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第61話 真剣な話? 我輩だって小人の巨乳を真剣に見てござる!
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翌朝、再び村長宅を訪ねたキモヲタ一行。
ユリアスとしては、賢者の石について色々と話を聞かせてもらう絶好の機会だと考えていたのですが、村長はカレーに心を完全に奪われたらしく、ほとんどカレーの話題に終始していました。
困り果てたユリアスを見て、キモヲタは手持ちのカレーをすべて振る舞うことに決めました。
「キモヲタ様、よろしいのですか?」
キモヲタのカレー好きを知っているユリアスや他の三人は、目を丸くして驚いています。一方で、白髭の小人村長は期待に目を輝かせていました。
「なに構わないでござるよ。このままではこの村長はカレー以外の話をさせてくれないでござるからな」
そう言ってキモヲタは、リュックの中からレトルトカレーの袋を出し、ドンっと村長に手渡しました。
「50袋はござる。村長、これは空き家を貸して頂いている礼と、ユリアス殿への情報料として受け取っていただきたい」
沢山のカレー袋を見て、村長と一緒にその場にいたミミとノノアが、声を上げて大喜びしていました。
「こ、こんなにカレーが! 」
「わーい! キモヲタありがとう!」
「カレー一杯で嬉しい!」
ニコニコ顔の村長は、キモヲタに感謝の言葉を述べると、自分の知っていることなら何でも話しましょうとユリアスに言いました。
「で、では、お言葉に甘えて……。実は私たち、”賢者の石”を探して旅を続けているのですが……」
キランッ!
キラッ!
ギロッ!
賢者の石という言葉が出た瞬間、村長とミミ、ノノアの目に、不穏な光が宿りました。部屋の温度が数度下がったような空気をユリアスは感じ取りました。
が、それはほんの一瞬のことで、すぐに村長たちはにこやかな笑顔に戻りました。
「ほほう。賢者の石を求めてウドゥンの森にいらしたと」
村長の声はいたって普通だったので、ユリアスやキモヲタたちも、さっきの不穏な空気は何かの間違いかなと思い直しました。
そしてユリアスが続けます。
「はい。私たちが得ている情報では、ウドゥンキラーナという森の魔神が賢者の石を持っているということで、その魔神の行方を追っているところなのです」
ユリアスの発言を聞いて、村長たちはカッと目を見開きます。
「ウドゥンキラーナ”様”じゃ!」
「ウドゥンキラーナ様は魔神じゃない!」
「女神様だよ!」
村長の言葉に「もしかしてウドゥンキラーナは彼らが祀る神なのでは?」と察したユリアスはすぐに謝罪しました。
「し、失礼しました。その女神ウドゥンキラーナ様が賢者の石をお持ちになっていると聞き及んでおりまして……」
言い直したユリアスに、村長は再び笑顔に戻るものの、その目の奥には何か怪しげな光が宿っていました。
「ほうほう。皆様は、賢者の石を求めてのぅ……。なるほどなるほど。それで、もし女神様が賢者の石を持っていたとして、どうなされるおつもりなのかのう」
柔らかな物言いではあったものの、ユリアスは村長の言葉に鋭い何かを感じていました。
「お譲り頂けないか交渉するつもりですが、それが出来ないときは仕方がありません。諦めます」
「諦めて……それで済むものなのかの?」
「はい。それが私の依頼主の意志でもあります。もし手に入れられずとも、『誰が賢者の石を所持しているか』が判れば良いと。それに情報を信じる限り、賢者の石はもう一つあるそうなので、そっちを探すことになるかもしれません」
村長が黙ったままユリアスの目を見つめていました。
ミミとノノアがユリアスの目を鋭く睨んでいました。
セリアとエルミアとキーラは、村長やミミ、ノノアを睨み返していました。
そしてキモヲタは、視線を一点に集中していました。
ノノアの小人にしては大きなパイオツに全精神を集中して脳内RECをしていました。
(一見すると二次元にしか存在し得ないロリ巨乳に見えるノノア殿でござるが。昨晩の雑談を装った我輩の調査でノノア殿は、ミミ殿と生まれ年を同じくする妹君とのこと。そしてミミ殿はこの小人族においてご立派な成人男性。ということはつまりノノア殿もその大きな胸と同じく成人女性ということでござる。ノノア殿は、人間の我輩から見ればおこちゃまなので、そのボディに不釣り合いな爆乳の持ち主にしかみえません。が、その実、ノノア殿は成人女性! ということは、つまり、これは紳士協定適用外のタッチOKのロリ巨乳、合法ロリ巨乳ということでござる! ふぉおおおお!)
