Night Sky

九十九光

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ドキドキしたいじゃんか誰だってー1

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 東京にあるとある中等部、といっても兵士志願でもなければ寮制でもない一般の中等部の昼休み。2人の男子生徒がスマホの画面を眺めながら話をしていた。

「この2ちゃんの書き込み、信じるか?」

「んなこと言われたって……」

 2人が見ていたのは、掲示板サイトのオカルト部門にあった書き込みだった。内容は『【恐怖】関東大震災でデマによる暴徒が発生』という内容だった。

 関東大震災自体はこの2人も知っていた。20世紀の日本史上もっともひどかったと言われる地震。しかしそれ以上の情報は教科書にも載っていない。ましてや地震に乗じてデマが流れたなんて話は聞いたことなかった。

 掲示板の書き込みはこうだ。震災が起きてすぐ、海外から出稼ぎに来ていた外国人たちが井戸に毒を流した、建物に放火した、などの根も葉もない噂が流れ、自警団が出稼ぎ外国人を大勢殺したというもの。

 オカルト研究会に属している2人には非常に興味深い話。しかし自分たちだけでは噂の真相を確かめる方法はない。どうすればいいか悩んだ末、片方があることを思い出した。

「3年4組の火僧先輩、たしか幽霊を呼び出すユニゾン持ってたよな」

 それだ、となった2人は3年4組の教室に向かい、不織布マスクをつけている女子生徒、火僧弔李(カソウ トムライ)のもとに向かった。彼女は自分の席で、先日古本屋で買った本、『歴史は消えない』を読んでいた。

「火僧先輩、ちょっと頼みたいことが……」

 男子生徒の一人が弔李に事情を説明する。話を聞いた弔李は、バッサリと切り捨てた。

「やめておきなさい。霊とは時に人間に牙を向く。そうでなくとも、眠っていたい者も多い。それをむやみに起こすことは彼彼女らへの冒涜よ。そもそも公共の場でのユニゾン行使は法律が禁じているじゃない」

「ヤバくてもすぐに消せるんですよね? 一瞬呼び出して嘘かホントか確認するだけですから」

「それにタダでとは言いませんから。あんまり高いものは無理ですけど、大抵のものはプレゼントする気ですから」
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