カゴの中のツバサ

九十九光

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#1-2

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 そしてその日の帰り際、ホームルームを終えて荷物をまとめ終わると、少年は教室後方の出入り口から昇降口へ向かって出ていこうとする。そこを同じクラスの男子数名が、彼を囲い込むにようにして現れた。
「おい、こっち来いよ、幽霊。」
 囲む男子生徒の一人が少年の短い黒髪を乱暴につかんだ。少年はそのまま数名の男子生徒によって、校庭の一角へと連行された。
「幽霊なんだから人間の学校来てんじゃねえよ!」
 砂地の校庭に投げ出された少年は、自分を連れてきた男子生徒の人からそう言われながら頭を靴で踏みつけられた。
「いいぞ、イイダー!」
「除霊だ、除霊だー!」
「幽霊をやっつけろー!」
 周囲の生徒たちも、イイダと呼ばれた生徒を止めようともせず、同じように少年の体を蹴り、踏みつけていく。少年は抵抗しなかった。頭を押さえて足を曲げ、体を丸くして可能な範囲で防御の姿勢をとってはいるが、「お願い、やめて!」などの懇願の声はあげなかった。
 この暴行は、職員室から飛び出してきた彼らの担当教師がやってくるまで続いた。
「何やってるんだ、お前ら!」
 その男性教師の怒号を耳にして、暴行を働いていた男子生徒たちは雀の群れのように散り散りに逃げ去っていく。一人残された少年は、駆け付けた男性教師によって起こされた。そして男性教師は、砂ぼこりにまみれた少年の肩と尻を軽く叩きながら、彼に向ってこう言った。
「いいか? 何度も言ってるが、いじめられる側にも何か悪いところがあったんだぞ? きちんと胸に手を当てて考えてそれを直さないと、いつまでたっても終わらないぞ?」
 少年は何を言うこともなかった。
 少年は服を着替えるようなこともしないで地下鉄に乗り込み、自宅最寄りの駅からずっと距離が離れている駅で下車した。そこから歩いて三分もしない場所にある五階建てのビルの中に入り、指定されている教室の中に入った。横進ゼミナールと呼ばれる学習塾だった。
 その十分後。
 壁も天井も、それらを照らす蛍光灯も白いその部屋には、白や紺色を基調にした各々の小学校の制服を身に着けている小学生が、指定された自分の席におとなしく座っている。担当
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