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第18話 ハーレム来る? 歓待の宴が始まりましたな!
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~ 白バラ騎士団隊舎 ~
本来であれば貴族を迎える客間に案内されたキモヲタ。周りを美しい女騎士たちに囲まれ、テーブルに並べられた豪勢な食事を楽しんでおりました。
「さぁさぁ、姫隊長を助けてくださったキモヲタ様への私たちからのささやかな御礼です。ご遠慮なさらずに……」
そう言ってワインを勧めてくるのは、銀髪のエルフ騎士エルフリーデでした。
エルフリーデは、キモヲタが魔族収容所に入れられたことを知ったユリアスから激しい叱責を受けていました。
サイクロプスによって仲間たちが小枝のように吹き飛ばされて命を失ったこと、ユリアス自身もほとんで死にかけていたこと、それをキモヲタに救ったこと。
そうした事実を、涙ながらに延々と語るユリアスの姿を見たエルフリーデは、自分がトンデモない間違いを犯してしまったのかを覚ったのでした。
いくら見た目がキモかろうと、いくら動きや息遣いが不審者だろうと、キモヲタは自分たちの姫隊長の命を救った恩人なのだと、いまでは理解しています。
ところが、そんな内心の変化を知らないキモヲタは、いくらエルフリーデの態度が軟化しようと、もはやエルフに対しては本能的な警戒心を抱くようになっていたのです。
それは、この世界で出会ったエルフたちが、不運な巡り合わせによって、すべてキモヲタに厳しく当たる者ばかりだったからでした。
「そ、それはどうもでござるよ……。しかし、あまりお酒を飲み過ぎて酔ってしまうと、イザというときに足がもつれてしまうとマズイので……」
「イザというとき?」
エルフリーデはキモヲタが何を言っているのか分からず、首をかしげました。まぁ、いつも訳の分からないことを言う生物なのだろうと、エルフリーデは納得して、キモヲタの発言をスルーしました。
「それなら、こちらの果実をどうぞ! とても甘くておいしいですよ」
キモヲタの隣に座っているユリアスが、身体をピッタリと寄せてきて、キモヲタにブドウのような果実を差し出しました。
パクッ!
まるで餌を与えられたひな鳥のように果実に喰いつくと、それはブドウの見た目に反して、口の中には桃の食感と甘味が広がるのでした。
「これは美味いでござるな!」
「でしょ、でしょ!? 私もネクタールが大好きなんですよ!」
キモヲタの手をとって嬉しそうにはしゃぐユリアス。身体の大きさとは裏腹に、まるで少女のような無邪気な笑顔を見せるのでした。そんなユリアスに、キモヲタは思わずトゥンクと胸が高鳴るのを感じてしまいます。
さらにはエルフリーデや他の女騎士たちまでもが、張り合うようにキモヲタに食べ物を進めてくるのでした。
思いもよらずハーレムっぽい状況になったキモヲタは、
(これは我輩がモテているということではなく、みんながユリアスを本当に大切に思っているのでござるな)
と、珍しく正解に辿り着くことができていたのでした。
そんな中、キモヲタに果実汁を勧めようとしていた女騎士が、
「痛っ!」
と声を上げて、グラスを取り落としてしまいます。
「ど、どうしたのでござる!? 大丈夫でござるか!?」
「ええ大丈夫です。それよりキモヲタ様の服を汚してしまって申し訳ありません」
謝りながら、ズボンを拭こうと手を伸ばす女騎士。
その裾から伸ばされた腕に、血の滲んだ包帯が巻かれていることにキモヲタは気づきました。
「その傷はどうなさったのでござるか!? 血が出ているではござらんか!?」
キモヲタの指摘を受けて、女騎士がサッと手元を隠します。
困惑したキモヲタがユリアスへ目を向けると、ユリアスは目を逸らしながらキモヲタに事情を話しはじめました。
「実は、私たち白バラ騎士団は、昨日、戦場から戻ったばかりでなのです。それで怪我をしている者も多く……」
「なんですと!? そんな状況で我輩のためにこのような宴を開いてござるか!?」
キモヲタが驚愕するのを見たユリアスは、慌てて両手を振りながら説明を続けました。
