Night Sky

九十九光

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かなしみのなみにおぼれるー18

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「どっちにしてもこれはリーダーの監督不行き届きじゃないの~? この大事な場面に駆けつけられない人間出すとか大問題じゃないの~?」

 オジェが隣のローランを煽る。ローランは特に何も返さなかった。

 シャルルの勝利演説はさらに加熱する。ゆくゆくは全人類から最悪の生物兵器、ユニゾンウイルスを完全除去する方法を模索するとさえ言い出す始末だった。実際、自分の分身を何体も生み出せるのだから夢物語ではなかった。その様子を十二勇士がまじまじと見ていた。

 その時だった。

「申し上げます!」

 大人サイズの服を着た子供が一人、議会場の扉を乱暴に開けて入ってきた。

「なんだ、このガキ。どこから入って」

「私はユニゾン革命隊の戦士です! 侵入者のユニゾンでこの姿に変えられました!」

 ローランの言葉を遮って子供はしゃべる。

「……? 侵入者? ここの警備には10体のロイドが当たってただろう」

 シャルルが少し不思議そうにしながら返すが、子供の同様は静まらない。

「10体全部! その侵入者のユニゾンで材料別に戻されたんです!」

 子供がそう言ったその時、議会場が大きく揺れる。コンクリートの部分は粉末のセメントと水に、木材は合わさっていくつもの角材に変化していく。

「逃げなさい! 私の騎士たち!」

 すべてを察したシャルルが、十二勇士をワープゲートで逃がす。

 こうして十二勇士はベルーナドーム跡地に飛ばされた。

「……! ナモ! 小樽市議会場はどうなった!」

 ローランが指示を飛ばす。ナモは持っていたノートパソコンで小樽市上空のドローン映像を映し出す。

「完全に材料別に戻されてる……。水と粉末セメントと木材、プラスチックの元の石油とかに……」

 そこにリナルドの鼻が反応する。

「……! 北東方向から人間と血の匂いがします! 猛スピードでこっちに向かってます!」

「おい、ローラン。こんなでたらめな真似ができる人間は」

 リッチャルデットがそう言いかけたその時。十二勇士の前に一人の人間が超スピードで空から降りてきた。

 暴風で一度目を閉じ、開けた時にはそこに一人の少年がいた。
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