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仇花すっかり舞い散る季節ー5
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「というわけで、この子たち、非常に重い問題を抱えているんです。それを少しでもなんとかしてほしいって依頼で……」
運動場に出た遊大は、花子を含めた他の部隊のメンバーに説明する。彼は園児数名に尻に敷かれていた。
「それは確かに深刻な問題ですね」
糸美は右手を顎に当てながら考え込む。
「てっきり私の幼稚園みたいにみんなが和気あいあいとしてるのかと思ってた……。なんとかできる気がしない……」
小麦はすでに意気消沈だった。
「しかしいじめを平気でするなんて、人間の風上にも置けねえ。それでも兵士や政治家、大企業の重役候補かよ」
王子は軽く憤っている様子だった。
「みんな難しく考えすぎなんだよ~」
一番気楽だったのは花子だった。他の4人が彼女に、ホントに大丈夫かよと言いたげな視線を向ける。
「私は教育者だよ。それも簡単には自分の意思を曲げない思春期連中を扱う教育者だよ。幼稚園児なんてちょっと正論を分かりやすくぶつければ素直になるでしょ。まあそこで見てなさい」
花子はそう言い残し、運動場の中心に向かって歩いていった。
残された4人が運動場を見て思ったのは、幼稚園にしては本当にだだっ広い運動場だということだった。中心には子供用サッカーゴールが2つ向かい合って立っており、その周りには小学校にありそうなトラックがある。基本は人工芝が敷き詰められており、砂地なのは木が植わっている脇の部分だけだった。エリート幼稚園だからなのか、他に遊具は存在しなかった。
「君たち~。現役兵士の阿玉先生と遊んでみないか~い?」
花子がサッカー場の中央でそう言うと、児童たちはそこに群がっていった。遊大も解放された。
パワー系ユニゾンの花子は、片腕に2人の子供、計4人の子供を乗せ、子供たちの輪の中に一気に馴染んだ。
運動場に出た遊大は、花子を含めた他の部隊のメンバーに説明する。彼は園児数名に尻に敷かれていた。
「それは確かに深刻な問題ですね」
糸美は右手を顎に当てながら考え込む。
「てっきり私の幼稚園みたいにみんなが和気あいあいとしてるのかと思ってた……。なんとかできる気がしない……」
小麦はすでに意気消沈だった。
「しかしいじめを平気でするなんて、人間の風上にも置けねえ。それでも兵士や政治家、大企業の重役候補かよ」
王子は軽く憤っている様子だった。
「みんな難しく考えすぎなんだよ~」
一番気楽だったのは花子だった。他の4人が彼女に、ホントに大丈夫かよと言いたげな視線を向ける。
「私は教育者だよ。それも簡単には自分の意思を曲げない思春期連中を扱う教育者だよ。幼稚園児なんてちょっと正論を分かりやすくぶつければ素直になるでしょ。まあそこで見てなさい」
花子はそう言い残し、運動場の中心に向かって歩いていった。
残された4人が運動場を見て思ったのは、幼稚園にしては本当にだだっ広い運動場だということだった。中心には子供用サッカーゴールが2つ向かい合って立っており、その周りには小学校にありそうなトラックがある。基本は人工芝が敷き詰められており、砂地なのは木が植わっている脇の部分だけだった。エリート幼稚園だからなのか、他に遊具は存在しなかった。
「君たち~。現役兵士の阿玉先生と遊んでみないか~い?」
花子がサッカー場の中央でそう言うと、児童たちはそこに群がっていった。遊大も解放された。
パワー系ユニゾンの花子は、片腕に2人の子供、計4人の子供を乗せ、子供たちの輪の中に一気に馴染んだ。
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