Night Sky

you're never coming backー３

　すると分解されていないロイドが多数、文活の周囲に出現した。筋骨隆々の状態で。

『おい、文活！　早く出てこい、文活！　そんなのにリンチされたら死ぬぞ！』

　通信機越しに裏手の惨状が伝わってくる穂花。その間にも十二勇士はワープゲートに入ってどこかへ去っていく。

「商学！　裏手の援護を！」

　穂花はそう言い残してワープゲートに突っ込んでいく。

「私もつれて行けぇ！」

＊

　その数分前。埼玉は所沢にあるベルーナドーム。この晩はここでプロ野球チーム、千葉ステレオスパイダーズ対埼玉西武ズバッツの試合が行われていた。

『４番、DH、クラッシャー・プロパガンダ！』

　スパイダーズの助っ人外国人が、入場曲のMetallicaのWhiplashに合わせて登場し、バットにつけるドーナツ状の重りを引き裂く演出をする。対するズバッツの先発、白炎作楽(ハクエン　サクラ)は冷静な目でそれを見ていた。

　相対する両者。バッターボックスのクラッシャーは全力で振ることを、マウンドの作楽は光線銃と言われるストレートを投げることを考えていた。

　片足を上げ、投げる体勢に入る作楽。

　その時だった。

　天井のカメラから泥状のワープゲートが出現し、そこから遊大が飛び出してきた。危うく地面にぶつかりそうになるのを、うまく軌道修正して回避する遊大。それを見て作楽は思わずすっぽ抜けた玉を投げてしまった。

「ここは……。東京ドーム？」

「いや、埼玉のベルーナドームだよ」

　静まり返ったドーム内で、内野席側から女性の声がする。遊大が視線を向けた先には、白髪混じりの茶髪をしている初老の女性が立っていた。

「この姿でははじめましてだね。改めて自己紹介するよ。僕はユニゾン革命隊総督のシャルル。よろしくね」

　それを言われて遊大には何が何やら分からなかった。灰色先生のもとに飛んでいけばワープゲートが出現し、気がつけば所沢まで飛ばされ、シャルルを名乗るのは性別すら違う人物。短時間に入ってきた情報量が多すぎて困惑するばかりだった。

　シャルルを名乗る女は空中を優雅に歩くようにして移動し、作楽とクラッシャーに挟まれる形で遊大と向き合った。