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第3章

⑩不思議な出会い

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「ごめん、驚かさせちゃったね?」

背後からあたしの右腕を掴んだ正体は、刑務所という場で見るには十分におかしい人だった。

だって。

茶色のチェック柄が可愛いフレアスカートを履いていて、上は涼しげな白のカットソー。
太ヒールの黒いサンダルで足元まで着飾っている。

囚人? 看守? 誰だ?

しかも髪は毛先が巻かれた茶色のセミロングで、オシャレな薄ピンクのインナーカラーが存在感を発揮していた。

「戸惑ってるね? そんなジロジロと観察して」

オシャレな丸メガネ越しの大きな瞳が、あたしを捉える。
てか、アイメイクまでしてるし。

「あんた、何者?」

「何者って、キミと同じ囚人だよ。更生プログラムを受けているね」

ダメだ、余計に混乱する。
囚人なわけないでしょ。

こんな服装の時点で。

「囚人に見えないと言いたそうな顔だね」

あたしの腕を離して距離を取り、くるりと回ってスカートをなびかせた。
まるで「可愛いでしょ? この格好」とからかうように。

「まずはその警戒した表情をやめてよね、37番沙羅。ウチだってね、普通に囚人服を着てたよ。昔はね」

「昔は?」

「信頼度スコアってあるでしょ? あれをいーっぱい集めたら、許されちゃった」

あ~、あったな。
悪いことをすれば厳しくなり、良い行いで信頼を得れば刑務所内で自由が手に入るっていう。

「ここに来て3年。今じゃ看守もウチの言う事を聞くようになっちゃった」

「3年? 何にやって捕まったの?」

笑顔のまま近づいてきて、あたしの頬に両手を添えた。
緊張が走る。

「ウチはね、神様だったんだよね」

「それ、どういう意味?」

女は手をどかし、そのまま建物に向かって陽気な足取りで歩いていく。
無視かよ、と思ったと同時に振り返り、初めて真顔を見せた。

「言いなりになる人が、いっぱいいたってこと。それじゃ、甘楽沙羅かんら さらちゃん。またそのうちね」

「なんであたしの名前を!」

追いかけるための一歩は出せなかった。
どことない恐怖感。

あの真顔からにじみ出る嫌なオーラは、少し立花ルナに似ていた。


✢✢✢


就寝時間になり、あたしは独房で横になっていた。
昼間に会った女。

3年もいるって、ほんとに何者だよ。
真咲まさきに聞いても知らなかった。

何番かも分からない。

そりゃ民間とはいえ刑務所だから、ヤバいヤツが一定数いるのは確かだけど。
でも更生プログラムは軽犯罪や若者が対象でしょ。
年単位で入るなんて、どう考えてもおかしい。

胸騒ぎがする。

あたしの名前を知ってたし、またそのうちねって…。

仲良くなれるタイプじゃなさそう。
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