Night Sky

九十九光

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明日の準備はまだできてないからー6

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 6日目。都内のとあるファミリーレストランに、帽子にサングラスをしているスーツ姿の女性がやって来た。

「いらっしゃいませー! レストラン パロディーへようこそー! 私、バイトの亜零府画流渡ローラ(アレフガルド ローラ)ですー! 1名様ですかー?」

 やたらとハイテンションな女性店員に、来店した女性は待ち合わせであることを伝えた。

 ファミレス行って明日から元気だそうという旨のやかましい音楽が流れる中を女性は歩き、スマホに送信された席へと歩いていく。そこにはうっすらと顎髭を生やした、サングラスの男が座ってアイスコーヒーを飲んでいた。

「すいませんね。国家防衛省の大臣をこんな庶民的な場所に呼び出して」

 男、もとい灰色仁は、簡易的な変装をやめない山羽咲を自分の向かいに座らせる。

「構いません。こういった場所のほうがかえって密談にはうってつけと言ったのは私ですし」

 咲はそう言うと、初めて入ったファミレスの周囲を見渡す。

「あ、最近のファミレスは、水は自分で汲んでくるんです。セルフサービスってやつですね。で、この店の注文はこのタブレットで操作して」

「そんなことはどうでもいいです」

 仁のセリフを咲はバッサリと切り捨てた。

「お待たせしましたー! 私、派遣社員の邪姜剣ゴン(ジャジャンケン ゴン)ですー! ご注文の大盛ポテトフライ、お持ちしましたー!」

 そこに男性店員が、仁が先に注文しておいた品を持ってきた。その店員がいなくなったところで、咲が話の続きをする。

「あなたが軍や政治家にユニゾン革命隊の内通者がいると言ってから、なかなか寝つけない日々が続いてます。Xデーまであと3ヶ月と少し。時間がない中でそんな話をされたら、もう……。他の政治家に相談することもできません。その相手が内通者の可能性があると思うと、一人で抱え込む以外の選択肢がなくて……」

「……。でも僕には相談してくれた。なぜです?」

 仁はポテトをつまみながら質問する。

「……。秘密を共有できる都内の知り合いで、あなたが一番包容力があると思ったからです」

 咲は正直に答えた。
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