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本編
第3話 魔道省魔道具課臨時職員研究室(↗)
しおりを挟む現時点でオレが寝泊まりしているのは、王城職員官舎だ。
なんだかんだと、初日に借りた客間に約半年間居続けた。
最初の詰め込みスパルタ教育期間・・・
授業が終わった途端、バタンキューだったからな。
教育期間が終了し、修理や改良をしまくっていた時、材料などを調達する為に何度か魔道省魔道具課に行った。
たまたま煮詰まっていた職員に改善提案をしたら、ドンピシャ!
民間の意見を参考にしたいと言われ、職員にならないかと薦められた。
オレは魔道学園には通っていないので、魔道具技師の資格を持っていないと言って断った。
後日、教育係から臨時職員としてだったら、許可すると言われた。
興味があったし、許可も降りたので職員になることにした。
魔道省の魔道具課など、エリート中のエリートである。
学園で専門的に学んでいた者でも、希望すれば入れる訳ではない狭き門なのである。
臨時でも職員には変わりないので、職員官舎が利用できるらしい。
材料や資料の調達には都合が良いし、色々と思うところがあったので、半年間借りていた客間から引っ越した次第だ。
王城に来て、1年になる。
専用の研究室を貰って、3か月が経過した。
「だ~か~ら~、こっちは藁をも掴む思いなんですよっ!
背に腹は代えられないんですっ!
相手が誰でも、ヒントの欠片さえっ、切欠さえ貰えれば何とかなるかもしれないんです。
邪魔しないでくださいっ!」
何だ!何だ?賑やかだな・・・
若い男の叫び声が、扉の向こうから聞こえて来た。
扉は閉まっているのに此処まで聞こえるなんて、どれだけ大声なんだ?!
「失礼しまっす!」
いや、ノック位しろよ!
入って良いとも言っていないぞ!?
「お忙しいところ、誠に申し訳ございませんっ!
只今作成中の魔道具に付きまして、ご意見・ご感想、改善提案等を頂きたくまかりこしました次第でありまっす。
どうぞ宜しくお願い申し上げまっす。」
・・・何か、言葉が滅茶苦茶だな・・・
年若い男性が勢いよく入ってきたと思ったら、物凄い勢いで頭を下げた。
「えーと、取り敢えず座って!」
立派な応接セットが備え付けで置いてあるので、そっちに案内する。
「物は何?」
兎に角、見てみないことには始まらない
「これに成りまっす!」
・・・少し、落ち着け?
携帯用の灯りかな?
「これを、どうしたいのですか?」
改良かな?それとも作り直し?
ちょっと、わくわくしてきた!
「光量をあげたいでっす!」
ふむ、改良か・・・
「・・・それから?」
どう改良していきたいのかな?
わくわく!
「それからって・・・?」
おいおい、ガッカリさせるなよ!
「えーと、携帯用なら、旅先で使うのかなと思いまして。
生活防水のままで良いのですか?」
何処で、どんな風に使うかで、使う素材が違うからな!
何が使えるかな?
在庫、在ったかな?
「・・・光量、上がるんですか?」
話、聞いてる?
「え?勿論上がりますよ?」
え?何?使っている公式、初歩の初歩じゃん?
卒業したばかりだと、こんなもんなのかな?
光量を調節出来るようにしたいって事だよな?
周りから教えてもらえないの?
何、こいつ、いじめられてんの?
「上がるんですか・・・」
何か、可哀想になってきた・・・
「俺で良ければ、教えて差し上げますよ?」
へたれた犬耳の幻覚が見えてきた・・・
「・・・宜しくお願いします・・・」
ふっ、やるからには徹底的にっ!
「では、先ず、誰が・何時・何処で・どの様にに使うのを想定しているのか教えて頂けますか・・・?」
「父が仕入れの旅先で使用している携帯手提灯が大きい割に明るくないので、もっと持ち運びしやすく明るい物を作りたいと思いました。」
「材料にこれを使った理由は?」
「軽く作れるし、生活防水位で問題ないかと思いました。」
「サイズを小さくするには、どうすれば良いか解りますか?」
「えーと、本体を小さくするだけじゃダメですよね?」
「この光量に定めた理由は?」
「夜しか使用しないと聞いたので、暗い中でも簡単な食事が出来る位の光量としました。」
「なるほど、了解しました。
では、サイズを小さくするにあたっての、公式の書き換えをしましょう。
その後、光量を何段階調節可能にするのか考えましょうか。
食事時だけではなく、夜道を歩けるように、
また、探し物がしやすいように、光量を絞ることも検討しましょう。
防滴・防水・耐水にする場合での、それぞれ適した素材は何が考えられますか?」
・・・懐かれた・・・
最近言われる内容が変わってきた・・・
纏わり付いてくる、年下同僚のお陰かもしれない。
「ふん、学園にすら通えなかった貧乏人めが!」
学費、どんだけ掛かると思ってンだよ!
一般人に無茶言うなっ!
↓
「魔道具職人の癖に、生意気なっ!」
えーと、新しい魔道具を凝視しながら言っているって事は、誉められてんのかな?
↓
「所詮、我々魔道技師には及ばぬ輩よ!」
いや、カラーリングのセンスを貶されても、痛くも痒くも無いんだが・・・
つ、使い勝手が良ければ・・・色彩センスなんて・・・
・・・ちょっと悔しい・・・
==========
2018年9月16日
アルファポリス投稿
もっちり道明寺♪作
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