Night Sky

九十九光

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窓を見たら外は春先ー2

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「今までの社会は、ユニゾンを危険な存在として見て、時には軍事利用もしてきました。多くの人にとって、ユニゾンは恐怖の対象でしかなかった。でも僕のユニゾンは違う。どんなに遠くから呼ばれても、この翼で飛んで駆けつけて、この手で触れれば壊れたオモチャも、傷ついた人も元通りにできる。北海道の僕のおばあちゃんが言ってくれたんです。僕のユニゾンはどのユニゾンよりも優しい、どのユニゾンよりも人を笑顔にできる可能性があるって」

 遊大は右の拳を握って、最後にこう言った。

「ユニゾンは人を幸せにする笑顔の魔法。僕は世界で初めての、人を笑顔にできる兵士になりたいです」

 インタビュアーも、壁の陰から見ていた面々も、10歳の子供がこんな思想を持っていることに、開いた口が塞がらなかった。

 緑の肌に4つの腕、3つの目を持つ大樹を除いて。



「これが赤味噌の味噌汁ですか……」

 その日の晩、遊大は食卓に出てきた赤味噌の味噌汁をまじまじと見つめる。北海道出身の彼にとって、味噌汁は白味噌で作るのが普通だった。

「名古屋では赤味噌が主流だよ。美味しいから飲んでみてよ」

 味噌汁を作った小麦がエプロンを外しながら勧める。彼女が作る関西よりの料理に慣れている他の面々は、これといった感想も言わずに飲んでいる。遊大も新しい味にチャレンジするために、初めての味噌汁に口をつけた。

「……。美味しい」

「よかった~! 腕によりをかけて作った甲斐があったよ~」

 小麦は遊大の短い感想に大満足だった。

 その後も雑談を挟みながら食事は進む。だが年上だらけの環境に、遊大はなかなか馴染めなかった。何を切り出せばいいのか分からず、ただただ出された食事を口に運ぶだけ。

 そんな彼に声をかけたのは、大樹だった。

「夜空、このあと時間あるか?」

 空いた食器を4つの手で持つ大樹に声をかけられ、遊大はそっちに視線を向ける。

「このあとは、お風呂入って寝るだけですから、時間ならありますけど……」

「じゃあ食器の片付けが終わったら一緒に来てくれるか?」

 何か話でもあるのだろうか。

 そう思いながら遊大は大樹の話を了承した。
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