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第4章

⑩目覚めると…

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目を覚ますと、白い天井が視界に広がっていた。
どこ? 独房じゃない…。

とりあえず上半身を起こし、あたりを見渡す。

あたしが寝ていたのは、シーツから掛け布団まですべてが白色で統一されているベッドだった。詰めたらもう1人寝られそうなくらい広いし、フカフカで寝心地が良い。

明らかに囚人用じゃない。

ベッドは外から見えないように、水色のカーテンで囲われている。
一言でこの場を説明するなら、病院。

「そっか、あたし…倒れて」

段々と頭が冴えてきて、記憶が蘇る。

真咲まさき…真咲は!?」

ベッドから立ち上がろうとした時、ここは病院ではないと分かった。
布団で気付かなかったけど、足にはちゃんと鎖が巻かれて逃げられないようになってた。

刑務所内の保健室…みたいな感じかぁ。

真咲は無事だと信じたい。でも、最後に見た彼女は…。
傷だらけで失禁していた光景が蘇り、頭が痛くなる。

体はもちろんだけど、精神面が心配。

とりあえず誰か来たら、真咲について聞いてみよ。

「ていうか…」

あたしも脱がされてたし、【あれ】をかけられたよね!?
急いで両手で顔を擦るも、何かついている感じはしない。

それに破られたはずの囚人服も元通りだし…嘘?

股に違和感がない。
ズボンに手を突っ込んで触ってみると、布のパンツだった。
貞操帯が外されている…。

「一体何がどうなって…」

んー。
色々考えるけど、動けないし、できることがない。
体も重たい感じがするから後少しだけ寝よう。

刑務所なら、どうせ無理やりにでも起こされるでしょ。

体を勢い良く倒してもボフッと受け止めてくれる。
独房の布団よりずっといいな。


✢✢✢

んっ…。

なんかくすぐったい。
誰かに体を触られているような感覚、ゾワッとする!

何? 金縛り!?

焦りと恐怖から一気に目が覚めた。
反射的に体を起こすと、ベッドの右横からあたしの足に手を伸ばしている女がいた。

毛玉が目立つ薄ピンクのスウェットシャツを着ていて、同じ色のヘアキャップをつけている。お風呂上がりのような格好。
顔は…目つき悪っ!

「誰!?」

あたしの叫びに女はムッとする。
マジで知らない人…。
だけど、彼女が声を出した時、その正体が分かった。

「失礼ねぇ」

「え…嘘」

コイツ! 立花たちばなルナだ。
すっぴんの。
全然違うじゃん! じゃなくて。

「何のつもり…」

「助けてもらった恩人に対してツンツンして。ほんと生意気ねぇ」

そうだ…。
男たちに脱がされ、犯されるって時に。
もし来なかったらあたしも。

力づくで貞操帯を壊され、真咲と同じように入れられていたかもしれない。

「信用はしてないけど、どうして? あたしが犯された方が面白かったでしょ」

「やられたら冷めるわよぉ。わたしは自分のおもちゃに手を出されるのがすっごく嫌だからぁ。それに冴木さえきは元々気に入らなかったし、潰すチャンスを探ってたのよぉ」

ま、善意で助けた…なんてことはないよね。
この女に限っては。

看守たちが囚人を痛めつける際、こだわり? みたいなのがあるのは今回の件で少し分かった。
あたしが男たちに壊されるのは、立花ルナにとっては避けたいってことね。

「そんなことだろうと思った。で、冴木は?」

「フフフ、そのうち見せてあげる~。懲罰房にぶち込んであるわぁ」

恐ろしい笑顔だ。
あの時と同じ。

顔を何度も叩きつけ、鼻血が出てもやめない。
コイツの恐ろしさを分からされた気分。

いや、冴木なんてあたしにとってはどうでもいい。

「…真咲は?」

「しばらく入院になるわねぇ。ぶっちゃけ体は平気よぉ? でも」

「でも?」

「退院して戻ってきたら分かるわぁ」

「そっか」

会いたいけど。
真咲はどうなんだろう。
あたしを見て、怒るかな。

助けられなかったし、真実を知ってしまったわけだし。

無力で何もできなくて。
情けなくて。
あたしだけ助かって。

感情を抑えきれず、布団を握る力が強くなっていく。
悔しいよ。

思い出すほど、心が切り裂かれた感覚に陥る。

ポタポタと水が垂れてきて、自分が泣いていることに気付いた。
コイツにこんな姿見せるなんて、最悪。
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