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第94話 変態ソムリエと恋の占い師
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結局、エレナの荷馬車を押し出したキモヲタ一行は、どうしてもお礼をしたいというエレナの強引な誘いに折れて、その日の野営を共に過ごすことになりました。
エレナの荷馬車には、女が一人旅するには豪勢するぎるテントや食糧が積まれていました。
キモヲタがいつものカレースープを用意する際には、そのための具材をエレナが提供してくれました。
「ドルドル産のワインもあるわ。これは80年のヴィンテージなんだけど、お近づきの印よ」
エレナは人数分の杯を取り出すと、キモヲタたちにワインを注いでくれました。
「キーラちゃんには、マウンテンベリーの果実汁があるわよ。これは今朝の採りたてよ」
「あ、ありがと……んっ、これ美味しい!」
女性陣の中で最もエレナを警戒していたキーラですが、ジュースを口にした瞬間、その顔がほころびました。
「気に入ってくれたみたいね。沢山作ってあるから、お代わりしていいわよ」
「ほんと!? やった!」
キーラの尻尾がふりふりと動いて、警戒心は完全に解けてしまったのが誰の目にも明らかでした。
そんなキーラを見た、ユリアスとセリア、エルミアナが苦笑いを浮かべます。まだまだ子供だから仕方ないとキーラに生暖かい目を向けるのでした。
「それじゃ、今日の出会いを祝して、乾杯しましょうか」
エレナが乾杯の掛け声をかけると、キモヲタたちはワインを口に運びました。
そして数分後……。
「いやぁ、ドルドル産のワインは初めて口にしましたが、これほど口当たりが良いとは! 再現なく飲めてしまいますね」
ユリアスは乾杯のときからワインのおいしさに溺れ、エレナに対する警戒心を解除していました。セリアもユリウスと同じく、ワインに簡単に攻略されていました。
「古大陸でもこんなに美味しいワインを飲んだことはありません。まるでスピシディアの大森林をお散歩している幼女の、その足の裏にひっついた枯れ葉を思い起こさせるような……そんな素敵な味わいです」
「どこの変態ソムリエでござるか!? キーラたん、セリア殿に幼女趣味の変態疑惑ありですぞ! やはり夜中のトイレは我輩を起こすのが正解でござるよ!」
「キモヲタは耳を塞がないから嫌!」
「いやいや、セリア殿だって絶対に耳なんか塞いでないでござるよ! 思い出してござれ、キーラたんの呼び掛ける声に返事してるのではござらんか!?」
「そ、そういえば……」
「そうでござろう! ということは、つまりセリア殿だって音を聞いているのでござるよ、キーラたんのおしっ……」
バコンッ!
「ドブシッ!」
エルミアナがキモヲタの頭をグーで殴りました。
「食事中にそんな話をするのはやめてください! まったくアナタという人は……」
「アハハハ! こんな楽しい冒険者パーティーは初めてよ! それに変った組み合わせよね。人間にエルフに犬耳族……それにオークと魔女?」
エレナの視線がキモヲタとセリアに向けられました。
「我輩はオークではござらん!」
「私は魔女ではないです」
その返事に怒気が含まれていることを察したエレナは、すぐに二人に謝りました。
「ごめんなさい。不躾だったわ。誰もがそれぞれ事情を抱えているものよね」
その謝罪の言葉に完全に納得したわけではないものの、キモヲタもセリアもこうした誤解には慣れているので、二人とも何も言わずにこの場を収めることにしました。
二人が何かを呑み込んだことを見届けたエルミアナが、今度はエレナに話を向けました。
「そういう貴方は、どうして一人で旅をしているのですか? 今のようなご時世、女性が一人で旅をするなど相当な危険を伴うでしょう」
エルミアナの質問にエレナがどう答えるのかと、キモヲタたちも食事の手を止めてエレナの返答を待ちました。
「私は占い師なの。ある貴族のお抱えとして雇われていたんだけど、そいつの女癖が悪くてね。私に手を出そうとしてきたから逃げ出してきたのよ。もちろん奥様に報告してからね」
「占い師!? 貴方は星を読むものなのか? それとも魂の色を見るものか?」
エルミアナが喰いつきました。
「えっ!? ま、まぁ、そうね。私はどちらも嗜んでいるけれど、どちらかというと恋占いとかが専門かな」
「恋占い!?」
今度はユリアスが喰いつきました。
「エレナ殿、も、もしよろしければ、私とキモヲタ様の相性を占って……」
熱い視線をエレナに向けるユリアスの言葉に、セリアが割って入りました。
「主に身体の相性を観てください。どちらが本当の受けと攻めなのかを……」
「黙るでござる! この腐れ魔女!」
「白いオーク! 今、言っちゃ駄目な言葉を二つも口にしたな! いいでしょう、その喧嘩買ってあげましょう!」
セリアが瞳の奥に宿る青い焔を揺らめかせ、キモヲタに向いました。
「おう! やってやるでござるよ! そのプリケツを馬車の車輪に擦り付けさせて、一晩中喘ぐがいいのでござる!」
バコン! バコン!
