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仇花すっかり舞い散る季節ー2
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「私もお手伝いさせてください。子供、好きですし」
王子につられるように糸美も手を挙げた。
「みんなやる気満々だね。私はどうしようかな」
一人迷っている様子の小麦。そこに花子が餌を出す。
「触れ合いタイムは午前中だけで、午後からは菓子屋横丁観光する予定なんだけどな~」
「行きます」
「とんでもなく現金だな!」
信也が全霊で突っ込んだ。
*
そして幼稚園訪問の日。軍服姿の遊大、王子、糸美、小麦、花子は、花子の運転で川越の幼稚園にやって来た。そこで訓練生たちは幼稚園の外装を見て愕然とする。
幼稚園は大学のキャンパスかと思うほど敷地が広く、建物も巨大、運動場もサッカーグラウンドほどあることが、外から見てもよく分かった。
「あの……。本当にここなんですか?」
小麦が質問すると、花子がニヤニヤしながら答えた。
「ここは聖マリア大日本幼稚園関東支部。日本中の一流企業や政治家が出資して作った財団法人が運営する、金持ちの子供のための幼稚園。未来の兵士候補生や政治家の卵、グローバル企業の重役候補たちが通ってる。そこにテレビも来るんだ。くれぐれも、問題を起こさないように」
花子は路肩に車を止めて、幼稚園に電話する。
「もしもし。阿玉ですけど。今お宅の前に来たんですけど、どっから入ればいいですかね?」
一同、先行きの不安を感じた。
車は幼稚園の裏手にある駐車場に駐車した。駐車場には確かに埼玉のローカルテレビ局のロゴが入ったバンが停まっており、今日が特別な日であることが目に見えて分かった。
「皆さん、お待ちしてました」
眼鏡をかけた中年くらいの女性の園長が一同を出迎える。
「引率の阿玉です。んで、このちっこいのがご所望の」
「夜空遊大君ですよね。テレビで見ましたよ。今日はよろしくお願いしますね」
園長は遊大の両手を握る。遊大は「こちらこそ、よろしくお願いします」と、少し戸惑いがちに返した。
「んで、残りのおまけが」
「石脂王子です!」
「八脚糸美です」
「秋晴小麦です」
花子のおまけという言葉に少し傷つきながらも、3人は自己紹介をした。
王子につられるように糸美も手を挙げた。
「みんなやる気満々だね。私はどうしようかな」
一人迷っている様子の小麦。そこに花子が餌を出す。
「触れ合いタイムは午前中だけで、午後からは菓子屋横丁観光する予定なんだけどな~」
「行きます」
「とんでもなく現金だな!」
信也が全霊で突っ込んだ。
*
そして幼稚園訪問の日。軍服姿の遊大、王子、糸美、小麦、花子は、花子の運転で川越の幼稚園にやって来た。そこで訓練生たちは幼稚園の外装を見て愕然とする。
幼稚園は大学のキャンパスかと思うほど敷地が広く、建物も巨大、運動場もサッカーグラウンドほどあることが、外から見てもよく分かった。
「あの……。本当にここなんですか?」
小麦が質問すると、花子がニヤニヤしながら答えた。
「ここは聖マリア大日本幼稚園関東支部。日本中の一流企業や政治家が出資して作った財団法人が運営する、金持ちの子供のための幼稚園。未来の兵士候補生や政治家の卵、グローバル企業の重役候補たちが通ってる。そこにテレビも来るんだ。くれぐれも、問題を起こさないように」
花子は路肩に車を止めて、幼稚園に電話する。
「もしもし。阿玉ですけど。今お宅の前に来たんですけど、どっから入ればいいですかね?」
一同、先行きの不安を感じた。
車は幼稚園の裏手にある駐車場に駐車した。駐車場には確かに埼玉のローカルテレビ局のロゴが入ったバンが停まっており、今日が特別な日であることが目に見えて分かった。
「皆さん、お待ちしてました」
眼鏡をかけた中年くらいの女性の園長が一同を出迎える。
「引率の阿玉です。んで、このちっこいのがご所望の」
「夜空遊大君ですよね。テレビで見ましたよ。今日はよろしくお願いしますね」
園長は遊大の両手を握る。遊大は「こちらこそ、よろしくお願いします」と、少し戸惑いがちに返した。
「んで、残りのおまけが」
「石脂王子です!」
「八脚糸美です」
「秋晴小麦です」
花子のおまけという言葉に少し傷つきながらも、3人は自己紹介をした。
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