95 / 379
The Greatest Show On Earthー5
しおりを挟む
「そんなコンビニで売ってる読み捨ての本でやるような内容だから100部も売れなかったんだろ。全人類の記憶を改竄するユニゾン? いくらユニゾン社会がなんでもありだからって、ぶっ飛びすぎじゃあ」
「でも……」
遊大が光の言葉を遮った。
「この本を書いた野良竹輪って人も、わざわざこの本を届けた灰色先生も、何か伝えたいことがあったんじゃないのかな。自費出版までして書かれた本を大量に手に入れて、僕らに届けてくれたんだ。きっと何か意味があるはず……」
遊大のその言葉に、寮内は一旦静かになった。均衡を破ったのは颯天だった。
「ありえねえな! 今時オカルトなんて!」
颯天はわざとオーバーな動作でソファに座ると、持論を述べる。
「今はユニゾンの詳細以外なんだって科学で解決できる時代! チュパカブラは皮膚病にかかったコヨーテ! カブレラストーンは歯科ドリルで作った贋作! オカルトなんてバカの暇潰しだ!」
そのタイミングで寮の扉が開いた。1日空けていた太陽と佰年支部長が入ってきた。
「ずいぶんあの本で盛り上がっとるみたいじゃのう」
佰年が茶化すようにそう言うが、すぐに誰も太陽に声をかけられなかった。彼がなぜ1日空けていたのかを知っているからだ。
「ダメだった……」
太陽はそう切り出した。一同は余計に彼に話しかけづらくなる。
「でも気にすんな」
再び太陽が語る。
「俺は応援してくれた兄貴のために、立派な兵士にならなきゃいけないからな。葬式には出ねえ。明日からいつもの生活を送るよ。それよりその本何? 見たことない本だけど」
思ったより元気な太陽にあっけに取られていると、佰年が安心した様子で語り出した。
「なら全員第一体育館に集合せい。服装は寝間着で構わん」
「今からぁ? なんの話だ?」
颯天が文句たらたらな様子を見せると、佰年はざっくりとこれから話す内容を説明した。
「ついさっき、国家防衛省から中等部生の教育方針転換の指示が出た。それを全部隊に説明する」
*
「でも……」
遊大が光の言葉を遮った。
「この本を書いた野良竹輪って人も、わざわざこの本を届けた灰色先生も、何か伝えたいことがあったんじゃないのかな。自費出版までして書かれた本を大量に手に入れて、僕らに届けてくれたんだ。きっと何か意味があるはず……」
遊大のその言葉に、寮内は一旦静かになった。均衡を破ったのは颯天だった。
「ありえねえな! 今時オカルトなんて!」
颯天はわざとオーバーな動作でソファに座ると、持論を述べる。
「今はユニゾンの詳細以外なんだって科学で解決できる時代! チュパカブラは皮膚病にかかったコヨーテ! カブレラストーンは歯科ドリルで作った贋作! オカルトなんてバカの暇潰しだ!」
そのタイミングで寮の扉が開いた。1日空けていた太陽と佰年支部長が入ってきた。
「ずいぶんあの本で盛り上がっとるみたいじゃのう」
佰年が茶化すようにそう言うが、すぐに誰も太陽に声をかけられなかった。彼がなぜ1日空けていたのかを知っているからだ。
「ダメだった……」
太陽はそう切り出した。一同は余計に彼に話しかけづらくなる。
「でも気にすんな」
再び太陽が語る。
「俺は応援してくれた兄貴のために、立派な兵士にならなきゃいけないからな。葬式には出ねえ。明日からいつもの生活を送るよ。それよりその本何? 見たことない本だけど」
思ったより元気な太陽にあっけに取られていると、佰年が安心した様子で語り出した。
「なら全員第一体育館に集合せい。服装は寝間着で構わん」
「今からぁ? なんの話だ?」
颯天が文句たらたらな様子を見せると、佰年はざっくりとこれから話す内容を説明した。
「ついさっき、国家防衛省から中等部生の教育方針転換の指示が出た。それを全部隊に説明する」
*
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ワイルド・ソルジャー
アサシン工房
SF
時は199X年。世界各地で戦争が行われ、終戦を迎えようとしていた。
世界は荒廃し、辺りは無法者で溢れかえっていた。
主人公のマティアス・マッカーサーは、かつては裕福な家庭で育ったが、戦争に巻き込まれて両親と弟を失い、その後傭兵となって生きてきた。
旅の途中、人間離れした強さを持つ大柄な軍人ハンニバル・クルーガーにスカウトされ、マティアスは軍人として活動することになる。
ハンニバルと共に任務をこなしていくうちに、冷徹で利己主義だったマティアスは利害を超えた友情を覚えていく。
世紀末の荒廃したアメリカを舞台にしたバトルファンタジー。
他の小説サイトにも投稿しています。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
銀河戦国記ノヴァルナ 第3章:銀河布武
潮崎 晶
SF
最大の宿敵であるスルガルム/トーミ宙域星大名、ギィゲルト・ジヴ=イマーガラを討ち果たしたノヴァルナ・ダン=ウォーダは、いよいよシグシーマ銀河系の覇権獲得へ動き出す。だがその先に待ち受けるは数々の敵対勢力。果たしてノヴァルナの運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる