Night Sky

九十九光

文字の大きさ
上 下
150 / 379

ひゅ~どろろ ひゅ~どろろー1

しおりを挟む
 誕生日の夜、遊大はひとつの夢を見た。

 自分の周りに体格や性別の違う12人の男女らしき人物が立っている光景。その場をぐるりと一周することはできるが、彼彼女らに近づくことはできない。遊大は立っている人物たちを、どこかで見た覚えがある程度でしか認識できなかった。

「時は来た。夜空遊大、貴様に覚醒の時が来た」

 一人が遊大に話しかける。

「これからあなたに、11歳の精神で耐えられるかどうか分からないほど、辛い試練が待ち受けています」

「でも安心して。それをすべて乗り越えたら、君は本当の意味ですべての人を笑顔にできる人間になれる」

 本当の意味ですべての人を笑顔にできる?

 遊大はその言葉の意味を聞こうとしたが、声が出なかった。

「今のお前のユニゾン、ザ・ワールド・ハズント・イーブン・スターティッド・イェットでは、すべての人を笑顔にすることはできない」

「だが常人なら耐えられないほどの試練を乗り越えたら、ご褒美として新しい力が手に入るって話だ。ギブアンドテイクってやつだ」

 常人なら耐えられないほどの試練? この人たちは一体何を言っているんだ?

「詳しいことは言えねえ。それで未来が変わって、お前が覚醒しないって未来になりかねないからな」

「で、でも安心して。君は決して一人にはならない」

「むしろたくさんの人に囲まれて、君もみんなも幸せになれる未来が待ってるんだ」

 言っていることの意味がまるで分からない。この人たちは神か何かなのか?

「俺たちから一つ言えることがあるとすれば、君が受ける試練はとにかく辛いものだ。そしてそれに対して、君はすべてを受け止め、耐えるしかない」

「それで大切なものをたくさん失うことになる。けど心配すんな。何度も言うが、その先にはお前の望むものがある」

「そして失ったものは、永遠にお前のものにもなる」

 失ったものが永遠に自分のものになる? 矛盾してないか?

「安心して。私たちはずっと、遊大君を見守ってるから」

 そこで遊大は目が覚めた。時刻は午前5時を回ろうというところ。ドアの向こうから信也が呼ぶ声がする。

 遊大は昨日もらった金メッキのネックレスをかけてドアを開けた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

短編集てきなあれ。

海月さん
SF
なんとなく思いついた話をダラダラと投稿しています。 あと単純に当てはまるカテゴリがなかったのでSFにしてますがSFではない単話も書く予定です。

地球から追放されたけど、お土産付きで帰ってきます。

火曜日の風
SF
何となく出かけた飛行機旅行、それは偶然の重なり、仕組まれた偶然。 同じく搭乗している、女子高校生3人組、彼女達も偶然だろう。 目を開けたら、そこは宇宙空間でした。 大丈夫だ、テレポートができる。 そこで気づいてしまった、地球に戻れないという事実を。 地球から追放したは、どこの誰だ? 多少の犠牲を払いながら、地球に戻ってきたら、今度は地球がピンチでした。 ~~~~ カテゴリーはSFになってます。が、現代ファンタジーかもしれません。 しかし、お話の展開はインドアの人間ドラマが8割ほどです。 バトルはラスボス戦まで、一切ありません! 超能力の使用もほぼありません・・・ ーーーー ※男女の営みの描写はありません、空白になって情事後から始まります。 なろう、ツギクル、カクヨム転記してます。 続きの第2部をなろうにて始めました。

天使が恋を知ったとき

ハコニワ
SF
※この作品はフィクションです。 白崎聖人(しらさきまさと)はごく普通の男子高校生。しかし、ある日目覚めると同じ時間を何度も繰り返していることに気がつく。気づいているのは自分だけ。 同じクラスメイト羽衣天音(はごろもあまね)は才色兼備な美人だが、無口でまったく笑わないミステリアスな女子生徒。 タイムリープする世界を抜け出せるのはこの女子生徒を攻略しないといけない。聖人は無事この世界を抜け出せるか。 タイムリープする世界の謎と犯人を知ったとき、大切な存在に気づく。

超能力者の私生活

盛り塩
SF
超能力少女達の異能力バトル物語。ギャグ・グロ注意です。 超能力の暴走によって生まれる怪物『ベヒモス』 過去、これに両親を殺された主人公『宝塚女優』(ヒロインと読む)は、超能力者を集め訓練する国家組織『JPA』(日本神術協会)にスカウトされ、そこで出会った仲間達と供に、宿敵ベヒモスとの戦いや能力の真相について究明していく物語です。 ※カクヨムにて先行投降しております。

人生フリーフォールの僕が、スキル【大落下】で逆に急上昇してしまった件~世のため人のためみんなのために戦ってたら知らぬ間に最強になってました

THE TAKE
ファンタジー
落ちて落ちて落ちてばかりな人生を過ごしてきた高校生の僕【大楽 歌(オオラク ウタ)】は、諦めずコツコツと努力に努力を積み重ね、ついに初めての成功を掴み取った。……だったのに、橋から落ちて流されて、気付けば知らない世界の空から落ちてました。 神から与えられしスキル【大落下】を駆使し、落ちっぱなしだった僕の人生を変えるため、そしてかけがえのない人たちを守るため、また一から人生をやり直します!

わたしはしょうせつをかいた

凪司工房
SF
名前の売れていない三流の小説家がいた。彼のところにある依頼が舞い込む。それはAIに読ませるために小説を書いてくれないか? というものだった。 彼は実感のないまま、それでも小説を書き続ける。ある日、担当からファンレターが送られてくる。それはAIからのものだった。 これはある作家の数奇な運命を描いたSF短編である。

水の巫女の助手になる

ぽとりひょん
ホラー
たすくは探偵事務所でアルバイトを始める。 しかし、来る依頼は一風変わっている、つまりオカルトじみていたのだ。 たすくは霊の世界に引き込まれていく。 怖い思いをしながら彼は仕事を続ける。 それは、所長の沙也加が、好みのタイプだったからだ。 沙也加は、龍神の巫女の血を引いており、水を操ることができる。 その力で、悪霊、妖怪を退治していく。 たすくには、隠れた才能があり、仕事を続けていくうちに彼はその力に気づく。 しかし、彼には、自分の力をコントロールできない。 力を発言するには煩悩しかない。 たすくは沙也加にスケベと言われながら力を振るう。 その力は、沙也加の師匠の敵、呪い屋の美月も巻き込んでいく。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

処理中です...