上 下
34 / 58

牡丹鍋

しおりを挟む
3階層では新たに狼系のモンスターのグリーンウルフが出てきた。


「ご主人様、右に飛べ!」


アンナの叫びを聞き右に飛ぶ。


飛んだ瞬間、グリーンウルフの牙が空を切る。


そして立ち直ったマサトはカウンターの一撃をグリーンウルフの首に入れる。


「くそ!動きが早いうえに連携がとれている。」


この時点で既に5匹のグリーンウルフを倒しているがまだ4匹残っている。

「ご主人様大丈夫か!」


「ああまだやれる。」


それから10分後、マサトは少なくない傷を負いながらもなんとか撃退に成功する。


「ご主人様、血が出ているぞ。
裏異空間へ戻るか?」


「いや、これくらいなら大丈夫だ。
それにしても1匹づつならゴブリンより弱いくせに、連携が上手いから中々切り崩せないな。
それと色がグリーンで森に溶け込んでるから接近に気付けないのも痛いな。」


「さっきのご主人様のカウンターは良かったな。
あれで連携が崩れて後は楽勝だった。」


「誉めてくれてありがとう。
ただアンナが居なければ俺一人ではまだ無理だな。」


マサトはレベルが8まで上がりゴブリン相手には遅れは取らないまでになったが、それでもグリーンウルフの連携には手を焼いていた。



「この階層はグリーンウルフだけみたいだな。
グリーンウルフの毛皮は売れるみたいだけど積極的に狩りたいモンスターではないな。」



「ご主人様と同意見だ。
素早い分、戦闘時間も長くなるし逃げられたら水の泡だしな。
それに毛皮も雀の涙程度らしいし効率は悪いな。」


グリーンウルフは狼系のモンスターだけあって頭が良く、自分達が不利だと思うと倒される前に逃げていく事もしばしばあり、アンナとマサトが言うようにとても効率の悪いモンスターだった。


「馬車の中で聞いた話だと他の冒険者達も3階層は効率が悪いから極力エンカウントしないようにして4階層に一気に駆け抜けるそうだ。」


「じゃぁ私達も一気に4階層へ向かおう。」



そして1日かけて走り抜け、4階層まで降りる。


「4階層は猪のモンスターしか出ないそうだ。
みんな罠にかけて倒すらしい。」


すれ違う冒険者達は、手押し車や馬車を連れていた。


「個体がデカいから解体しても1匹で手いっぱいになるんだろうな。
オークもデカいが、猪のほうがひと周りもふた周りも大きいしな。」


このダンジョンは初心者しか来ないので、マジックバックのような高級品は皆持っていない。

そうなると手押し車の荷台に詰め込むしか選択肢はない。


落とし穴で倒すと落とし穴自体に経験値が入るのか、戦って倒すよりも経験値が非常に少なくしか入らない。

経験値の振り分けは謎仕様たが、ファンタジーだからと深く考えるのは止める。


「ご主人様、私達はどうする?」


「言われるまでもなく、俺達はレベルを上げるのが目的だ。
狩れる数は減るかもしれんが、戦ってその分の経験値を優先しよう。」


「よし分かった。
今日は牡丹鍋だな!」


アンナの尻尾が全開で左右に揺れていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比の狂った世界で愛を振りまく

キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。 その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。 直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。 生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。 デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。 本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

現代にモンスターが湧きましたが、予めレベル上げしていたので無双しますね。

えぬおー
ファンタジー
なんの取り柄もないおっさんが偶然拾ったネックレスのおかげで無双しちゃう 平 信之は、会社内で「MOBゆき」と陰口を言われるくらい取り柄もない窓際社員。人生はなんて面白くないのだろうと嘆いて帰路に着いている中、信之は異常な輝きを放つネックレスを拾う。そのネックレスは、経験値の間に行くことが出来る特殊なネックレスだった。 経験値の間に行けるようになった信之はどんどんレベルを上げ、無双し、知名度を上げていく。 もう、MOBゆきとは呼ばせないっ!!

迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~

飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。 彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。 独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。 この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。 ※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

処理中です...