「い、いえ、ここにいるものは怪我をしてないか、軽傷の者だけですから……」
包帯に血が滲むほどの怪我を軽傷と言い切る感覚が、まったく理解できないキモヲタは、フンスと鼻息を荒くして、ユリアスに向き直ります。
「いますぐ治療するでござる! この騎士のほかにも怪我をしている者があれば、ぜんぶ連れてくるでござるよ!」
普段は女性を見てもおっぱいにしか視線を合わせず、美人を見ては脳内でAVに変換して録画するだけのキモヲタ。しかし、怪我人を目の前にしたときだけは、何がなんでも治癒しないと気が済まない人格に変わってしまうのでした。
そんなキモヲタの変化を目の前にして、ポカンとしているしているユリアスに、キモヲタは大きな声を上げます。
「今すぐ連れてくるのでござる!」
「は、はい❤ みんな! キモヲタ殿……キモヲタ様が治療してくださるわ! 怪我している人たちを連れてきて頂戴!」
「「はい!」」
ユリアスの指示で女騎士たちが一斉に動きはじめました。
彼女たちはテキパキと行動し、すぐに食事やテーブルが片付けられ、貴族を迎えるための客間は瞬く間に簡易治療所へと様変わりしました。
「まずは騎士殿の腕の傷を治しましょう。そこに腰かけてくだされ」
腕に血の滲んだ包帯を巻いた女騎士が、最初にキモヲタの【足ツボ治癒】を受けることになりました。
キモヲタが女騎士の足裏に手を添えると、たちまち緑の光が女騎士の全身を包みます。
グリッ! グリグリッ!
「あん❤ いやん❤ あっはぁぁぁん❤」
女騎士の顔が紅潮し、あられもない嬌声が響き渡ります。
幸いなことに腕の傷は、これだけで完全に治癒されました。
「……」※女騎士(真っ赤)
「……」※他の女騎士たち(呆然)
「……」※キモヲタ(汗)
その後に訪れた気まずい沈黙は、これまでキモヲタが冒険者ギルドで経験してきたものと同じものでした。
しかしキモヲタというのは進化する白豚。たくさんの怪我人を前にして、ここで挫けることはありませんでした。
キモヲタはユリアスに静かに視線を移し、厳かに告げます。
「我輩の治療にはこういう代償があるのでござる。なので……」
それからキモヲタの提案を聞いたユリアスは、直ちに部下にそれの用意をさせるのでした。
本来であれば貴族を迎える客間に案内されたキモヲタ。周りを美しい女騎士たちに囲まれ、テーブルに並べられた豪勢な食事を楽しんでおりました。
「さぁさぁ、姫隊長を助けてくださったキモヲタ様への私たちからのささやかな御礼です。ご遠慮なさらずに……」
そう言ってワインを勧めてくるのは、銀髪のエルフ騎士エルフリーデでした。
エルフリーデは、キモヲタが魔族収容所に入れられたことを知ったユリアスから激しい叱責を受けていました。
サイクロプスによって仲間たちが小枝のように吹き飛ばされて命を失ったこと、ユリアス自身もほとんで死にかけていたこと、それをキモヲタに救ったこと。
そうした事実を、涙ながらに延々と語るユリアスの姿を見たエルフリーデは、自分がトンデモない間違いを犯してしまったのかを覚ったのでした。
いくら見た目がキモかろうと、いくら動きや息遣いが不審者だろうと、キモヲタは自分たちの姫隊長の命を救った恩人なのだと、いまでは理解しています。
ところが、そんな内心の変化を知らないキモヲタは、いくらエルフリーデの態度が軟化しようと、もはやエルフに対しては本能的な警戒心を抱くようになっていたのです。
それは、この世界で出会ったエルフたちが、不運な巡り合わせによって、すべてキモヲタに厳しく当たる者ばかりだったからでした。
「そ、それはどうもでござるよ……。しかし、あまりお酒を飲み過ぎて酔ってしまうと、イザというときに足がもつれてしまうとマズイので……」
「イザというとき?」
エルフリーデはキモヲタが何を言っているのか分からず、首をかしげました。まぁ、いつも訳の分からないことを言う生物なのだろうと、エルフリーデは納得して、キモヲタの発言をスルーしました。
「それなら、こちらの果実をどうぞ! とても甘くておいしいですよ」
キモヲタの隣に座っているユリアスが、身体をピッタリと寄せてきて、キモヲタにブドウのような果実を差し出しました。
パクッ!
