28 / 51
第4章
①刑務所での暮らし〜沙羅の変化〜
しおりを挟む
「はぁはぁ…もう、ダメ」
腕と足が小刻みに震えていた。
それは隣にいる真咲も同じ。
思い返せば4日間、ひたすら手を動かし続けていた気がする。
何度も擦り、全身濡れまくった。
そして今日…ようやく!
『終わったー!!』
2人で叫ぶ。
目の前に広がるのは、不快感なく使えるほどキレイになったトイレ。
壁の黒ずみも便器の汚れも気にならない。
新品…とまではいかないけど、心地良さすら感じる空間になった。
最後の数時間、ブラシで床を擦り続けたから腕と足に力が入らないや。
外にいた頃はこんな面倒な作業は勘弁だったな。
でも、なんだろ。
達成感? で満たされている。
「掃除なんて真面目にしたことなかったけど、気持ちいいじゃん」
「沙羅も上手になったよ! 最初の頃は全然磨けてなかったですけど」
「真咲も、言葉遣いがだいぶ抜けてきたし、イジるようになったね」
エヘヘと笑い合う。
協力して何かをやり遂げることの嬉しさ…刑務所に来なかったら知らなかったかも。
「頑張ったし、一番乗りはもらっちゃおうよ」
お互いズボンを下ろし、便器に座る。
まだ貞操帯はついたままだけど、どうやら真咲はそろそろ取ってもらえるのだとか。
鍵を持っているクソ女がいないから、あたしはまだ先かな。
帰って来たとしても外してくれなさそうだし、期待はしないでおこう。
「なんか貞操帯でおしっこするのも慣れちゃったな、悔しいことに」
「ボクも」
刑務所の生活にすっかり染まってしまった自分がいる。
ちょっと不思議。
トイレを流して背伸びをしていると、作業終了を告げるチャイムが鳴った。
「明日からはどんなことをするんだろう…」
「多分、運動が入ると思う」
「え? なにそれ」
✢✢✢
その答えは翌日になってすぐに分かった。
あたしは今、外の運動場でめっちゃ走っている!
更生プログラムは犯罪を繰り返さないため、再教育も兼ねているらしい。
作業の他にも講座や集団行動もあるなんて…。
トイレ掃除が終わったあたしと真咲も、走り込みに合流することになった。
でも、これに関しては。
「37番いいぞ! 他も続け!」
あたしの得意分野!
運動だけは小さい頃から出来たもん。
「真咲、頑張って!」
「う、うん!」
周回遅れの真咲の背中を軽く叩き、追い越す。
掃除よりも楽だ~。
芝生の上を走るのも気持ちいいし。
ま、貞操帯は重くて嫌だけどね。
あたしは1位で走り終え、真咲を待った。
みんなが走っているところを木陰から見守る。
今日は26~50番がトレーニングらしいけど…。
前に会ったヤツはいない。
ほんとに何者だろ。
「ふぇええ…」
真咲はビリでゴールイン。
フラフラ歩いて芝生に向かって顔から倒れた。
運動は向いてなさそうと思ったけど、ここまでとは。
急いでタオルと水を渡しに行った。
「ありがとう、沙羅…。ボク走るの苦手、貞操帯重いし」
「まぁ、昔から動いてばっかりだったからさ。確かに、あたしたちだけ筋トレも含んでるよね!」
なんか運動部みたいな感じ。
他の囚人たちも助け合ってるし。
立花ルナとかいうヤツがいないだけで、こうも刑務所暮らしが良くなるなんてね。
帰って来なくていいよ、ほんと。
腕と足が小刻みに震えていた。
それは隣にいる真咲も同じ。
思い返せば4日間、ひたすら手を動かし続けていた気がする。
何度も擦り、全身濡れまくった。
そして今日…ようやく!
『終わったー!!』
2人で叫ぶ。
目の前に広がるのは、不快感なく使えるほどキレイになったトイレ。
壁の黒ずみも便器の汚れも気にならない。
新品…とまではいかないけど、心地良さすら感じる空間になった。
最後の数時間、ブラシで床を擦り続けたから腕と足に力が入らないや。
外にいた頃はこんな面倒な作業は勘弁だったな。
でも、なんだろ。
達成感? で満たされている。
「掃除なんて真面目にしたことなかったけど、気持ちいいじゃん」
「沙羅も上手になったよ! 最初の頃は全然磨けてなかったですけど」
「真咲も、言葉遣いがだいぶ抜けてきたし、イジるようになったね」
エヘヘと笑い合う。
協力して何かをやり遂げることの嬉しさ…刑務所に来なかったら知らなかったかも。
「頑張ったし、一番乗りはもらっちゃおうよ」
お互いズボンを下ろし、便器に座る。
まだ貞操帯はついたままだけど、どうやら真咲はそろそろ取ってもらえるのだとか。
鍵を持っているクソ女がいないから、あたしはまだ先かな。
帰って来たとしても外してくれなさそうだし、期待はしないでおこう。
「なんか貞操帯でおしっこするのも慣れちゃったな、悔しいことに」
「ボクも」
刑務所の生活にすっかり染まってしまった自分がいる。
ちょっと不思議。
トイレを流して背伸びをしていると、作業終了を告げるチャイムが鳴った。
「明日からはどんなことをするんだろう…」
「多分、運動が入ると思う」
「え? なにそれ」
✢✢✢
その答えは翌日になってすぐに分かった。
あたしは今、外の運動場でめっちゃ走っている!
更生プログラムは犯罪を繰り返さないため、再教育も兼ねているらしい。
作業の他にも講座や集団行動もあるなんて…。
トイレ掃除が終わったあたしと真咲も、走り込みに合流することになった。
でも、これに関しては。
「37番いいぞ! 他も続け!」
あたしの得意分野!
運動だけは小さい頃から出来たもん。
「真咲、頑張って!」
「う、うん!」
周回遅れの真咲の背中を軽く叩き、追い越す。
掃除よりも楽だ~。
芝生の上を走るのも気持ちいいし。
ま、貞操帯は重くて嫌だけどね。
あたしは1位で走り終え、真咲を待った。
みんなが走っているところを木陰から見守る。
今日は26~50番がトレーニングらしいけど…。
前に会ったヤツはいない。
ほんとに何者だろ。
「ふぇええ…」
真咲はビリでゴールイン。
フラフラ歩いて芝生に向かって顔から倒れた。
運動は向いてなさそうと思ったけど、ここまでとは。
急いでタオルと水を渡しに行った。
「ありがとう、沙羅…。ボク走るの苦手、貞操帯重いし」
「まぁ、昔から動いてばっかりだったからさ。確かに、あたしたちだけ筋トレも含んでるよね!」
なんか運動部みたいな感じ。
他の囚人たちも助け合ってるし。
立花ルナとかいうヤツがいないだけで、こうも刑務所暮らしが良くなるなんてね。
帰って来なくていいよ、ほんと。
31
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる