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第15話 ようやく来ました冒険者ギルド! でござるよ。
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エルミアナの脅威から逃れたキモヲタは、レンジャーのミリアムによって奴隷として買い上げられたあと、魔族収容所を出て都市カリヤットへ入りました。
その後、ミリアムと共に奴隷商会を訪れ、そこで奴隷契約を解除して解放されたのでした。
「これでキモヲタさんは晴れて自由の身だよ。いちいち面倒な手間を取らせて申し訳なかったな」
そう言って、ミリアムはキモヲタに金貨の袋を手渡します。
「これを当分の資金に。ちゃんとした御礼はまた後日に改めてさせてもらう。あと他に何か必要なものがあれば言ってくれ」
「それならば……」
そうしてキモヲタがミリアムに頼んだのは「冒険者ギルド」を紹介してもらうことでした。
「冒険者ギルド? そういえばキモヲタさんは治癒が使えるんだったな。治癒師の需要はいつも高いから、多分すぐに冒険者パーティから声が掛かると思うぜ」
「おぉ、そうでござるか!」
「とはいえ、しばらくエルミアナと鉢合わせなんてのは避けた方が良いだろうから……ちょっと遠いが北区にあるギルドで登録するのがいいな。北区は治安もそれほど悪くないから、宿もそこで探すといい」
ミリアムの案内で、キモヲタは冒険者ギルドでの登録をスムーズに済ませることができました。さらに面倒見のよいミリアムは、武器屋に立ち寄ってキモヲタの装備を整え、道具屋で冒険者としての必需品を揃えてくれました。
「装備を揃えてもらったうえ、宿まで取ってもらって、これがお礼というなら今度はこちらの方が返さねばなりませんな。デュフコポー」
「なに気にしなくていい。エルミアナの命を救ってもらった礼は金貨千枚でも足りねぇくらいだよ。とはいえ、そこまで払えるほど俺たちは金持ちじゃないからな」
彼らに負担をかけてしまったと思ったキモヲタは、深く頭を下げるのでした。
「金持ちじゃないとは言ったが、俺たち『明けの明星』は冒険者業でそこそこ稼いでるんだよ。これくらいの出費は何てことねーから気にしないでくれ」
そう言ってミリアムは軽く手を振りながら、仲間の元へと戻っていきました。
~ 冒険者ギルド ~
翌日、キモヲタは早速、冒険者ギルドへ足を運びました。
冒険者登録の時に冒険者パーティー「明けの明星」のミリアムの口利きがあったこともあり、キモヲタは新人冒険者に対する洗礼を受けることなく、といって特に目を付けられるでもなく普通にギルドで行動することができました。
クエスト掲示板には、キモヲタが治癒師であり、冒険者パーティーへの参加を希望している旨が記載された木札がかけられています。
キモヲタは、ギルド付属の居酒屋で甘い果実汁を注文すると、テーブル席に腰を下ろして冒険者から声が掛かるのを待つのでした。
(とりあえず当面は、冒険者パーティとクエストの経験を積むことに重点をおくでござるよ。美少女だけのハーレムパーティーしか受け付けないとか、おっさんだけのパーティーはお断りなんて贅沢は言わぬように気をつけねばならぬでござるな)
そんな上から目線の思考を巡らせて、甘ったるい果実汁を啜っていると――
「あ、あの~。治癒師の方ですよね?」
キモヲタの木札を手にした、若い女性冒険者が声を掛けてきました。
「そうでござる! 我輩はキモヲタ、治癒だけでなく、敵を混乱させるちょっとしたスキルも使えるでござるよ」
キモヲタに声を掛けてきたのは、どうやら新人冒険者パーティーのようでした。
「あの、私たちまだ組んだばかりのパーティーで、今からゴブリン退治のクエストを受注しようと思うんです。できれば治癒師さんにもお手伝い頂ければって思って……」
キモヲタが声を掛けてきた女性の後ろに目を向けると、そこには剣士らしき青年と、魔法使いらしき女性、そしてエルフの男性が立っていました。そのエルフの男性がスっと前に進み出てキモヲタに話しかけてきました。
