異空間から始まる40歳の冒険

ホー助

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オヤジ

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奴隷商会見てきた。
見てきたけど高いよ…。
誰だよ塩と胡椒でチート出来るって言った奴。
今のペースだと後2ヶ月は塩、砂糖、胡椒を大量納品しなくちゃいけないよ。

でも2ヶ月で人一人買えると思えばチートなのか?

まぁいいか、今日このまま裏異空間に帰ってゆっくりしよう。


そう思って露店を眺めてながら門に向かっていると奴隷を露店で売っているのが見えた。


先程の値段を見て買えないだろうと思いつつも足はそちらに向いていた。


「おっ、兄ぃちゃん奴隷はいらないかい?」


ハゲたオヤジが声をかえてくるが、兄ちゃんって歳は遙か前に過ぎたオッサンだぞ。


「あー、奴隷欲しいんだけど、さっきあそこの奴隷商会行ったら金が全然足りなくてね…。」


苦笑いしながらオヤジに言葉を返す。


「あー、あそこの奴隷は質がいいから、どちらかというと貴族や大きな商会向けだぞ。
うちのは質はあそこに負けるけど、その分安いぞ。」


確かに奴隷達の顔には疲労感があり結構痩せている。
商会の奴隷達は化粧もバッチリしていたし変に痩せている人もいなかったな。


オヤジと話をしたが確かに結構安くギリギリ買えるかも位の奴隷が居るとの事で奥を見させてはもらった。


「アナタ日本人ね!助けて!」


突然奥の奴隷が入った籠から声が聞こえる。



「オヤジ、ちょっと喋ってもいいか?」


「ああ、触ったりしなければ構わないさ。」


その奴隷は黒髪黒目の日本女性風で高校生か大学生辺りの年齢に見える。


「アナタ日本人ですね。お願いですから私を買って助けて下さい。
お願いします…。」

そう言うとその女性の奴隷から大粒の涙が溢れ出す。


「え?本当に日本人ですか!
なんでこの世界に…?」


マサトは自分だけ異世界に来たものだと思っていたので頭が混乱している。


「私は病気で病院で死にました。
そうすると神様が現れ願いを聞いてくれるというので異世界で料理チートして楽しく過ごしたいとお願いしました。」

「目覚めると異世界だったんですが、スキルは ゛料理(神)゛を授かっていました。
ただ目覚めたのが森の中でモンスターに追われボロボロになりながらなんとか数日逃げ続けました。
そして街道に出た辺りで倒れていた私をあのオジサンが助けてくれたのですが、奴隷として商品になるかこのまま野垂れ死ぬか選択をしろと言われ、私は奴隷を選びました。」


うーん、このオヤジ結構悪くどいかも。
いや、この世界でなら普通なのか…。
盗賊とかであれば犯され売られとか考えれば一応人助けなのか?


「それでなんで俺が日本人だと分かった?」

「はい、黒目黒髪はもちろんですが、着ている服…ジャージですよね…。」


ああ忘れていた。
休日出勤してたから、職場でジャージ着ながら仕事してたんだっけな。
洗ってはいるけど、そのままずっとこれを着ているな。
動きやすいしな。


オヤジは何言ってんだ?位で興味なさそうに後ろで立っている。


「オヤジ、この子はいくらだ?」


「ん?そいつはさっき兄ちゃんが言ってた有り金全部とで交換でいいぞ。
黒目黒髪はもっと東の方の国に行かないと人気が無くて全然売れないからな。
それに身体も貧相だから余計に売れやしない。」


有り金全部って…。
話の内容からかなりサービスしてくれてるんだろというのは分かる。

身体も貧相とは…えーと、まぁあまり無いかも…。

セミロングの髪で日本人のマサトからすれば十分美人に見える。


「わかりました。買います。
あっ出来たらこの子の後ろで苦しそうに寝込んでる子も付けて下さい。」

ダメ元で頼んでみる。


「んん?兄ちゃんにはかなわねぇーな。
ただその奴隷は数日中には死ぬぞ。
先週くらいから熱がひかず意識もほとんど無いぞ。
それで、よければ付けてやるよ。」


「オッケーですよ。
じゃこれ俺の全財産です。」


「それじゃ契約するから奴隷紋に兄ぃちゃんの血と俺の血を一滴づつ垂らすぞ。」


オヤジはそう言い終わると同時にマサトの指にいきなり針を突き刺した。


痛っ!
くっそ!
心の準備があるんたよ!


そして二人の左肩にある奴隷紋に血を垂らす。


一瞬小さく奴隷紋が光り契約は終わった。



オヤジはにこやかな顔で両手を振ってくる。

「まいど!また来いよ!」

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