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ドキドキしたいじゃんか誰だってー2
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食い下がらない下級生2人にあきれる弔李。物欲の少ない彼女にはプレゼントも大したエサにはならなかった。
だが人から頼られるというのは悪くなかった。空気のような存在で、特異なユニゾンを持っているということ以外秀でた能力もなかった彼女は、このように人に何かを頼まれるという経験が少なかった。
「……。別に報酬はいらない。今度の日曜、本当に一瞬だけ力を貸してあげる」
*
同じ日の晩、遊大は夕食ができあがるのを待つ間、灰色仁が持ってきた『歴史は消えない』を読んでいた。
「その本、何周目だ」
そこに早乙女文活が後ろから話しかける。
「今7週半です。いくら読んでもただのオカルト本ですけど」
遊大は振り返って答え、こう続けた。
「でも何もないとは思えないじゃないですか。5人の特級兵士の一人がオススメする本ですよ。紙質とか怪しい部分も多いですし。何より鶯谷で対処したエッチなガスを撒く犯罪者。あの人もこの本を持っていた。100部も売れずに半世紀以上前に絶版になったこの本を」
遊大は読み途中のページに指を挟んで表紙を文活に見せながら、何かの陰謀があると訴える。
「……。まあ、その気持ちは分からんでもない。俺もその本について、色々調べている途中だしな」
文活はそう言ってスマホを取り出し、とある画面を見せた。掲示板サイトのスレッドの一つで、『歴史は消えないって本最近よく見るんだけど』というタイトルだった。
「内容を総括すると、全国各地でその本がかなり質のいい状態で見つかっているというものだ。自称古書店の店員が、状態のいいその本を50冊まとめて売りに来た客がいたと語るケース。自称警察官が、危険なユニゾン犯罪を犯した犯人宅の家宅捜索を行ったところ、非常に状態のいいその本を見つけたというケース。全国各地でその本が見つかっているという話が、ここ最近多く出ているのだ」
文活の話を聞きながら、遊大は彼から受け取ったスマホでそのスレッドを確認する。
だが人から頼られるというのは悪くなかった。空気のような存在で、特異なユニゾンを持っているということ以外秀でた能力もなかった彼女は、このように人に何かを頼まれるという経験が少なかった。
「……。別に報酬はいらない。今度の日曜、本当に一瞬だけ力を貸してあげる」
*
同じ日の晩、遊大は夕食ができあがるのを待つ間、灰色仁が持ってきた『歴史は消えない』を読んでいた。
「その本、何周目だ」
そこに早乙女文活が後ろから話しかける。
「今7週半です。いくら読んでもただのオカルト本ですけど」
遊大は振り返って答え、こう続けた。
「でも何もないとは思えないじゃないですか。5人の特級兵士の一人がオススメする本ですよ。紙質とか怪しい部分も多いですし。何より鶯谷で対処したエッチなガスを撒く犯罪者。あの人もこの本を持っていた。100部も売れずに半世紀以上前に絶版になったこの本を」
遊大は読み途中のページに指を挟んで表紙を文活に見せながら、何かの陰謀があると訴える。
「……。まあ、その気持ちは分からんでもない。俺もその本について、色々調べている途中だしな」
文活はそう言ってスマホを取り出し、とある画面を見せた。掲示板サイトのスレッドの一つで、『歴史は消えないって本最近よく見るんだけど』というタイトルだった。
「内容を総括すると、全国各地でその本がかなり質のいい状態で見つかっているというものだ。自称古書店の店員が、状態のいいその本を50冊まとめて売りに来た客がいたと語るケース。自称警察官が、危険なユニゾン犯罪を犯した犯人宅の家宅捜索を行ったところ、非常に状態のいいその本を見つけたというケース。全国各地でその本が見つかっているという話が、ここ最近多く出ているのだ」
文活の話を聞きながら、遊大は彼から受け取ったスマホでそのスレッドを確認する。
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