211 / 379
明日の準備はまだできてないからー4
しおりを挟む
4日目。この日は事前の天気予報通り雨だった。遊大が洗面所の鏡に向かって髪の毛の白い部分をいじっていると、そこに糸美が入ってきた。
「夜空君! ちょっといいですか!?」
慌てている様子の彼女に尋常じゃない何かを感じた遊大は、手を引かれるまま玄関口につれられた。
そこにいたのは佰年支部長と、彼女に抱き抱えられている濡れた子猫だった。
「第六グラウンドの隅の方で見つかってのぉ。どうやら右の後ろ足をケガしとるらしい。夜空、治してやってくれ」
なんだそんなことかと内心思った遊大は、時間逆行でケガを治すため子猫に触れようとする。すると子猫はシャーという威嚇の声を上げ、爪の尖った手を振るう。
「やはり野性動物。人間にさわられるのは抵抗ありますか」
糸美が感想を述べるが、さわらなければ治せないことを知っている遊大はもう一度挑戦する。今度は左手で顎を、右手で頭を撫でるように触れようとする。
すると子猫は遊大の左手人差し指に噛みついた。佰年と糸美がビクッとする。
「大丈夫です。こういうことができるなら、大して弱ってない証拠です」
小さい頃からケガをした猫や角の折れたカブトムシを治してきた遊大にとって、この程度の触れ合いは慣れていた。彼は空いた右手で猫の頭を撫でながら、ケガをする前の状態に時間逆行させる。
「八脚さん、使わなくなったタオル持ってきてくれますか?」
遊大は指を噛まれたまま糸美に指示を出す。彼女がそれに従い、タオルを持ってきた頃には、子猫は遊大の指を放していた。
「とりあえず多忙なわしにはコイツの世話はできん。保護団体に連絡して、引き取ってもらう」
佰年はそう言いながら、タオルで子猫の体を拭いていた。
5日目。昼過ぎに第一部隊に客がやって来た。有名なシュークリーム専門店の紙袋を持った得星玉玲だった。
「お久しぶりですねー、皆さん。こちらもゴタゴタしててなかなか顔を出せなくてすいませーん」
それを見て小麦がお茶を淹れに調理場へと消えた。
「夜空君! ちょっといいですか!?」
慌てている様子の彼女に尋常じゃない何かを感じた遊大は、手を引かれるまま玄関口につれられた。
そこにいたのは佰年支部長と、彼女に抱き抱えられている濡れた子猫だった。
「第六グラウンドの隅の方で見つかってのぉ。どうやら右の後ろ足をケガしとるらしい。夜空、治してやってくれ」
なんだそんなことかと内心思った遊大は、時間逆行でケガを治すため子猫に触れようとする。すると子猫はシャーという威嚇の声を上げ、爪の尖った手を振るう。
「やはり野性動物。人間にさわられるのは抵抗ありますか」
糸美が感想を述べるが、さわらなければ治せないことを知っている遊大はもう一度挑戦する。今度は左手で顎を、右手で頭を撫でるように触れようとする。
すると子猫は遊大の左手人差し指に噛みついた。佰年と糸美がビクッとする。
「大丈夫です。こういうことができるなら、大して弱ってない証拠です」
小さい頃からケガをした猫や角の折れたカブトムシを治してきた遊大にとって、この程度の触れ合いは慣れていた。彼は空いた右手で猫の頭を撫でながら、ケガをする前の状態に時間逆行させる。
「八脚さん、使わなくなったタオル持ってきてくれますか?」
遊大は指を噛まれたまま糸美に指示を出す。彼女がそれに従い、タオルを持ってきた頃には、子猫は遊大の指を放していた。
「とりあえず多忙なわしにはコイツの世話はできん。保護団体に連絡して、引き取ってもらう」
佰年はそう言いながら、タオルで子猫の体を拭いていた。
5日目。昼過ぎに第一部隊に客がやって来た。有名なシュークリーム専門店の紙袋を持った得星玉玲だった。
「お久しぶりですねー、皆さん。こちらもゴタゴタしててなかなか顔を出せなくてすいませーん」
それを見て小麦がお茶を淹れに調理場へと消えた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/sf.png?id=74527b25be1223de4b35)
メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~
アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」
中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。
ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。
『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。
宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。
大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。
『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。
修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界に追放されました。二度目の人生は辺境貴族の長男です。
ファンタスティック小説家
ファンタジー
科学者・伊介天成(いかい てんせい)はある日、自分の勤める巨大企業『イセカイテック』が、転移装置開発プロジェクトの遅延を世間にたいして隠蔽していたことを知る。モルモットですら実験をしてないのに「有人転移成功!」とうそぶいていたのだ。急進的にすすむ異世界開発事業において、優位性を保つために、『イセカイテック』は計画を無理に進めようとしていた。たとえ、試験段階の転移装置にいきなり人間を乗せようとも──。
実験の無謀さを指摘した伊介天成は『イセカイテック』に邪魔者とみなされ、転移装置の実験という名目でこの世界から追放されてしまう。
無茶すぎる転移をさせられ死を覚悟する伊介天成。だが、次に目が覚めた時──彼は剣と魔法の異世界に転生していた。
辺境貴族アルドレア家の長男アーカムとして生まれかわった伊介天成は、異世界での二度目の人生をゼロからスタートさせる。
モニターに応募したら、系外惑星に来てしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。
津嶋朋靖(つしまともやす)
SF
近未来、物体の原子レベルまでの三次元構造を読みとるスキャナーが開発された。
とある企業で、そのスキャナーを使って人間の三次元データを集めるプロジェクトがスタートする。
主人公、北村海斗は、高額の報酬につられてデータを取るモニターに応募した。
スキャナーの中に入れられた海斗は、いつの間にか眠ってしまう。
そして、目が覚めた時、彼は見知らぬ世界にいたのだ。
いったい、寝ている間に何が起きたのか?
彼の前に現れたメイド姿のアンドロイドから、驚愕の事実を聞かされる。
ここは、二百年後の太陽系外の地球類似惑星。
そして、海斗は海斗であって海斗ではない。
二百年前にスキャナーで読み取られたデータを元に、三次元プリンターで作られたコピー人間だったのだ。
この惑星で生きていかざるを得なくなった海斗は、次第にこの惑星での争いに巻き込まれていく。
(この作品は小説家になろうとマグネットにも投稿してます)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/sf.png?id=74527b25be1223de4b35)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
平和国家異世界へ―日本の受難―
あずき
ファンタジー
平和国家、日本。 東アジアの島国であるこの国は、厳しさを増す安全保障環境に対応するため、 政府は戦闘機搭載型護衛艦、DDV-712「しなの」を開発した。 「しなの」は第八護衛隊群に配属され、領海の警備を行なうことに。
それから数年後の2035年、8月。
日本は異世界に転移した。
帝国主義のはびこるこの世界で、日本は生き残れるのか。
総勢1200億人を抱えた国家サバイバルが今、始まる――
何番煎じ蚊もわからない日本転移小説です。
質問などは感想に書いていただけると、返信します。
毎日投稿します。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
最終兵器陛下
華研えねこ
歴史・時代
黒く漂う大海原・・・
世界大戦中の近現代
戦いに次ぐ戦い
赤い血しぶきに
助けを求める悲鳴
一人の大統領の死をきっかけに
今、この戦いは始まらない・・・
追記追伸
85/01/13,21:30付で解説と銘打った蛇足を追加。特に本文部分に支障の無い方は読まなくても構いません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる