を見てフリーズしてしまいました。

 セリアが呆然自失して立っているエルミアナに問いかけます。

「エルミアナ、いったい何があったの?」

「えっ、えっと……キモヲタの部屋から変な声が聞こえるとキーラ殿が言ったので、一緒に部屋に来ました。そしたらベッドにお尻をすりつけているエレナ殿に、キモヲタ殿があのハリボテを向けていました。そしたらキーラ殿がキモヲタ殿に飛び掛かって、お腹に噛みついたのです」

 エルミアナは三行での概要を説明しました。

「ギルティ」

 セリアは判決をくだしました。

「おそらくエレナのお尻をかゆくして動きを封じ、無防備になった彼女にあのハリボテを使おうとしたんだわ」

「な、なるほど! さすがはセリア殿!」

 セリアの適当すぎる推理に、エルミアナは感心するのでした。
 
「キモヲタ様……そういうことは私にしてくだされば……」

 ユリアスが顔をキモヲタに向けて、切なげに言いました。

「うーっ! キモヲタのバカッ! バカッ! もう知らない!」

 ガブッ。

 キーラの歯がキモヲタのふとももに食い込みました。
  
「ひぃぃいぎゃぁああああ!」

 キモヲタの悲鳴が響くなか――
 
 ヴォオオオン! グリングリン! ヴォオオオン! グリングリン! 

 そしてヘラクレスは、床の上でガタガタと音を立てて跳ね回っているのでした。



~ 2時間後 ~

「なるほど、そういうことでしたか」

 ユリアスたちが、事情を把握することができたのは、エレナがお尻の痒みから解放された後のことでした。

「キモヲタ殿は、あの魔道具の使い方について考えていただけだったのですね」

 エルミアナが胸に手を当てて、ホッとしたように言いました。ちなみにヘラクレスはキーラにあまり見せるものではないという判断で、すでにキモヲタのカバンにしまわれていました。
 
「だから、さっきからそう言っているでござろうが! 我輩にやましいことは一切ござらん!」

「キモヲタ、噛みついてごめん! ごめんね! 痛かったでしょ」

 誤解がとけたキーラは、目に涙をうかべながら、キモヲタのお腹を優しくなでまわしました。

「構わんでござるよ。キーラたんは、たんにヤキモチを妬いただけですからな」

 いつもなら、ここで猛然と反論するキーラでしたが、キモヲタのシャツに残っている血の痕を見て、その言葉を飲み込みました。

 犬耳がシュンっとなって、尻尾もだらりと下がっていました。

 キーラの姿を見てあわてたキモヲタは、キーラに向って云いました。

「【足ツボ治癒】で、もう傷は治ってござる。もう痛みはないでござるよ」

「ほんと?」

「本当でござる……あっ、尻尾の根元をクンクンしたら、傷は完全に治るかもしれないでござるな!」

 キーラの弱みにつけこんで、すかさず自分の欲望を果たそうとするキモヲタ。

「いいよ。はい……」

 そう言ってキーラは自分のお尻をキモヲタの方へと向けるのでした。

「なんですと!?」

 いつもと違うキーラの反応に驚くキモヲタ、一瞬、この機会を逃す手はないと思ったのでしたが……

 ジィィィィィ。

 女性陣からの冷たい目線に耐えきれず、

「じょ、冗談でござるよ。もう傷は完全に治っているのでござる!」

 その場で体操をして完治アピールするキモヲタでした。
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