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私がいなきゃダメだからー7
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かなり長々とした世界史の解説に、遊大の箸が止まる。
「つまり、シモ・ヘイヘを特級兵士と例えるなら、ジャンヌ・ダルクは夜空君ということです。単純な強さで恐れられたシモ・ヘイヘと違い、ジャンヌ・ダルクは人々をまとめ上げる力で恐れられた。夜空君は日本初の飛び級をした訓練生。しかも配属初日から活躍し、メディアでも連日平和への希望として報じられています。君の言葉や行動には、人を動かす力がある。そういう意味なのかもしれません」
人を動かす力。そう言われてもいまいちピンと来ない遊大。それを察して糸美は言葉を追加した。
「これでもまだ強くなりたいと思うなら、阿玉先生が帰ってきた時に相談するといいかもしれません。あの人は接近戦のプロですから」
*
同時刻、埼玉某所の廃倉庫。灰色仁はその中で人を待っていた。約束の時間から5分超過。トタンの壁にもたれかかる仁は少しイライラしていた。
「待たせたな」
倉庫の入り口から男の声がし、人が入ってくる。ユニゾン革命隊十二勇士、ローランだった。
「大の大人、それも組織の中間管理職が時間も守れないのか」
「中間管理職は色々あって予定通りの行動ができないこともあるんだよ」
仁の文句にローランは冷たく返す。
「まあいい。それより、そろそろシャルル総督に会わせてくれないか? 木野子の侵入と横浜のロイドの試験運用。もう2回も革命隊に協力した。充分忠誠心は示せただろう」
対する仁も、冷たい口調でローランに要望を突きつける。それに対してローランは即答でこう突き返した。
「ダメだ」
「なぜだ」
「木野子の侵入時は、なぜかすぐ近くにあれに対処できるユニゾン持ちと、素早く支部全体にその情報を伝達可能なユニゾン持ちが居合わせていた。横浜ではポイントにパワー増強系の現役兵士に、その場の収拾にうってつけのユニゾン持ちがいた。これはどういうことだ」
淡々と説明するローランに対し、仁も自分の立ち位置を交えながら説明する。
「つまり、シモ・ヘイヘを特級兵士と例えるなら、ジャンヌ・ダルクは夜空君ということです。単純な強さで恐れられたシモ・ヘイヘと違い、ジャンヌ・ダルクは人々をまとめ上げる力で恐れられた。夜空君は日本初の飛び級をした訓練生。しかも配属初日から活躍し、メディアでも連日平和への希望として報じられています。君の言葉や行動には、人を動かす力がある。そういう意味なのかもしれません」
人を動かす力。そう言われてもいまいちピンと来ない遊大。それを察して糸美は言葉を追加した。
「これでもまだ強くなりたいと思うなら、阿玉先生が帰ってきた時に相談するといいかもしれません。あの人は接近戦のプロですから」
*
同時刻、埼玉某所の廃倉庫。灰色仁はその中で人を待っていた。約束の時間から5分超過。トタンの壁にもたれかかる仁は少しイライラしていた。
「待たせたな」
倉庫の入り口から男の声がし、人が入ってくる。ユニゾン革命隊十二勇士、ローランだった。
「大の大人、それも組織の中間管理職が時間も守れないのか」
「中間管理職は色々あって予定通りの行動ができないこともあるんだよ」
仁の文句にローランは冷たく返す。
「まあいい。それより、そろそろシャルル総督に会わせてくれないか? 木野子の侵入と横浜のロイドの試験運用。もう2回も革命隊に協力した。充分忠誠心は示せただろう」
対する仁も、冷たい口調でローランに要望を突きつける。それに対してローランは即答でこう突き返した。
「ダメだ」
「なぜだ」
「木野子の侵入時は、なぜかすぐ近くにあれに対処できるユニゾン持ちと、素早く支部全体にその情報を伝達可能なユニゾン持ちが居合わせていた。横浜ではポイントにパワー増強系の現役兵士に、その場の収拾にうってつけのユニゾン持ちがいた。これはどういうことだ」
淡々と説明するローランに対し、仁も自分の立ち位置を交えながら説明する。
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