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第2章
①性悪看守との出会い〜更生プログラムスタート〜
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ガチャッと扉が開けられ、担当看守とのご対面…だけど。
理解が追いつかなかった。
ヒールの高い黒のロングブーツ。
紺色の…ミニスカ!?
コイツ。
本当に看守か?
「あらあら。あなたが37番さん?」
制服の白いシャツは第3ボタンまで開け、黒いブラと谷間がしっかり見える。
セミロングの髪は桜色で、カールがかかってゆるふわ。
爪はピンク色に輝くラメネイル。
つけまとカラコンまで使ったパッチリお目々のフルメイク。
看守のコスプレをしたギャルでしょ。
「…37番です」
あたしの顔をじっくりと見て、口元だけがニヤッと笑った。
甘い香りが鼻に入ってくる。
「仲良くしよ~ねぇ」
頬を触られた瞬間、全身に走る寒気。
鳥肌が立つ。
本能で感じ取った。
この女…相当ヤバい。
「わたしが担当の立花ルナ。よろしくねぇ~」
「よろしく、お願いします…」
あたしの挨拶を聞いてニコニコと笑ったと思ったら、急に真顔になり、耳元でささやく。
「声、小さい。立場わかってんのぉ? 次~同じことしたらぁ…意地悪しちゃうかもぉ」
「はい」
やっぱりね。
こういうタイプだと思った。
平気で人間を追い詰めるような性格の悪さがにじみ出てる。
椿さんとは違ったやりにくさ。
「よろしいよろしい。じゃあ早速、更生プログラム開始だよぉ」
ルナとかいう女が腰にかけるポーチから取り出したのは、革製の黒いベルトだった。
ズボンやスカートが落ちないようにする物としては短すぎる。
でも調整用の穴が開いているし、固定する金具もついている。
まさか…。
「つけてあげるねぇ」
ニヤニヤしながらベルトをあたしの首に巻きつけ、ガッチリと締める。
やっぱり…首輪だ。
「これ、何ですか?」
「ペットの証よ~。だって、腰縄って人に付けるものでしょ? わたしからしたらあなたはまだ人間じゃないの。歩く時は首輪とリードよぉ」
エッチを我慢するよりも、コイツをしばかないようにする方が大変そう。
いちいち気に障って仕方ないんだけど。
さらに首輪にリードを装着され、そのまま独房の外に引っ張り出された。
「あ、そうだぁ。37番は人を殴る凶暴なメス犬だったねぇ」
今度は後ろ手を組まされ、そのまま手錠をかけられる。
「何もしません、から…」
「信用できなぁい。そうやって襲うんでしょ?」
コイツまじで…。
でも、手錠で拘束されるのは逆にありがたい。
手を出さない自信がないから。
あたしはそのままリードを引かれて歩き、ある部屋に連れて来られた。
「トイレ…」
仕切りなしで洋式便所が8個並んでいる。
囚人は用を足す時も丸見えってわけね。
それにしても…。
臭い。
全然掃除されていない。
床・壁・便器のすべてが黒ずみだらけ。
幸い排泄物は残っていないみたいだけど、マスクなしでは耐えられないような悪臭が漂っている。
「わたし~こういう汚いとこ嫌い~。37番には、数日かけてここをキレイにしてもらうよぉ。掃除してぇ、汚れと一緒に心もピカピカにねぇ」
性悪女はあたしの手錠とリードだけを外し、そそくさとトイレから出ていく。
「じゃあねぇ。どのくらい変わるか楽しみ」
入口のドアを閉め、外から鍵をかけられた。
見張りはなしだけど、掃除が進んでなかったらヤッちゃうぞ…ってことね。
とりあえず道具を探してみると、水道、ホース、タワシ2個、洗剤、パイプ椅子があった。
「てか…掃除ってどうやるんだろ」
そういえばやったことがない。
水撒いて擦れば落ちる?
どこから手を付ければいいんだろ。
壁? 便器? 床?
とりあえず蛇口にホースを繋ぎながら考えていると、入口が開く音がした。
「33番。お前はここでトイレ掃除をしろ」
あたしの担当看守とはまったく逆。
軍隊にいそうなくらいピシッとした厳しそうな人。
そして囚人服を着た女が突き飛ばされて入ってきた。
汚い床に顔からズッコケる。
うわ、あたしだったらガチギレだ。
バン! と勢い良く閉まるドアの音で現実が見えた。
目の前で倒れて動かない黒髪ボブの女。
掃除のやり方を知らないあたし。
担当看守はカス。
「…これ、やばくない?」
更生プログラム。
乗り切れる気がしない!
理解が追いつかなかった。
ヒールの高い黒のロングブーツ。
紺色の…ミニスカ!?
コイツ。
本当に看守か?
「あらあら。あなたが37番さん?」
制服の白いシャツは第3ボタンまで開け、黒いブラと谷間がしっかり見える。
セミロングの髪は桜色で、カールがかかってゆるふわ。
爪はピンク色に輝くラメネイル。
つけまとカラコンまで使ったパッチリお目々のフルメイク。
看守のコスプレをしたギャルでしょ。
「…37番です」
あたしの顔をじっくりと見て、口元だけがニヤッと笑った。
甘い香りが鼻に入ってくる。
「仲良くしよ~ねぇ」
頬を触られた瞬間、全身に走る寒気。
鳥肌が立つ。
本能で感じ取った。
この女…相当ヤバい。
「わたしが担当の立花ルナ。よろしくねぇ~」
「よろしく、お願いします…」
あたしの挨拶を聞いてニコニコと笑ったと思ったら、急に真顔になり、耳元でささやく。
「声、小さい。立場わかってんのぉ? 次~同じことしたらぁ…意地悪しちゃうかもぉ」
「はい」
やっぱりね。
こういうタイプだと思った。
平気で人間を追い詰めるような性格の悪さがにじみ出てる。
椿さんとは違ったやりにくさ。
「よろしいよろしい。じゃあ早速、更生プログラム開始だよぉ」
ルナとかいう女が腰にかけるポーチから取り出したのは、革製の黒いベルトだった。
ズボンやスカートが落ちないようにする物としては短すぎる。
でも調整用の穴が開いているし、固定する金具もついている。
まさか…。
「つけてあげるねぇ」
ニヤニヤしながらベルトをあたしの首に巻きつけ、ガッチリと締める。
やっぱり…首輪だ。
「これ、何ですか?」
「ペットの証よ~。だって、腰縄って人に付けるものでしょ? わたしからしたらあなたはまだ人間じゃないの。歩く時は首輪とリードよぉ」
エッチを我慢するよりも、コイツをしばかないようにする方が大変そう。
いちいち気に障って仕方ないんだけど。
さらに首輪にリードを装着され、そのまま独房の外に引っ張り出された。
「あ、そうだぁ。37番は人を殴る凶暴なメス犬だったねぇ」
今度は後ろ手を組まされ、そのまま手錠をかけられる。
「何もしません、から…」
「信用できなぁい。そうやって襲うんでしょ?」
コイツまじで…。
でも、手錠で拘束されるのは逆にありがたい。
手を出さない自信がないから。
あたしはそのままリードを引かれて歩き、ある部屋に連れて来られた。
「トイレ…」
仕切りなしで洋式便所が8個並んでいる。
囚人は用を足す時も丸見えってわけね。
それにしても…。
臭い。
全然掃除されていない。
床・壁・便器のすべてが黒ずみだらけ。
幸い排泄物は残っていないみたいだけど、マスクなしでは耐えられないような悪臭が漂っている。
「わたし~こういう汚いとこ嫌い~。37番には、数日かけてここをキレイにしてもらうよぉ。掃除してぇ、汚れと一緒に心もピカピカにねぇ」
性悪女はあたしの手錠とリードだけを外し、そそくさとトイレから出ていく。
「じゃあねぇ。どのくらい変わるか楽しみ」
入口のドアを閉め、外から鍵をかけられた。
見張りはなしだけど、掃除が進んでなかったらヤッちゃうぞ…ってことね。
とりあえず道具を探してみると、水道、ホース、タワシ2個、洗剤、パイプ椅子があった。
「てか…掃除ってどうやるんだろ」
そういえばやったことがない。
水撒いて擦れば落ちる?
どこから手を付ければいいんだろ。
壁? 便器? 床?
とりあえず蛇口にホースを繋ぎながら考えていると、入口が開く音がした。
「33番。お前はここでトイレ掃除をしろ」
あたしの担当看守とはまったく逆。
軍隊にいそうなくらいピシッとした厳しそうな人。
そして囚人服を着た女が突き飛ばされて入ってきた。
汚い床に顔からズッコケる。
うわ、あたしだったらガチギレだ。
バン! と勢い良く閉まるドアの音で現実が見えた。
目の前で倒れて動かない黒髪ボブの女。
掃除のやり方を知らないあたし。
担当看守はカス。
「…これ、やばくない?」
更生プログラム。
乗り切れる気がしない!
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