Night Sky

you're never coming backー２

『こちら得星！　群衆の中からロイド１体を含めた敵戦力が多数出現！　至急応援求む！』

『こちら猿踊！　表も同じ状況だ！　そっちに応援は難しい！』

　そんなやり取りをする、玉玲、氷助、失斗、颯天、文活、大樹、太陽、雨を擁する裏手では、数十人の革命隊戦士に、赤いはっぴに『葱』と書かれたふんどしを着けた、細身のロイドを相手していた。

「ウチュウノホウソク♪　乱レル乱レル♪」

　ロイドが盆踊りのような踊りをしながらそう歌う。するとその場の兵士たちが徐々に空中に浮かんでいく。それはまるで重力に反発しているようだった。

「……！　この！」

「待て、颯天！　今ミサイルを撃つと反動でそのまま大気圏外まで出てってしまうかもしれない！」

　ミサイルを撃とうとする颯天を雨が止める。

「前言撤回♪」

　ロイドがそう言うと、兵士たちにかかっていた重力反発が解除され、通常通り落下する。高さはすでに10メートルを越えている。
　氷助が素早く全員の落下地点に分厚い氷の足場を形成する。それにより落下高度が50センチもいかなかったお陰で、この攻撃による死者は出なかった。

「力で押さえる！　あの細身なら俺で押さえられるはずだ！」

　大樹がロイドに駆け寄り、４つの腕で取り押さえる。だがそうはいかなかった。

「ミナギルミナギル♪」

　ロイドがそう言うと、ロイドの体は筋骨隆々の姿になり、両手を振り上げた衝撃だけで大樹を吹き飛ばした。
　この時点で文活は悟った。このロイドがしゃべったことは現実になるのだと。

《ロイド番号：WKj7CGU6FX8　素体名：粕寺賛次(カステラ　サンジ)　ユニゾン名：ハウ・ディド・ディス・ハプン……言ったことが狭い範囲内で現実になる。暴走を避けるため、しゃべれる語彙が制限されている。》

「メイデン・アナトミー！　ダイヤモンド・テイクオフ！」

　文活が背後からロイドにさわり、その体を関節ごとにバラバラにする。しゃべれないように上顎と下顎も分解した。

「ロイドの無力化成功！　半数は表の援護に」

「見ルカラニ増エテル増エテル♪」

　突如しゃべれないはずのロイドがしゃべった。このロイド、上顎のスピーカーでしゃべっていたのだ。