Night Sky

Hip hip HOORAYー７

　遊大は天井を見上げながら語っていた。花子はすぐに返せなかった。タブレットで適当な飲み物を注文すると、ようやく考えをまとめることができた。

「間違いなく今の選択で正しいと思うよ。君のユニゾンを使えば、先天性以外のどんな病気だって治せてしまう。なんなら生長した木を苗木に戻せたように、人間を若返らせて半永久的な不老不死だって実現可能だ。１回でもそんな例を出せば、俺も私もと世界中の人たちが大金を出して君の力を利用したがる。人口爆発だの貧富の差だのが余計に加速するだけだ。医者じゃなくて兵士を選んだのは正解だよ」

　その話が終わると同時に、花子が頼んだ飲み物が届いた。

＊

　こうして１日遊んだ、というか花子に振り回された遊大は、夜の７時半に寮に戻った。すでにどっと疲れており、早く夕飯食べて風呂入って寝たい。月明かりが照らす車内で、遊大は巨大な駄菓子を抱き抱えながらそんなことを考えていた。

　寮の前に車が停まると、寮内は共同スペース含めて真っ暗だった。花子も鍵を開けて寮に入ったので、全員出かけているのかと遊大は思った。

　共同スペース内は物陰すら確認できないほど暗かった。閉められたカーテンから月明かりが漏れるはずなのに、それすらない。

　遊大がそれを不思議がって、「阿玉先生、みんなは」と口にしたその時だった。

　室内で部屋の光をすべて手の中に隠していた光が一気に光を解放する。それと同時に「ハッピーバースデー！　遊大くーん！」という声とともにクラッカーが鳴らされた。

「……。え？」

　戸惑う遊大の前には、第一部隊の12人とその後ろのテーブルに乗せられた大量のピザやらチキンやら寿司やらが見え、壁一面にこれでもかと飾りつけがしてあった。

「今日が11歳の誕生日だって聞いて、前々からみんなで計画してたんだー！　サプライズでやりたかったから、阿玉先生に１日連れ出してもらってー」

　まだ状況を飲み込めていない遊大に、信也が事細かに説明する。