まるで餌を与えられたひな鳥のように果実に喰いつくと、それはブドウの見た目に反して、口の中には桃の食感と甘味が広がるのでした。
「これは美味いでござるな!」
「でしょ、でしょ!? 私もネクタールが大好きなんですよ!」
キモヲタの手をとって嬉しそうにはしゃぐユリアス。身体の大きさとは裏腹に、まるで少女のような無邪気な笑顔を見せるのでした。そんなユリアスに、キモヲタは思わずトゥンクと胸が高鳴るのを感じてしまいます。
さらにはエルフリーデや他の女騎士たちまでもが、張り合うようにキモヲタに食べ物を進めてくるのでした。
思いもよらずハーレムっぽい状況になったキモヲタは、
(これは我輩がモテているということではなく、みんながユリアスを本当に大切に思っているのでござるな)
と、珍しく正解に辿り着くことができていたのでした。
そんな中、キモヲタに果実汁を勧めようとしていた女騎士が、
「痛っ!」
と声を上げて、グラスを取り落としてしまいます。
「ど、どうしたのでござる!? 大丈夫でござるか!?」
「ええ大丈夫です。それよりキモヲタ様の服を汚してしまって申し訳ありません」
謝りながら、ズボンを拭こうと手を伸ばす女騎士。
その裾から伸ばされた腕に、血の滲んだ包帯が巻かれていることにキモヲタは気づきました。
「その傷はどうなさったのでござるか!? 血が出ているではござらんか!?」
キモヲタの指摘を受けて、女騎士がサッと手元を隠します。
困惑したキモヲタがユリアスへ目を向けると、ユリアスは目を逸らしながらキモヲタに事情を話しはじめました。
「実は、私たち白バラ騎士団は、昨日、戦場から戻ったばかりでなのです。それで怪我をしている者も多く……」
「なんですと!? そんな状況で我輩のためにこのような宴を開いてござるか!?」
キモヲタが驚愕するのを見たユリアスは、慌てて両手を振りながら説明を続けました。
「い、いえ、ここにいるものは怪我をしてないか、軽傷の者だけですから……」
包帯に血が滲むほどの怪我を軽傷と言い切る感覚が、まったく理解できないキモヲタは、フンスと鼻息を荒くして、ユリアスに向き直ります。
「いますぐ治療するでござる! この騎士のほかにも怪我をしている者があれば、ぜんぶ連れてくるでござるよ!」
普段は女性を見てもおっぱいにしか視線を合わせず、美人を見ては脳内でAVに変換して録画するだけのキモヲタ。しかし、怪我人を目の前にしたときだけは、何がなんでも治癒しないと気が済まない人格に変わってしまうのでした。
そんなキモヲタの変化を目の前にして、ポカンとしているしているユリアスに、キモヲタは大きな声を上げます。
「今すぐ連れてくるのでござる!」
「は、はい❤ みんな! キモヲタ殿……キモヲタ様が治療してくださるわ! 怪我している人たちを連れてきて頂戴!」
「「はい!」」
ユリアスの指示で女騎士たちが一斉に動きはじめました。
彼女たちはテキパキと行動し、すぐに食事やテーブルが片付けられ、貴族を迎えるための客間は瞬く間に簡易治療所へと様変わりしました。
「まずは騎士殿の腕の傷を治しましょう。そこに腰かけてくだされ」
腕に血の滲んだ包帯を巻いた女騎士が、最初にキモヲタの【足ツボ治癒】を受けることになりました。
キモヲタが女騎士の足裏に手を添えると、たちまち緑の光が女騎士の全身を包みます。
グリッ! グリグリッ!
「あん❤ いやん❤ あっはぁぁぁん❤」
女騎士の顔が紅潮し、あられもない嬌声が響き渡ります。
幸いなことに腕の傷は、これだけで完全に治癒されました。
「……」※女騎士(真っ赤)
「……」※他の女騎士たち(呆然)
「……」※キモヲタ(汗)
その後に訪れた気まずい沈黙は、これまでキモヲタが冒険者ギルドで経験してきたものと同じものでした。
しかしキモヲタというのは進化する白豚。たくさんの怪我人を前にして、ここで挫けることはありませんでした。
キモヲタはユリアスに静かに視線を移し、厳かに告げます。
「我輩の治療にはこういう代償があるのでござる。なので……」
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