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第1章
③いよいよ刑務所へ!え、いきなりお姫様だっこ!?
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朝。
いつも通り起きた。
トイレと洗面台に連れて行ってもらい、おしっこして顔を洗う。
その後は独房へ戻り、朝食の時間だ。
食パンとマヨネーズが付いたレタスサラダ。
挟んでサンドイッチみたいにすると意外に美味しい。
すっかり慣れてしまった留置所のモーニングルーティンだけど、ここで過ごす朝は今日で最後。
まぁ3ヶ月なら頑張れるかぁ。
✢✢✢
裁判の時みたいに手錠と腰縄を付けられ、地下駐車場までやって来た。
一緒に刑務所へ行く女が7人いるけど、みんなおばさんだ。
懲役組っぽいから友達にはなれなそう。
残念……とため息をつくと、大きなトラックがゆっくり走ってきて目の前で止まった。
街でよく見るやつ。
これ刑務所行きだったんだ。
ボディは濃い青色で、白黒ストライプの大きな箱が乗っている。
外から見たら趣味の悪い奇抜なトラックにしか見えない。
警察官が2人がかりで厳重そうなロックを解除し、荷台のドアを開ける。
中にはベンチのような横に長い椅子が設置されていた。
「甘楽 沙羅。お前が一番だ」
担当の警察官に言われ、トラックに乗り込んで座る。
何時間走るんだろう…なんて考えていると、目隠しを付けられた。
あ、これは聞いたことがある。
刑務所の外観や周辺の地理が分からないようにするためらしい。
確か民間刑務所ができたばかりの頃は、警備の甘さから脱獄者が続出してニュースを騒がせてたっけ。
あたしは3ヶ月くらいだから逃げる気ないけど、3年とか言われたら怪しかったなぁ。
見えてないけど、多分全員乗ったらしい。
ゆっくりとトラックが動き出したのが分かった。
暗闇の中、ぼーっと揺られながら今後の生活を考える。
髪は黒にさせられるのかな、ブラってダメだっけ?
集団部屋とかならウザい先輩風吹かせるやついそう…。
あ、看守は女性だろうし、あんまり舐められないようにしないと。
女のいじめは陰湿でダルいから。
目は付けられたくないなぁ。
走り出して1時間くらい経った頃。
エンジンが止まり、扉の開く音がした。
それぞれ名前を呼ばれた人から降りていく。
囚人たちはまだ目隠しをされたままだ。
「段差あります」「ゆっくり歩いてください」など、女性看守たちの声が聞こえる。
外せばスムーズなんだけどな。
まぁ、どこの民間刑務所なのか、玄関がどんな構造なのか。
そういった情報を伏せるためだから仕方ないね。
あたしの隣に座っていた人も連れて行かれた。
さて、いよいよか…。
ん?
いつになっても呼ばれない。
え、放置!?
多分あたし以外乗っていないよね。
刑務所内で誰か暴れてトラブルか何かあった?
焦らされるとペースが乱されるなぁ…。
目隠しされたまま待つこと10分くらい。
ようやく誰かが乗ってきた。爽やかな香りだ。
「キミが甘楽 沙羅?」
女性の声だった。
芯があって、少し低め。
コクリと頷いて返事をする。
「分かった。いや、すまないね。ちょっとしたトラブルがあって。とりあえず立ってもらっても大丈夫かな?」
指示に従って立ち上がると手を掴まれ、ゆっくりと引かれてトラックを降りた。
ここからも結構歩くのかな~と呑気に考えていると…。
「時間がないんだ。走るよ」
「えぇ!!」
看守に言われて情けない声を出してしまった。
走ることに驚いたわけじゃない。
今、あたし。
お姫様だっこされている!?
一瞬で抱き上げられた……なんて力。
ほんとうに女?
しかもそれだけじゃない。
すっごいスピードで移動している。
身体能力いかついって。
てか、他の囚人とか見られてないよね?
