Night Sky

九十九光

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僕らの革命前夜ー1

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 遊大の言う理想郷に放り込まれて1週間が過ぎようとしたある日。女子部屋では小麦が朝のニュース番組をかけていた。

 この日も、どこかの地域で伝統的な祭りが行われたとか、どこかの学校に有名なプロスポーツ選手がやって来たとか、平和なニュースばかりが流れていた。殺人や強盗などのマイナスなニュースは、ここに来て一切報じられている様を見たことがなかった。

 本当に争いのない世界なんだな。

 小麦は改めて感じた。

「小麦、昨日の深夜決勝が終わったサッカーW杯レソト大会の結果見たか?」

 自室からスマホを持って光がやって来た。

「日本は決勝トーナメント1回戦でスペインに負けたけど、どこが優勝したの?」

「すべての参加国がみんな頑張ったからみんな優勝って、全部の国に優勝トロフィーが授与された。みんな1位って格付けする幼稚園の運動会かっつーの」

 光はスマホをソファに投げ、あきれた様子を見せる。その横では糸美が、天気予報の1ヶ月予報を見ていた。

「もう台風シーズンですのに、赤道で卵ができてるという話すらありません。水不足にならない程度に雨が定期的に降っているお陰で、台風による降水で水不足を解消する必要がないからだと思います」

「そう言えば地震や噴火がどうのこうのってニュースもやらないね。人命に関わる災害は起きないようになってるのかな?」

 小麦が返答する。それとほぼ同時に、「っだあ、ちくしょう!」と、隣の部屋から颯天の声がした。

 何事かと思い3人が見に行くと、BOOK・OFFの袋を持った人陰と不満げな表情の颯天が、隣室の玄関にいた。

「おう、どうだった? スマブラあった?」

 王子の質問に颯天は「ねえよ……! 敵ボコる系のゲームはアクションもRPGも一切……! 帰りにソシャゲも確かめたが、フォトナどころかパズドラもなかった……! どこまで暴力描写削りゃ気が済むんだあのクソガキ……!」と、怒り心頭で返した。

「じゃあ何を持ってきたんだ?」

 さらに隣の部屋から雨が出てきて質問する。颯天が「いや、それは」とくぐもると、人陰が口を押さえながら答えた。
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