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醜い劣等感が 汚い嫉妬が 僕にー9
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「先生たちは間違いなく、洗脳や体の乗っ取りを受けたとかで、西後さんを警戒しているでしょう。僕らが騒ぎ立てて事を大きくするのはまずいんじゃないですか?」
「だったらとっくに人陰を尋問するなり隔離するなりしてるだろ。下手に扱うと人陰の体に影響が出るとかで、手が出せずにいるんだ。人格が別個になってるラストバトルが何も言わないのが証拠だ。人陰は洗脳されてると同時に、人質になってるんだ」
そうだとすると、どうすれば西後さんを助けられるのか。
遊大が頭を悩ませていると、光がこう切り出した。
「俺に算段がある。手伝ってくれるか?」
その日の晩は、別部隊の教官である神介が騒がしかった。最初のうちは古文の勉強会だったのだが、途中から彼の兵士としての意気込みや昔話になり、眠気に負けた者や飽きてきた者から順に自室に戻っていき、完全消灯時間5分前には誰も残っていなかった。
人陰の中の坂美も人陰の部屋に戻り、布団に潜って今後の計画を練り直していた。
誰でもいいから二人きりで話したいではダメだ。教官のそれぞれの性格を合わせて二人きりの状況を作らねばならない。しかしそこで障壁となるのが、元の人陰の性格と、彼が望んだ陽キャのイメージとの大きな乖離だった。1日この性格で過ごしたせいで、間違いなく教官からは警戒の的になっているだろう。そうなると教官と二人きりという状況は、そう容易く作れない。
一旦別の訓練生に乗り移り、そこから教官と二人きりになる。
そう決めたその時、坂美は異変に気づいた。
カーテンで9割ほど隠れているベランダの向こうに誰かいる。
ベランダは一般的なアパートによくある薄い壁で部屋ごとに仕切られている。人陰の部屋の両隣は、右は空き部屋、左は光の部屋となっている。となるとベランダにいるのは光の可能性が大だ。用があれば直接部屋のドアをノックして鍵を開けてもらえばいいものを、なぜベランダに来たのか。坂美にはまるで分からなかった。
とりあえず人気がなくなるまで寝たふりをする坂美。そしてベランダに誰もいないのを確証すると、布団から這い出てカーテンを開けた。
「だったらとっくに人陰を尋問するなり隔離するなりしてるだろ。下手に扱うと人陰の体に影響が出るとかで、手が出せずにいるんだ。人格が別個になってるラストバトルが何も言わないのが証拠だ。人陰は洗脳されてると同時に、人質になってるんだ」
そうだとすると、どうすれば西後さんを助けられるのか。
遊大が頭を悩ませていると、光がこう切り出した。
「俺に算段がある。手伝ってくれるか?」
その日の晩は、別部隊の教官である神介が騒がしかった。最初のうちは古文の勉強会だったのだが、途中から彼の兵士としての意気込みや昔話になり、眠気に負けた者や飽きてきた者から順に自室に戻っていき、完全消灯時間5分前には誰も残っていなかった。
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一旦別の訓練生に乗り移り、そこから教官と二人きりになる。
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