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第54話 キモヲタとうとう真実を語る……って最初から語ってござろうが!

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 ユリアスとセリア、そしてエルミアナに取り囲まれたときには「何事か」と警戒したキモヲタ。

 しかし、彼女たちがただ「パンティが欲しい」というだけのことだったことを知って、内心でホッと胸を撫で下ろすのでした。

 ところが既に事は「パンティ」だけでは納まらないところまで、彼女たちは来ていたのです。

 キーラのお尻を撫でまわしていたエルミアナが、キモヲタに真剣な眼差しを向けて言いました。キーラのお尻を撫でまわしながら言いました。

「カレーのときには何だかんだと一生懸命に言い訳しておられたので、私たちもあまり深く追及はしませんでしたが……。キモヲタ殿、何か私たちに隠していることがありますよね?」

「ギクッ!?」

 確かにキモヲタには隠していることが沢山ありました。

 そんなキモヲタの反応に気付いたセリアが、すかさず追及を続けます。

「最初からおかしいとは思っていました。あんなに大量のカレーをどこから持ち込んだのか。いえ……出してきたのかと。あなた……色々と隠していますよね?」

「ギクッギクッ!?」

 キモヲタの頭の中に、色々と思い当たるモノが浮かんでは消えていきます。

 そんなキモヲタの様子を見て、ユリアスが口を開きました。

「キモヲタ様、私たちは仲間ではないですか。信じてください。貴方がどのような隠し事をなさっていたとしても、私は全て受け入れる覚悟ができています」

 ユリアスが、まるで天使のように美しい笑顔で、キモヲタに向って両腕を広げました。

「あわわわわ……」

 キモヲタの全身から大量の汗が流れ出て行きます。

(ま、まさか、我輩がカレーと一緒に色々と購入したアダルトグッズのことがバ、バレているのでござるか。そ、そういえばキーラタソには、あの箱を見られてしまっていたでござる。そこから秘密が漏れて……)

 キモヲタの脳裡に、セーラー服の可愛い女の子の絵が描かれた箱や、顔を真っ赤にメスの顔をした爆乳少女の絵が描かれた箱や、お尻を突き出しながらこちらを振り返っているメイド少女の絵が描かれた箱や(以下略)の映像が浮かんできました。

(くっ! もしこんなところでバレてしまうのであれば、さっさと使っておけばよかったでござる! まさか、まだ一度も使わないまま、すべて破棄されてしまことになろうとは……)

 ……というキモヲタの懸念は、まったくの杞憂でした。

 セリアが瞳の中の青い焔を揺らめかせながら、キモヲタに問いかけました。

「あなた【空間収納】を持っているのでしょう?」

「えっ!? そんなものがあるのでござるか?」
  
「あら? その反応……どうやら違うみたいね」

 二人のやりとりを聞いていたユリアスがセリアに【空間収納】尋ねます。 

「分かりやすく言えば【魔法のカバン】のことよ。どんなものでも、いくらでもカバンに詰め込んで持ち運ぶことができるの」

「な、なるほど。それならキモヲタ殿が、あの沢山のカレーをいきなり出してきたというのも納得がいきます」

 納得するユリアスにエルミアナが、

「でも、キモヲタ殿は【空間収納】を知らなかった。つまり【魔法のカバン】は持っていないのですよね?」

「そういう便利なものがあるのでござれば、ぜひとも手に入れたいでござるな。デュフコポー」

 どうやら話の焦点がアダルトグッズにないことを知ったキモヲタ。安心したのでしょう。いつものキモヲタ呼吸が戻ってきたのでした。

「でも、あれだけ沢山のカレーを、私たちの誰も気付かないうちに一瞬で持ち込んだ。それだけじゃない、あのキーラにプレゼントしていた、明らかに普通じゃないクオリティのシャンティ……」

 そう言って、セリアがキモヲタをジッと見つめてきます。その瞳に浮かぶ青い焔を見て、キモヲタは思わず背筋が凍るのを感じるのでした。

「キモヲタ……あなたもしかして異世界人ね?」

「えっ!? キモヲタ様が異世界から来た人ということですか」

「ま、まさか……キモヲタはこの世界のオー……人間じゃないのですか?」

 そして、既に復活してベッドの上に腰かけていたキーラも、

「キモヲタは異世界から来たの!?」

 全員が驚愕した表情を浮かべて、キモヲタを見つめているのでした。

「最初からそう言ってござろうがぁぁぁ!」

 思わず怒鳴ってしまったキモヲタでした。

「最初からずっと我輩は自分のことを転移者てんいものと紹介してたでござろうが! というかエルミアナ殿はまだ我輩のことをオークとか言いかけてござったよね! 我輩のことを異世界オークとか思ってござるよね!?」

 キモヲタに詰め寄られたエルミアナが指で頬を掻きながら、そっと目を逸らしました。

「えっ……あっ……その……ごめんなさい」

 ユリアスは顎に手を当てて上を向きながら、一生懸命に思い出そうとしていました。

「そういえばそんなことを仰っていたような……」

 セリアはキモヲタに目を向けられても、まったく動じることなく冷静に答えました。

「ごめん。たぶん、そのときはオークの泣き声か何かだと思って聞いてなかったんだと思う」

「こん畜生でござるぅぅぅ!!」

 キモヲタの絶叫を完全にスルーして、セリアがキモヲタに尋ねました。

「で、あなたは異世界人で、あのカレーやシャンティは異世界人の不思議な能力を使って出したってことでいいのかしら」

「はい……」
 
 セリアに何を言っても、どうせ自分が望むような反応を一切返してくれないと悟ったキモヲタは、ただただうな垂れるのでした。
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