全然タッチOKではないのですが、キモヲタはノノアの巨乳に思考力の全てを振り向けていたために、周りのピリピリした空気に一切気が付くことがありませんでした。
「ふおぉおおお!」
突然、鼻息を荒くしたキモヲタに全員の視線が集まりました。そして、キモヲタの視線が自分の胸に向けられているのを察したノノアが胸を隠し、キーラがキモヲタのお腹に噛り付きました。
「ふぎゃあぁぁ!」
キモヲタの悲鳴で、緊張した空気は一気に霧散し、村長は再び笑顔を浮かべてユリアスたちに向き直りました。
「はて、ウドゥンキラーナ様が”賢者の石なるもの”を持っているという話はとんと聞いたことがありませんな。のぉ、ミミ、ノノア」
「そんなの聞いたことないな!」
「うん、見たこともないよ!」
「そ、そうでしたか……」
その後、取り留めないことを話した後、そのまま解散となりました。
その日の晩は、村のカレースープパーティーに招かれて、キモヲタたちも参加したのでした。
キモヲタたちがカレースープを食べているところへミミとノノアがやってきて、キモヲタたちのカップに白い飲み物を注いで回りました。
「どうぞどうぞ、これは大陸牛のミルクで作った”アーシェの生乳搾りラッシー”です! とってもおいしいですよ!」
「とってもおいしいのです!」
「ラッシーですと! まさか異世界にきてカレーにぴったりなドリンクがいただけるとは!」
ゴクゴクッ!
「うまいでござるっ!」
キモヲタがとても美味しそうに飲む姿を見て、他の四人も興味津々でラッシーを飲み始めました。
「「「「おいしい!」」」」
「そうでしょ! たくさんあるからたくさん飲んでください!」
「たくさんのんでください!」
そうして、キモヲタたち全員がお代わりをしていると。
バタンッ!
全員がそのままテーブルに突っ伏し、そのまま意識を失ってしまうのでした。
ユリアスとしては、賢者の石について色々と話を聞かせてもらう絶好の機会だと考えていたのですが、村長はカレーに心を完全に奪われたらしく、ほとんどカレーの話題に終始していました。
困り果てたユリアスを見て、キモヲタは手持ちのカレーをすべて振る舞うことに決めました。
「キモヲタ様、よろしいのですか?」
キモヲタのカレー好きを知っているユリアスや他の三人は、目を丸くして驚いています。一方で、白髭の小人村長は期待に目を輝かせていました。
「なに構わないでござるよ。このままではこの村長はカレー以外の話をさせてくれないでござるからな」
そう言ってキモヲタは、リュックの中からレトルトカレーの袋を出し、ドンっと村長に手渡しました。
「50袋はござる。村長、これは空き家を貸して頂いている礼と、ユリアス殿への情報料として受け取っていただきたい」
沢山のカレー袋を見て、村長と一緒にその場にいたミミとノノアが、声を上げて大喜びしていました。
「こ、こんなにカレーが! 」
「わーい! キモヲタありがとう!」
「カレー一杯で嬉しい!」
ニコニコ顔の村長は、キモヲタに感謝の言葉を述べると、自分の知っていることなら何でも話しましょうとユリアスに言いました。
「で、では、お言葉に甘えて……。実は私たち、”賢者の石”を探して旅を続けているのですが……」
キランッ!
キラッ!
ギロッ!
