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魔法がとけるチョコみたいにー3
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『魔法少女マジカル・ガール・アンド・チョコレート参上! くらえ! ラブラブチョコレートビーム!』
『すげえな、加々雄! 砂のお城がチョコのお城になったぞ!』
『スゴいわねー、加々雄君。ちょっと先生と一緒に来ようかー? ……。いい? 加々雄君。君は男の子なの。いくらユニゾンでもそんな女の子みたいな格好をするのはダメよ』
『でも僕はこのユニゾンで、悪い奴らをやっつける兵士になりたいんだ!』
『加々雄! また父さんに隠れてユニゾンの特訓をしたな! 兵士に憧れるのはやめろと何度言ったら分かるんだ! 男がそんな格好でうろつくなんて、恥さらしもいいとこだ!』
『なあ、知ってるか? 時評のユニゾン。男のくせに女みたいな格好になるユニゾンらしいぜ』
『近寄らないで、この変態』
『俺のユニゾンは誰からも望まれてないのか……。確かに年を取るごとに恥ずかしくはなってきたけど、それでもこのユニゾンなら多くの人の役に立てる……。それなのに……。それなのに……』
『それは苦しかったね。でも大丈夫。ユニゾン革命隊はそういった人間たちの受け皿なのだから。僕と一緒に来てほしい。本当の意味で君のユニゾンを必要としてくれる人がたくさんいるよ』
最後の一撃、マラジジは地面に叩きつけられ、消滅した。回転を止めた風雅は、ロリポップキャンディの模様のような視界とテレビの砂嵐のような音で、すぐに動けなかった。
*
その頃大樹は、両の足かせと4つの腕を縛る頑丈な鎖、視界を悪くする網目状の穴が空いた拘束具によってフラフラと動きながら、上田通りを離れていた。
わずかながらに見えた竜巻によって、ターミナル近くに風雅がいることは分かったからだ。
ジラールは追ってこない。これだけ拘束すれば充分だろうという判断なのだろう。そしてターミナルの屋根の下に入ると、聞きなれた声がする。
「緑川か……!」
絞り出すように声を出したのは文活だった。リッチャルデットによって内側から体を破壊、遊大のハンディキャップで回復を延々と繰り返す生き地獄を体感している彼は、どうにか大樹のもとに駆け寄る。
『すげえな、加々雄! 砂のお城がチョコのお城になったぞ!』
『スゴいわねー、加々雄君。ちょっと先生と一緒に来ようかー? ……。いい? 加々雄君。君は男の子なの。いくらユニゾンでもそんな女の子みたいな格好をするのはダメよ』
『でも僕はこのユニゾンで、悪い奴らをやっつける兵士になりたいんだ!』
『加々雄! また父さんに隠れてユニゾンの特訓をしたな! 兵士に憧れるのはやめろと何度言ったら分かるんだ! 男がそんな格好でうろつくなんて、恥さらしもいいとこだ!』
『なあ、知ってるか? 時評のユニゾン。男のくせに女みたいな格好になるユニゾンらしいぜ』
『近寄らないで、この変態』
『俺のユニゾンは誰からも望まれてないのか……。確かに年を取るごとに恥ずかしくはなってきたけど、それでもこのユニゾンなら多くの人の役に立てる……。それなのに……。それなのに……』
『それは苦しかったね。でも大丈夫。ユニゾン革命隊はそういった人間たちの受け皿なのだから。僕と一緒に来てほしい。本当の意味で君のユニゾンを必要としてくれる人がたくさんいるよ』
最後の一撃、マラジジは地面に叩きつけられ、消滅した。回転を止めた風雅は、ロリポップキャンディの模様のような視界とテレビの砂嵐のような音で、すぐに動けなかった。
*
その頃大樹は、両の足かせと4つの腕を縛る頑丈な鎖、視界を悪くする網目状の穴が空いた拘束具によってフラフラと動きながら、上田通りを離れていた。
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ジラールは追ってこない。これだけ拘束すれば充分だろうという判断なのだろう。そしてターミナルの屋根の下に入ると、聞きなれた声がする。
「緑川か……!」
絞り出すように声を出したのは文活だった。リッチャルデットによって内側から体を破壊、遊大のハンディキャップで回復を延々と繰り返す生き地獄を体感している彼は、どうにか大樹のもとに駆け寄る。
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