「二人とも、そこまでにしてください!」
エルミアナがキモヲタとセリアの頭をグーで殴りました。
「申し訳ござらん」
「ごめんなさい」
涙目の二人を見て、エルミアナはため息をつきました。
そんな彼らのを様子を見ていたエレナ。
(うふふ。この冒険者パーティーのヒラエルキーと人間関係は把握したわ)
楽しそうに笑いながらも、その目の奥には隙のない光が輝いているのでした。
エレナの荷馬車には、女が一人旅するには豪勢するぎるテントや食糧が積まれていました。
キモヲタがいつものカレースープを用意する際には、そのための具材をエレナが提供してくれました。
「ドルドル産のワインもあるわ。これは80年のヴィンテージなんだけど、お近づきの印よ」
エレナは人数分の杯を取り出すと、キモヲタたちにワインを注いでくれました。
「キーラちゃんには、マウンテンベリーの果実汁があるわよ。これは今朝の採りたてよ」
「あ、ありがと……んっ、これ美味しい!」
女性陣の中で最もエレナを警戒していたキーラですが、ジュースを口にした瞬間、その顔がほころびました。
「気に入ってくれたみたいね。沢山作ってあるから、お代わりしていいわよ」
「ほんと!? やった!」
キーラの尻尾がふりふりと動いて、警戒心は完全に解けてしまったのが誰の目にも明らかでした。
そんなキーラを見た、ユリアスとセリア、エルミアナが苦笑いを浮かべます。まだまだ子供だから仕方ないとキーラに生暖かい目を向けるのでした。
「それじゃ、今日の出会いを祝して、乾杯しましょうか」
エレナが乾杯の掛け声をかけると、キモヲタたちはワインを口に運びました。
そして数分後……。
「いやぁ、ドルドル産のワインは初めて口にしましたが、これほど口当たりが良いとは! 再現なく飲めてしまいますね」
ユリアスは乾杯のときからワインのおいしさに溺れ、エレナに対する警戒心を解除していました。セリアもユリウスと同じく、ワインに簡単に攻略されていました。
「古大陸でもこんなに美味しいワインを飲んだことはありません。まるでスピシディアの大森林をお散歩している幼女の、その足の裏にひっついた枯れ葉を思い起こさせるような……そんな素敵な味わいです」
「どこの変態ソムリエでござるか!? キーラたん、セリア殿に幼女趣味の変態疑惑ありですぞ! やはり夜中のトイレは我輩を起こすのが正解でござるよ!」
「キモヲタは耳を塞がないから嫌!」
「いやいや、セリア殿だって絶対に耳なんか塞いでないでござるよ! 思い出してござれ、キーラたんの呼び掛ける声に返事してるのではござらんか!?」
「そ、そういえば……」
「そうでござろう! ということは、つまりセリア殿だって音を聞いているのでござるよ、キーラたんのおしっ……」
バコンッ!
「ドブシッ!」
エルミアナがキモヲタの頭をグーで殴りました。
「食事中にそんな話をするのはやめてください! まったくアナタという人は……」
「アハハハ! こんな楽しい冒険者パーティーは初めてよ! それに変った組み合わせよね。人間にエルフに犬耳族……それにオークと魔女?」
エレナの視線がキモヲタとセリアに向けられました。
「我輩はオークではござらん!」
「私は魔女ではないです」
その返事に怒気が含まれていることを察したエレナは、すぐに二人に謝りました。
「ごめんなさい。不躾だったわ。誰もがそれぞれ事情を抱えているものよね」
その謝罪の言葉に完全に納得したわけではないものの、キモヲタもセリアもこうした誤解には慣れているので、二人とも何も言わずにこの場を収めることにしました。
二人が何かを呑み込んだことを見届けたエルミアナが、今度はエレナに話を向けました。
「そういう貴方は、どうして一人で旅をしているのですか? 今のようなご時世、女性が一人で旅をするなど相当な危険を伴うでしょう」
エルミアナの質問にエレナがどう答えるのかと、キモヲタたちも食事の手を止めてエレナの返答を待ちました。
「私は占い師なの。ある貴族のお抱えとして雇われていたんだけど、そいつの女癖が悪くてね。私に手を出そうとしてきたから逃げ出してきたのよ。もちろん奥様に報告してからね」
「占い師!? 貴方は星を読むものなのか? それとも魂の色を見るものか?」
エルミアナが喰いつきました。
「えっ!? ま、まぁ、そうね。私はどちらも嗜んでいるけれど、どちらかというと恋占いとかが専門かな」
「恋占い!?」
今度はユリアスが喰いつきました。
「エレナ殿、も、もしよろしければ、私とキモヲタ様の相性を占って……」
熱い視線をエレナに向けるユリアスの言葉に、セリアが割って入りました。
「主に身体の相性を観てください。どちらが本当の受けと攻めなのかを……」
「黙るでござる! この腐れ魔女!」
「白いオーク! 今、言っちゃ駄目な言葉を二つも口にしたな! いいでしょう、その喧嘩買ってあげましょう!」
セリアが瞳の奥に宿る青い焔を揺らめかせ、キモヲタに向いました。
「おう! やってやるでござるよ! そのプリケツを馬車の車輪に擦り付けさせて、一晩中喘ぐがいいのでござる!」
バコン! バコン!
「二人とも、そこまでにしてください!」
エルミアナがキモヲタとセリアの頭をグーで殴りました。
「申し訳ござらん」
「ごめんなさい」
涙目の二人を見て、エルミアナはため息をつきました。
そんな彼らのを様子を見ていたエレナ。
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