賢者の石という言葉が出た瞬間、村長とミミ、ノノアの目に、不穏な光が宿りました。部屋の温度が数度下がったような空気をユリアスは感じ取りました。
が、それはほんの一瞬のことで、すぐに村長たちはにこやかな笑顔に戻りました。
「ほほう。賢者の石を求めてウドゥンの森にいらしたと」
村長の声はいたって普通だったので、ユリアスやキモヲタたちも、さっきの不穏な空気は何かの間違いかなと思い直しました。
そしてユリアスが続けます。
「はい。私たちが得ている情報では、ウドゥンキラーナという森の魔神が賢者の石を持っているということで、その魔神の行方を追っているところなのです」
ユリアスの発言を聞いて、村長たちはカッと目を見開きます。
「ウドゥンキラーナ”様”じゃ!」
「ウドゥンキラーナ様は魔神じゃない!」
「女神様だよ!」
村長の言葉に「もしかしてウドゥンキラーナは彼らが祀る神なのでは?」と察したユリアスはすぐに謝罪しました。
「し、失礼しました。その女神ウドゥンキラーナ様が賢者の石をお持ちになっていると聞き及んでおりまして……」
言い直したユリアスに、村長は再び笑顔に戻るものの、その目の奥には何か怪しげな光が宿っていました。
「ほうほう。皆様は、賢者の石を求めてのぅ……。なるほどなるほど。それで、もし女神様が賢者の石を持っていたとして、どうなされるおつもりなのかのう」
柔らかな物言いではあったものの、ユリアスは村長の言葉に鋭い何かを感じていました。
「お譲り頂けないか交渉するつもりですが、それが出来ないときは仕方がありません。諦めます」
「諦めて……それで済むものなのかの?」
「はい。それが私の依頼主の意志でもあります。もし手に入れられずとも、『誰が賢者の石を所持しているか』が判れば良いと。それに情報を信じる限り、賢者の石はもう一つあるそうなので、そっちを探すことになるかもしれません」
村長が黙ったままユリアスの目を見つめていました。
ミミとノノアがユリアスの目を鋭く睨んでいました。
セリアとエルミアとキーラは、村長やミミ、ノノアを睨み返していました。
そしてキモヲタは、視線を一点に集中していました。
ノノアの小人にしては大きなパイオツに全精神を集中して脳内RECをしていました。
(一見すると二次元にしか存在し得ないロリ巨乳に見えるノノア殿でござるが。昨晩の雑談を装った我輩の調査でノノア殿は、ミミ殿と生まれ年を同じくする妹君とのこと。そしてミミ殿はこの小人族においてご立派な成人男性。ということはつまりノノア殿もその大きな胸と同じく成人女性ということでござる。ノノア殿は、人間の我輩から見ればおこちゃまなので、そのボディに不釣り合いな爆乳の持ち主にしかみえません。が、その実、ノノア殿は成人女性! ということは、つまり、これは紳士協定適用外のタッチOKのロリ巨乳、合法ロリ巨乳ということでござる! ふぉおおおお!)
全然タッチOKではないのですが、キモヲタはノノアの巨乳に思考力の全てを振り向けていたために、周りのピリピリした空気に一切気が付くことがありませんでした。
「ふおぉおおお!」
突然、鼻息を荒くしたキモヲタに全員の視線が集まりました。そして、キモヲタの視線が自分の胸に向けられているのを察したノノアが胸を隠し、キーラがキモヲタのお腹に噛り付きました。
「ふぎゃあぁぁ!」
キモヲタの悲鳴で、緊張した空気は一気に霧散し、村長は再び笑顔を浮かべてユリアスたちに向き直りました。
「はて、ウドゥンキラーナ様が”賢者の石なるもの”を持っているという話はとんと聞いたことがありませんな。のぉ、ミミ、ノノア」
「そんなの聞いたことないな!」
「うん、見たこともないよ!」
「そ、そうでしたか……」
その後、取り留めないことを話した後、そのまま解散となりました。
その日の晩は、村のカレースープパーティーに招かれて、キモヲタたちも参加したのでした。
キモヲタたちがカレースープを食べているところへミミとノノアがやってきて、キモヲタたちのカップに白い飲み物を注いで回りました。
「どうぞどうぞ、これは大陸牛のミルクで作った”アーシェの生乳搾りラッシー”です! とってもおいしいですよ!」
「とってもおいしいのです!」
「ラッシーですと! まさか異世界にきてカレーにぴったりなドリンクがいただけるとは!」
ゴクゴクッ!
「うまいでござるっ!」
キモヲタがとても美味しそうに飲む姿を見て、他の四人も興味津々でラッシーを飲み始めました。
「「「「おいしい!」」」」
「そうでしょ! たくさんあるからたくさん飲んでください!」
「たくさんのんでください!」
そうして、キモヲタたち全員がお代わりをしていると。
バタンッ!
全員がそのままテーブルに突っ伏し、そのまま意識を失ってしまうのでした。
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