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you're never coming backー9
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「国を滅ぼした期間が世に言う空白の10年だ……。そして当時たまたま存在した、全人類の記憶を改竄できるユニゾン持ちが、国の存在を人類の記憶から消した……」
「そん……な……、与太話……。信じ……ろ……と……」
穂花の手からライターが滑り落ちる。リッチャルデットの後ろから、水のドームで身を守るオリヴィエがやって来た。
「もう彼女は有毒ガスの吸いすぎで虫の息です。あなたも同じ目に遇いたくなければ、早急にワープしてください」
そう語る彼女の手にはスマホが握られており、ワープゲートが出てきていた。
「……。あばよ。憐れな国の被害者」
リッチャルデットは息を引き取った穂花にそう言い残した。
*
一方、関東支部に向かって飛んでいく遊大。埼玉県内は革命隊がワープで襲ってくる可能性があると独断で判断し、一番安全で信用できる場所へと向かっていた。時折後ろや真下を見て、追っ手が来ていないことを確認する。
こうして東京と埼玉の境目辺りまで来た遊大。目標地点まであと少しだと思った、その時だった。
『聞こえているか、遊大』
次の瞬間、遊大はベッドの上に座っていた。巨大な鳥籠の中、床におもちゃが散乱する、あの夢と同じ光景だった。
目の前にいたのは文活だった。白いワイシャツに白い半ズボンという格好であり、まるで先ほど見た光との夢と重なって見えた。遊大の下半身が動かないことも同じだった。
「早乙女さん? どうしてここに? というかどうして僕今夢見てるんですか?」
『これは夢ではない。お前のユニゾンの中で起こっている現象に、俺とお前が巻き込まれているのだ』
いまいち文活の言っていることが掴めない遊大。とにかくこれが夢ではないということだけが呑み込めた。
『お前はこれで、大事なものの2つ目を失った。だがそれは、お前が捕まったせいではない。なるべくしてなった結果だ。そしてこの程度で心を折ってはいけない。まだ試練は1/6を過ぎたところなのだからな』
1/6。その言葉で遊大は何かを察し、文活に尋ねる。
「そん……な……、与太話……。信じ……ろ……と……」
穂花の手からライターが滑り落ちる。リッチャルデットの後ろから、水のドームで身を守るオリヴィエがやって来た。
「もう彼女は有毒ガスの吸いすぎで虫の息です。あなたも同じ目に遇いたくなければ、早急にワープしてください」
そう語る彼女の手にはスマホが握られており、ワープゲートが出てきていた。
「……。あばよ。憐れな国の被害者」
リッチャルデットは息を引き取った穂花にそう言い残した。
*
一方、関東支部に向かって飛んでいく遊大。埼玉県内は革命隊がワープで襲ってくる可能性があると独断で判断し、一番安全で信用できる場所へと向かっていた。時折後ろや真下を見て、追っ手が来ていないことを確認する。
こうして東京と埼玉の境目辺りまで来た遊大。目標地点まであと少しだと思った、その時だった。
『聞こえているか、遊大』
次の瞬間、遊大はベッドの上に座っていた。巨大な鳥籠の中、床におもちゃが散乱する、あの夢と同じ光景だった。
目の前にいたのは文活だった。白いワイシャツに白い半ズボンという格好であり、まるで先ほど見た光との夢と重なって見えた。遊大の下半身が動かないことも同じだった。
「早乙女さん? どうしてここに? というかどうして僕今夢見てるんですか?」
『これは夢ではない。お前のユニゾンの中で起こっている現象に、俺とお前が巻き込まれているのだ』
いまいち文活の言っていることが掴めない遊大。とにかくこれが夢ではないということだけが呑み込めた。
『お前はこれで、大事なものの2つ目を失った。だがそれは、お前が捕まったせいではない。なるべくしてなった結果だ。そしてこの程度で心を折ってはいけない。まだ試練は1/6を過ぎたところなのだからな』
1/6。その言葉で遊大は何かを察し、文活に尋ねる。
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