「ゴブリンは古い廃坑に最近住み着いた流れの者たちだ。大した脅威ではないが、まだ新しいパーティであるし、怪我をして撤退というのもつまらぬからな。治癒が使えるものを連れて行こうということになったのだ」
エルフ男がキモヲタに向ける視線は、どこか冷たく感じられました。
どうもこの異世界のエルフに対して苦手意識を抱きつつあるキモヲタでしたが、最初に自分が決めた通り、まずは経験と考えて、このパーティーに参加することにしました。
「わかったでござる。お手伝いさせていただくでござるよ」
キモヲタの返事を聞いた女性冒険者は、ほっとしたような表情を浮かべて、キモヲタに礼を言いました。
「ありがとう! それじゃ明日の朝出発ね! 廃坑はここから遠くないから、旨くすれば明後日には帰ってこれるはずよ!」
そして翌朝、
キモヲタと冒険者たちは、ゴブリン退治に向いました。
~ それから三日後 ~
キモヲタは、冒険者ギルド内のテーブル席で甘い果実汁を啜りながら、どこかの冒険者パーティが声をかけてくるのを待っているのでした。
お昼過ぎ、先日、共にゴブリン退治に向った新人冒険者パーティの女性が、キモヲタの前を通りがかりました。
女性冒険者は、キモヲタに気付くと一瞬目を背けてから、挨拶してきました。
「あっ、えっと……先日は、ど、どうも……」
キモヲタは「どうも」とそっけなく返事をして、女性冒険者がそそくさと去って行くのを見送りました。
続いて、同じ新人冒険者パーティーのエルフ男性が、キモヲタの前を通りかかりました。
エルフ男は、キモヲタに気がつくと、ズサーッと1メートルほど後ろに飛び下がりました。
それから気を取りなして、
「フンッ! 対価は払ったんだ、礼は言わんぞ」
と、キモヲタに向って言い放ち、そそくさと去って行きました。
キモヲタはその背中に向って、
「礼などこちらから願い下げでござるわ! このクッコロエルフが……」
と毒づくのでした。
ゴブリン退治の際に怪我を負ったエルフ男と、
それを【足ツボ治癒】したキモヲタ。
どちらにとっても、それはそれは辛い思い出が残るクエストとなったのでした。
「んほぉおおおおおお❤」
【足ツボ治癒】したときのエルフ男の嬌声が、まだキモヲタの耳に残って離れません。
その日初めて、キモヲタは異世界のお酒を浴びる様に呑んで、酔い潰れたのでした。
その後、ミリアムと共に奴隷商会を訪れ、そこで奴隷契約を解除して解放されたのでした。
「これでキモヲタさんは晴れて自由の身だよ。いちいち面倒な手間を取らせて申し訳なかったな」
そう言って、ミリアムはキモヲタに金貨の袋を手渡します。
「これを当分の資金に。ちゃんとした御礼はまた後日に改めてさせてもらう。あと他に何か必要なものがあれば言ってくれ」
「それならば……」
そうしてキモヲタがミリアムに頼んだのは「冒険者ギルド」を紹介してもらうことでした。
「冒険者ギルド? そういえばキモヲタさんは治癒が使えるんだったな。治癒師の需要はいつも高いから、多分すぐに冒険者パーティから声が掛かると思うぜ」
「おぉ、そうでござるか!」
「とはいえ、しばらくエルミアナと鉢合わせなんてのは避けた方が良いだろうから……ちょっと遠いが北区にあるギルドで登録するのがいいな。北区は治安もそれほど悪くないから、宿もそこで探すといい」
ミリアムの案内で、キモヲタは冒険者ギルドでの登録をスムーズに済ませることができました。さらに面倒見のよいミリアムは、武器屋に立ち寄ってキモヲタの装備を整え、道具屋で冒険者としての必需品を揃えてくれました。
「装備を揃えてもらったうえ、宿まで取ってもらって、これがお礼というなら今度はこちらの方が返さねばなりませんな。デュフコポー」
「なに気にしなくていい。エルミアナの命を救ってもらった礼は金貨千枚でも足りねぇくらいだよ。とはいえ、そこまで払えるほど俺たちは金持ちじゃないからな」
彼らに負担をかけてしまったと思ったキモヲタは、深く頭を下げるのでした。
「金持ちじゃないとは言ったが、俺たち『明けの明星』は冒険者業でそこそこ稼いでるんだよ。これくらいの出費は何てことねーから気にしないでくれ」
そう言ってミリアムは軽く手を振りながら、仲間の元へと戻っていきました。
~ 冒険者ギルド ~
翌日、キモヲタは早速、冒険者ギルドへ足を運びました。
冒険者登録の時に冒険者パーティー「明けの明星」のミリアムの口利きがあったこともあり、キモヲタは新人冒険者に対する洗礼を受けることなく、といって特に目を付けられるでもなく普通にギルドで行動することができました。
クエスト掲示板には、キモヲタが治癒師であり、冒険者パーティーへの参加を希望している旨が記載された木札がかけられています。
キモヲタは、ギルド付属の居酒屋で甘い果実汁を注文すると、テーブル席に腰を下ろして冒険者から声が掛かるのを待つのでした。
(とりあえず当面は、冒険者パーティとクエストの経験を積むことに重点をおくでござるよ。美少女だけのハーレムパーティーしか受け付けないとか、おっさんだけのパーティーはお断りなんて贅沢は言わぬように気をつけねばならぬでござるな)
そんな上から目線の思考を巡らせて、甘ったるい果実汁を啜っていると――
「あ、あの~。治癒師の方ですよね?」
キモヲタの木札を手にした、若い女性冒険者が声を掛けてきました。
「そうでござる! 我輩はキモヲタ、治癒だけでなく、敵を混乱させるちょっとしたスキルも使えるでござるよ」
キモヲタに声を掛けてきたのは、どうやら新人冒険者パーティーのようでした。
「あの、私たちまだ組んだばかりのパーティーで、今からゴブリン退治のクエストを受注しようと思うんです。できれば治癒師さんにもお手伝い頂ければって思って……」
キモヲタが声を掛けてきた女性の後ろに目を向けると、そこには剣士らしき青年と、魔法使いらしき女性、そしてエルフの男性が立っていました。そのエルフの男性がスっと前に進み出てキモヲタに話しかけてきました。
「ゴブリンは古い廃坑に最近住み着いた流れの者たちだ。大した脅威ではないが、まだ新しいパーティであるし、怪我をして撤退というのもつまらぬからな。治癒が使えるものを連れて行こうということになったのだ」
エルフ男がキモヲタに向ける視線は、どこか冷たく感じられました。
どうもこの異世界のエルフに対して苦手意識を抱きつつあるキモヲタでしたが、最初に自分が決めた通り、まずは経験と考えて、このパーティーに参加することにしました。
「わかったでござる。お手伝いさせていただくでござるよ」
キモヲタの返事を聞いた女性冒険者は、ほっとしたような表情を浮かべて、キモヲタに礼を言いました。
「ありがとう! それじゃ明日の朝出発ね! 廃坑はここから遠くないから、旨くすれば明後日には帰ってこれるはずよ!」
そして翌朝、
キモヲタと冒険者たちは、ゴブリン退治に向いました。
~ それから三日後 ~
キモヲタは、冒険者ギルド内のテーブル席で甘い果実汁を啜りながら、どこかの冒険者パーティが声をかけてくるのを待っているのでした。
お昼過ぎ、先日、共にゴブリン退治に向った新人冒険者パーティの女性が、キモヲタの前を通りがかりました。
女性冒険者は、キモヲタに気付くと一瞬目を背けてから、挨拶してきました。
「あっ、えっと……先日は、ど、どうも……」
キモヲタは「どうも」とそっけなく返事をして、女性冒険者がそそくさと去って行くのを見送りました。
続いて、同じ新人冒険者パーティーのエルフ男性が、キモヲタの前を通りかかりました。
エルフ男は、キモヲタに気がつくと、ズサーッと1メートルほど後ろに飛び下がりました。
それから気を取りなして、
「フンッ! 対価は払ったんだ、礼は言わんぞ」
と、キモヲタに向って言い放ち、そそくさと去って行きました。
キモヲタはその背中に向って、
「礼などこちらから願い下げでござるわ! このクッコロエルフが……」
と毒づくのでした。
ゴブリン退治の際に怪我を負ったエルフ男と、
それを【足ツボ治癒】したキモヲタ。
どちらにとっても、それはそれは辛い思い出が残るクエストとなったのでした。
「んほぉおおおおおお❤」
【足ツボ治癒】したときのエルフ男の嬌声が、まだキモヲタの耳に残って離れません。
その日初めて、キモヲタは異世界のお酒を浴びる様に呑んで、酔い潰れたのでした。
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