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第96話 エレナの淫紋と罪と罰
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焚火の前で全裸になったエレナ。その身体には数多くの傷痕が残されていました。
火傷や切傷、打撲の痕、それぞれがどのような経緯でつけられたものなのかキモヲタには想像もつきませんでした。
ただわかったのは、それらの傷痕が事故によるものではなく、明らかに人為的に付けられたものであるということだけです。
エレナがどれだけ凄まじい地獄を見て来たのか、そのことを考えたキモヲタの身体に震えが走りました。
「あなたなら治せる? ……治してくれる?」
エレナは右手で自らの胸を隠し、左手でへそから下を隠しながら、キモヲタに問いかけました。
推定Gカップの巨乳美女が上目遣いで懇願する姿に、いつものキモヲタなら鼻血を出していたことでしょう。
惨たらしい傷がなければ。
エレナの傷を見たユリアスが、うめくようにつぶやきました。
「こ……こんな酷いことを誰が……一体なにがあったの?」
「アシハブアの貴族よ……」
エレナはゆっくりと左手をずらすと、その下にあるものをユリアスに見せました。
「「「なっ!?」」」
ユリアスとセリアとエルミアナが同時に驚きの声を上げました。彼女たちと同じものを見たキモヲタが苦々しい表情でつぶやきます。
「それは……淫紋でござるか……」
エレナのへその下には、蝶を模したような赤い刺青が彫られていました。
「そう淫紋……性奴隷の呪いよ。アシハブアのクソ貴族が私に刻んだの……」
キモヲタは、基礎のエロ知識としての淫紋のことを知っていましたが、現実に目にすると、それが本当にロクでもないものであることを痛感しました。
エレナは、アシハブア王国である貴族の愛人になりました。そのまま正妻を蹴落として、貴族の妻になることを企てていたのです。それが途中で発覚して、貴族の怒りを買った彼女は、性奴隷に落とされてしまったのでした。
やがて彼女の身体に飽きた貴族は、自分の部隊の兵士たちにエレナを投げ与えます。
「この傷は全部、彼らにつけられたものよ。顔だけは傷つけられなかった。服を着れば外から見ても分からないから。確かに私がしたことは許されることじゃないかもしれない。貴族の社会では普通にあることだとしてもね」
顔を真っ赤にしたユリアスが怒鳴り声をあげました。
「たとえエレナ殿に罪があったとしても、この仕打ちはあんまりです! そもそも貴族が淫紋など、恥知らずにも程がある!」
淫紋には、主が呪いを発動すると、その気のない者を無理やり発情させる効果が付与されています。表向きには淫紋はタブーとされているのですが、娼館などで女性たちに刻まれることは珍しくありません。
ただ王国の風潮として、貴族が淫紋を使うことは恥ずべき事とされていました。表立って口に昇ることはありませんが、金と権力にものを言わせることができる貴族たるものが、淫紋を使うのは恥とされていたのです。
「これが神様の罰だというなら受け入れたわ。王国の法が私を罪人だというなら、額の入れ墨と鞭打ちだって納得もする。でも、あいつが私をこんな地獄に落としたのは、正妻を陥れようとしたからじゃない。私が……」
エレナの瞳から大粒の涙が流れ落ちました。
「私が貧民街の出身だと知ったからよ……」
エレナが言っていることの意味がわからず、キモヲタはユリアスの方を向いて助けを求めました。ユリアスが苦々しい表情を浮かべ、キモヲタに事情を説明しました。
「恥ずかしながらアシハブア王国の王族や貴族の中には、そういう考えを持つものが少なくないのです」
セリアが瞳の中の青い焔を揺らめかせて、ユリアスの言葉に続きました。
「アシハブアでは、自分たちが神に選ばれた特権階級であると信じ、それ以外のもの全てを蔑むような貴族は珍しくない。特に人間至上主義者の連中は、魔族や亜人だけでなく、自国民でも下層階級のものに残忍になるものが多いわ」
エレナの傷のひとつを指差しながら、セリアはキモヲタに話しを続けました。
「残忍って言葉通りのことを、あいつらは平気でするの。もし、その貴族が人間至上主義者だったとしたら、この傷もエレナの言う通りのものでしょうね。そもそも正妻と愛人の争いなんて貴族にはよくあることよ。でも、その貴族が愛妻家で、エレナがその妻を殺してでもいない限り、ここまでしない……」
エレナがセリアの青い焔を見つめたまま、首を横に振りました。
「私は奥様の浮気現場に貴族を連れていっただけ。奥様も私のことを調べていて、私が貧民街の孤児院で育ったことを知っていた。その貴族は、自分の妻の浮気現場を押さえたことより、私の出身を聞いて激怒したの! あいつは私を地下牢に入れてこの悪魔の印を刻んで! 大勢の部下たちに投げ与えたの! そこで私は……私は! 私は!」
涙を流しながら語り続けるエレナが、どんどんと激昂していくのをキモヲタは手で制します。
「なにより治療が先でござる!」
キモヲタは、ずっとキーラの耳を塞いでいたエルミアナに手を放すように目で合図しました。耳が聞こえるようになったキーラに、キモヲタは耳栓と目隠しの準備を頼みました。
「それじゃキーラたん、エレナ殿の【足ツボ治癒】を始めるでござるよ!」
「わかった!」
キーラはキモヲタに目隠しと耳栓をした後、何が始まるのか分からず戸惑っているエレナをキモヲタの前に座らせました。
そしてキモヲタの手を取り、エレナの足裏に触れさせました。