恥ずかしすぎるんだけど……。
そのままあたしは刑務所の施設内まで運ばれたらしい。
降ろされた後、ついに目隠しを取られる。
ずっと暗闇だったから、思うように見えない。
徐々にピントが合うようになり、視界がクリアになっていく。
さて、あたしを運んだ看守さんとご対面だ。
いつも通り起きた。
トイレと洗面台に連れて行ってもらい、おしっこして顔を洗う。
その後は独房へ戻り、朝食の時間だ。
食パンとマヨネーズが付いたレタスサラダ。
挟んでサンドイッチみたいにすると意外に美味しい。
すっかり慣れてしまった留置所のモーニングルーティンだけど、ここで過ごす朝は今日で最後。
まぁ3ヶ月なら頑張れるかぁ。
✢✢✢
裁判の時みたいに手錠と腰縄を付けられ、地下駐車場までやって来た。
一緒に刑務所へ行く女が7人いるけど、みんなおばさんだ。
懲役組っぽいから友達にはなれなそう。
残念……とため息をつくと、大きなトラックがゆっくり走ってきて目の前で止まった。
街でよく見るやつ。
これ刑務所行きだったんだ。
ボディは濃い青色で、白黒ストライプの大きな箱が乗っている。
外から見たら趣味の悪い奇抜なトラックにしか見えない。
警察官が2人がかりで厳重そうなロックを解除し、荷台のドアを開ける。
中にはベンチのような横に長い椅子が設置されていた。
「甘楽 沙羅。お前が一番だ」
担当の警察官に言われ、トラックに乗り込んで座る。
何時間走るんだろう…なんて考えていると、目隠しを付けられた。
あ、これは聞いたことがある。
刑務所の外観や周辺の地理が分からないようにするためらしい。
確か民間刑務所ができたばかりの頃は、警備の甘さから脱獄者が続出してニュースを騒がせてたっけ。
あたしは3ヶ月くらいだから逃げる気ないけど、3年とか言われたら怪しかったなぁ。
見えてないけど、多分全員乗ったらしい。
ゆっくりとトラックが動き出したのが分かった。
暗闇の中、ぼーっと揺られながら今後の生活を考える。
髪は黒にさせられるのかな、ブラってダメだっけ?
集団部屋とかならウザい先輩風吹かせるやついそう…。
あ、看守は女性だろうし、あんまり舐められないようにしないと。
女のいじめは陰湿でダルいから。
目は付けられたくないなぁ。
走り出して1時間くらい経った頃。
エンジンが止まり、扉の開く音がした。
それぞれ名前を呼ばれた人から降りていく。
囚人たちはまだ目隠しをされたままだ。
「段差あります」「ゆっくり歩いてください」など、女性看守たちの声が聞こえる。
外せばスムーズなんだけどな。
まぁ、どこの民間刑務所なのか、玄関がどんな構造なのか。
そういった情報を伏せるためだから仕方ないね。
あたしの隣に座っていた人も連れて行かれた。
さて、いよいよか…。
ん?
いつになっても呼ばれない。
え、放置!?
多分あたし以外乗っていないよね。
刑務所内で誰か暴れてトラブルか何かあった?
焦らされるとペースが乱されるなぁ…。
目隠しされたまま待つこと10分くらい。
ようやく誰かが乗ってきた。爽やかな香りだ。
「キミが甘楽 沙羅?」
女性の声だった。
芯があって、少し低め。
コクリと頷いて返事をする。
「分かった。いや、すまないね。ちょっとしたトラブルがあって。とりあえず立ってもらっても大丈夫かな?」
指示に従って立ち上がると手を掴まれ、ゆっくりと引かれてトラックを降りた。
ここからも結構歩くのかな~と呑気に考えていると…。
「時間がないんだ。走るよ」
「えぇ!!」
看守に言われて情けない声を出してしまった。
走ることに驚いたわけじゃない。
今、あたし。
お姫様だっこされている!?
一瞬で抱き上げられた……なんて力。
ほんとうに女?
しかもそれだけじゃない。
すっごいスピードで移動している。
身体能力いかついって。
てか、他の囚人とか見られてないよね?
恥ずかしすぎるんだけど……。
そのままあたしは刑務所の施設内まで運ばれたらしい。
降ろされた後、ついに目隠しを取られる。
ずっと暗闇だったから、思うように見えない。
徐々にピントが合うようになり、視界がクリアになっていく。
さて、あたしを運んだ看守さんとご対面だ。
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