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本編
序章 王太子執務室
しおりを挟む王太子執務室に呼ばれた。
呼び出されるのは初めてではない。
だが、正規の手続きを得て呼び出されたのは、初めてだった・・・
「城に来て、3年・・・か・・・?!」
王太子が、静かに話し始めた。
「そうですね・・・3年・・・経ちました・・・」
オレも静かに答える。
「上の娘が城を出て・・・連絡を寄こさなくなって・・・5年が経った・・・」
城に来た頃には、もう既に音信不通だった第一王女だ。
「このまま帰って来ない様なら、跡継ぎに据えねばならん・・・」
王太子には王女が2人、いるだけだからな・・・
「つまりは、嫁にはやれんという事だ・・・」
そりゃ、そうだろう・・・
「まだ、魔道省に通っているのか?」
いきなり話が変わった?
「・・・?はい、書類仕事をしたあと、午後に臨時職員として出仕しています。」
国の魔道具技師達が在籍する魔道省魔道具課に、臨時職員として在籍させてもらっている。
通常だと考えられない程の、特別待遇だ・・・
エリート中のエリート達が在籍している。
色々な経験談を聞いたり、参考意見を貰ったり、時には熱く議論・討論するのがとても楽しい。
一部から反感を買っていたが、最近はそれほど悪くはない。
おそらく、何か手を打ってくれたのだろう。
有難い事だ。
「寝泊まりは、官舎だと聞いたが・・・誠か・・・?!」
恐る恐る聞いてくる王太子。
「はい、官舎の方が色々と都合が良いので・・・」
彼女は城に部屋を用意してくれようとしたのだが、断った。
本音は、いつでも出て行ける様に・・・
「引継ぎと引越しには、どの位時間が必要だ?」
・・・最後通牒か・・・
「一日あれば、充分です。」
城から出て行けと言う事か・・・
いや、国からかな・・・?
「周りが早く結婚をと、焦り始めてな・・・」
それはそうだろう・・・跡継ぎを早く作れって事か・・・
「明後日の朝、部屋を出ます・・・」
荷物は少ない。
引継ぎだけだ。
「・・・すまない・・・苦労を掛けるな・・・」
王太子が、静かに、ひとこと・・・
「・・・いえ・・・」
オレも、静かに、ひとこと、答えた・・・
==========
2018年9月16日
アルファポリス投稿
もっちり道明寺♪作
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