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僕らの革命前夜ー11
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歌い終わると颯天はソファに戻り、その間に風雅が頼んだフレンチトーストにかじりつく。
「こ、これで歌ってないの私だけだねー。何歌おうかなー?」
小麦がタッチパネルを手に取って選曲をする。アーティストの五十音で検索し、なんの気なしに『と』を選ぶ。すると小麦の知らないアーティストが出てきた。
「……。なんだこれ? とうほう……しんき? でいいのかな?」
全員がタッチパネルを覗き込む。そこには確かに東方神起というアーティスト名があった。誰も知らないアーティストだった。
「なんか興味出てきた。歌詞確認とメロディ確認機能使っていい? このアーティストの曲歌う」
「構いませんけど、知らないアーティストの曲なんて歌えるんですか?」
糸美が心配そうに確認すると、「大丈夫! 家庭科と音楽は得意分野だったから!」と小麦は自信満々に答えた。
そして小麦は最終的に、東方神起の『Share The World』を選曲した。オルゴールの音色から始まり、ゆっくりとした曲調かと思いきや、一気にポップ調の曲へと変わる。そして一同が考えさせられ、小麦も思わず声を止めてしまった歌詞があった。
見えない壁の向こう側に 待っている君がいたんだ
午後3時。一同は貸しきったラウンドワンをバスに乗って出た。帰りの行き先はマンションではなく、都市の中心部にあるバスターミナルにした。
そして大通りをあてもなく歩く。すれ違う人々は、服装や年齢に関わらず皆笑顔。せわしなさそうで小走りなサラリーマンも、高架下に敷いた段ボールの上のホームレスさえも笑顔。全員危険な薬でもやっているのかと思うほどの満面の笑みだった。
そんな旅を午後7時まで続け、誰かが腹が減ったと言った。目の前には小さな個人経営の中華料理屋があった。
「あそこ、入ろっか」
小麦の意見に全員が賛成した。
「いらっしゃい! お、十二聖人様じゃないですか!」
カウンター席を拭いていた老年の男性店主は、彼彼女らの来店に喜んでいた。
「こ、これで歌ってないの私だけだねー。何歌おうかなー?」
小麦がタッチパネルを手に取って選曲をする。アーティストの五十音で検索し、なんの気なしに『と』を選ぶ。すると小麦の知らないアーティストが出てきた。
「……。なんだこれ? とうほう……しんき? でいいのかな?」
全員がタッチパネルを覗き込む。そこには確かに東方神起というアーティスト名があった。誰も知らないアーティストだった。
「なんか興味出てきた。歌詞確認とメロディ確認機能使っていい? このアーティストの曲歌う」
「構いませんけど、知らないアーティストの曲なんて歌えるんですか?」
糸美が心配そうに確認すると、「大丈夫! 家庭科と音楽は得意分野だったから!」と小麦は自信満々に答えた。
そして小麦は最終的に、東方神起の『Share The World』を選曲した。オルゴールの音色から始まり、ゆっくりとした曲調かと思いきや、一気にポップ調の曲へと変わる。そして一同が考えさせられ、小麦も思わず声を止めてしまった歌詞があった。
見えない壁の向こう側に 待っている君がいたんだ
午後3時。一同は貸しきったラウンドワンをバスに乗って出た。帰りの行き先はマンションではなく、都市の中心部にあるバスターミナルにした。
そして大通りをあてもなく歩く。すれ違う人々は、服装や年齢に関わらず皆笑顔。せわしなさそうで小走りなサラリーマンも、高架下に敷いた段ボールの上のホームレスさえも笑顔。全員危険な薬でもやっているのかと思うほどの満面の笑みだった。
そんな旅を午後7時まで続け、誰かが腹が減ったと言った。目の前には小さな個人経営の中華料理屋があった。
「あそこ、入ろっか」
小麦の意見に全員が賛成した。
「いらっしゃい! お、十二聖人様じゃないですか!」
カウンター席を拭いていた老年の男性店主は、彼彼女らの来店に喜んでいた。
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