「それでは【足ツボ治癒】を始めるでござる!」
キモヲタがエレナの足裏に、強く親指を押し込みました。
火傷や切傷、打撲の痕、それぞれがどのような経緯でつけられたものなのかキモヲタには想像もつきませんでした。
ただわかったのは、それらの傷痕が事故によるものではなく、明らかに人為的に付けられたものであるということだけです。
エレナがどれだけ凄まじい地獄を見て来たのか、そのことを考えたキモヲタの身体に震えが走りました。
「あなたなら治せる? ……治してくれる?」
エレナは右手で自らの胸を隠し、左手でへそから下を隠しながら、キモヲタに問いかけました。
推定Gカップの巨乳美女が上目遣いで懇願する姿に、いつものキモヲタなら鼻血を出していたことでしょう。
惨たらしい傷がなければ。
エレナの傷を見たユリアスが、うめくようにつぶやきました。
「こ……こんな酷いことを誰が……一体なにがあったの?」
「アシハブアの貴族よ……」
エレナはゆっくりと左手をずらすと、その下にあるものをユリアスに見せました。
「「「なっ!?」」」
ユリアスとセリアとエルミアナが同時に驚きの声を上げました。彼女たちと同じものを見たキモヲタが苦々しい表情でつぶやきます。
「それは……淫紋でござるか……」
エレナのへその下には、蝶を模したような赤い刺青が彫られていました。
「そう淫紋……性奴隷の呪いよ。アシハブアのクソ貴族が私に刻んだの……」
キモヲタは、基礎のエロ知識としての淫紋のことを知っていましたが、現実に目にすると、それが本当にロクでもないものであることを痛感しました。
エレナは、アシハブア王国である貴族の愛人になりました。そのまま正妻を蹴落として、貴族の妻になることを企てていたのです。それが途中で発覚して、貴族の怒りを買った彼女は、性奴隷に落とされてしまったのでした。
やがて彼女の身体に飽きた貴族は、自分の部隊の兵士たちにエレナを投げ与えます。
「この傷は全部、彼らにつけられたものよ。顔だけは傷つけられなかった。服を着れば外から見ても分からないから。確かに私がしたことは許されることじゃないかもしれない。貴族の社会では普通にあることだとしてもね」
顔を真っ赤にしたユリアスが怒鳴り声をあげました。
「たとえエレナ殿に罪があったとしても、この仕打ちはあんまりです! そもそも貴族が淫紋など、恥知らずにも程がある!」
淫紋には、主が呪いを発動すると、その気のない者を無理やり発情させる効果が付与されています。表向きには淫紋はタブーとされているのですが、娼館などで女性たちに刻まれることは珍しくありません。
ただ王国の風潮として、貴族が淫紋を使うことは恥ずべき事とされていました。表立って口に昇ることはありませんが、金と権力にものを言わせることができる貴族たるものが、淫紋を使うのは恥とされていたのです。
「これが神様の罰だというなら受け入れたわ。王国の法が私を罪人だというなら、額の入れ墨と鞭打ちだって納得もする。でも、あいつが私をこんな地獄に落としたのは、正妻を陥れようとしたからじゃない。私が……」
エレナの瞳から大粒の涙が流れ落ちました。
「私が貧民街の出身だと知ったからよ……」
エレナが言っていることの意味がわからず、キモヲタはユリアスの方を向いて助けを求めました。ユリアスが苦々しい表情を浮かべ、キモヲタに事情を説明しました。
「恥ずかしながらアシハブア王国の王族や貴族の中には、そういう考えを持つものが少なくないのです」
セリアが瞳の中の青い焔を揺らめかせて、ユリアスの言葉に続きました。
「アシハブアでは、自分たちが神に選ばれた特権階級であると信じ、それ以外のもの全てを蔑むような貴族は珍しくない。特に人間至上主義者の連中は、魔族や亜人だけでなく、自国民でも下層階級のものに残忍になるものが多いわ」
エレナの傷のひとつを指差しながら、セリアはキモヲタに話しを続けました。
「残忍って言葉通りのことを、あいつらは平気でするの。もし、その貴族が人間至上主義者だったとしたら、この傷もエレナの言う通りのものでしょうね。そもそも正妻と愛人の争いなんて貴族にはよくあることよ。でも、その貴族が愛妻家で、エレナがその妻を殺してでもいない限り、ここまでしない……」
エレナがセリアの青い焔を見つめたまま、首を横に振りました。
「私は奥様の浮気現場に貴族を連れていっただけ。奥様も私のことを調べていて、私が貧民街の孤児院で育ったことを知っていた。その貴族は、自分の妻の浮気現場を押さえたことより、私の出身を聞いて激怒したの! あいつは私を地下牢に入れてこの悪魔の印を刻んで! 大勢の部下たちに投げ与えたの! そこで私は……私は! 私は!」
涙を流しながら語り続けるエレナが、どんどんと激昂していくのをキモヲタは手で制します。
「なにより治療が先でござる!」
キモヲタは、ずっとキーラの耳を塞いでいたエルミアナに手を放すように目で合図しました。耳が聞こえるようになったキーラに、キモヲタは耳栓と目隠しの準備を頼みました。
「それじゃキーラたん、エレナ殿の【足ツボ治癒】を始めるでござるよ!」
「わかった!」
キーラはキモヲタに目隠しと耳栓をした後、何が始まるのか分からず戸惑っているエレナをキモヲタの前に座らせました。
そしてキモヲタの手を取り、エレナの足裏に触れさせました。
「それでは【足ツボ治癒】を始めるでござる!」
キモヲタがエレナの足裏に、強く親指を押し込みました。
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