Night Sky

九十九光

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心が悴む前にー5

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「おい、脳内花畑女、手ぇ放せ。あと俺らの前100メートル先を歩けや」

 颯天はイライラを隠すことなく花子に命令する。

「なんで?」

「てめえの連れだってだけで恥かくんだよ! つかなんだその服! アンパンマンのシャツにダメージジーンズってファッションセンス狂ってんのか! つか大人サイズのアンパンマンのシャツなんてどこで買った!」

「気になるの? ほしいの?」

「いるか、バカ女! 早く手ぇ放せ!」

「君たち横浜なんて初めてでしょ~? 私がいないと道迷うって~」

「じゃあどこ行くか教えろ! スマホのマップで合流するから100メートル離れろ!」

「すたみな太郎横浜綱島店」

「数年ぶりの外食が全国チェーンのバイキングってイカれてんのか! もっと小洒落た店用意しろよ!」

「雑居ビルの1階を借りたフランス料理店でも期待してた? 君ら小坊中坊には早いよ~」

「つかなんで徒歩なんだ! こっちは訓練したあとで疲れてんだよ! てめえが車出せや!」

「そんなことしたらお酒飲めないじゃん」

「仕事の一環だろ! 酒飲む気か!」

 そんな二人の言い争いを遊大は困惑しながら眺めていた。この二人と一緒に食事をし、最悪酔っ払った花子を介護しなければならないと考えると、今から胃もたれに近い症状が出てきた。

 気分を晴らすために、遊大は日が落ちかけている空を見上げる。高層ビルが立ち並んでいる空の中に、ひとつの空を飛ぶ小さな点が見えた。

「あの点、こっちに近づいて……」

「あ? なんの話して」

「下がれ、二人とも!」

 花子が両サイドにいた二人を後方に突き飛ばす。遊大が目を開けた時には、空に見えた点は歩道に突撃し、花子にぶつかっていた。

 点の正体は、赤と黒で塗装された人型のロボットのようなものだった。全長は目測で2メートルはある。

 ロボットと花子は両手を組んで力比べをしている。若干花子が後ろに押されていた。

「沈メ……。沈メ……」

 ロボットが呟く。

「……! 実砂君! 夜空君! 周辺の警察と兵隊と協力して民間人の避難を!」

「阿玉先生は!」

「このいかにも敵対的なロボをぶっ壊す!」
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