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心が悴む前にー2
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「優秀な科学者が入った……。と考えるのが自然ですかね」
「薬品についてはそれで解決じゃろう。じゃがセキュリティ突破はどう考えても説明がつかん」
佰年はマカロンをひとつ口に放り込むと、持論を展開する。
「周囲を囲う塀の高さは5メートル。その上には生き物が触れた瞬間電流が流れてセキュリティルームに通報する有刺鉄線がある。そのお陰でカラスやハトすら止まらん。監視カメラは7ヶ所の門や敷地全体、周囲20キロ以内の地下配管にも配置され、事件発生1時間以内に異常は見られなかった。空中からスカイダイビングで入ったとしても、人工衛星の映像にはそれらしき飛行物体は見られなかったし、何より降下に使用したはずのパラシュートの残骸すら見つからん。どこかから穴を掘って侵入するなんてプリズンブレイクじみた形跡もない」
佰年はユニゾンを用いない侵入方法をあれこれと語る。ユニゾンを使ったのではと仁が言うと、佰年の饒舌はさらに加速した。
「夜空のように空を飛べるユニゾン、土竜のように地中を移動できるユニゾンを使ったとしても、監視カメラに映らんわけがない。照州のように透明人間にできるユニゾンで人の出入りに便乗して侵入したとしても、そこに搭載されているサーモグラフィで熱探知して発見できる。ハッキングに特化したユニゾンでセキュリティを破ろうとしても、うちのセキュリティに干渉するには全タイトルを制覇したプロ棋士ですら正当率10%以下のわし自作の詰め将棋36問を一度も間違えずに解く必要がある。答えを暗記してない限り侵入は不可能。数は少ないが瞬間移動のユニゾンというものも過去には存在した。だがどれも、一度行った場所にしか行けなかったり、近しい人間のもとにしか行けなかったり、視界の範囲しか移動できなかったり、一歩間違えばその場の物と合体して死んでしまうなど、制約やリスクが大きいものばかり。そもそもそんなユニゾンで侵入しても監視カメラには映る。ユニゾンを使っての侵入も……」
「薬品についてはそれで解決じゃろう。じゃがセキュリティ突破はどう考えても説明がつかん」
佰年はマカロンをひとつ口に放り込むと、持論を展開する。
「周囲を囲う塀の高さは5メートル。その上には生き物が触れた瞬間電流が流れてセキュリティルームに通報する有刺鉄線がある。そのお陰でカラスやハトすら止まらん。監視カメラは7ヶ所の門や敷地全体、周囲20キロ以内の地下配管にも配置され、事件発生1時間以内に異常は見られなかった。空中からスカイダイビングで入ったとしても、人工衛星の映像にはそれらしき飛行物体は見られなかったし、何より降下に使用したはずのパラシュートの残骸すら見つからん。どこかから穴を掘って侵入するなんてプリズンブレイクじみた形跡もない」
佰年はユニゾンを用いない侵入方法をあれこれと語る。ユニゾンを使ったのではと仁が言うと、佰年の饒舌はさらに加速した。
「夜空のように空を飛べるユニゾン、土竜のように地中を移動できるユニゾンを使ったとしても、監視カメラに映らんわけがない。照州のように透明人間にできるユニゾンで人の出入りに便乗して侵入したとしても、そこに搭載されているサーモグラフィで熱探知して発見できる。ハッキングに特化したユニゾンでセキュリティを破ろうとしても、うちのセキュリティに干渉するには全タイトルを制覇したプロ棋士ですら正当率10%以下のわし自作の詰め将棋36問を一度も間違えずに解く必要がある。答えを暗記してない限り侵入は不可能。数は少ないが瞬間移動のユニゾンというものも過去には存在した。だがどれも、一度行った場所にしか行けなかったり、近しい人間のもとにしか行けなかったり、視界の範囲しか移動できなかったり、一歩間違えばその場の物と合体して死んでしまうなど、制約やリスクが大きいものばかり。そもそもそんなユニゾンで侵入しても監視カメラには映る。ユニゾンを使っての侵入も……」
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