毎日記念日小説

百々 五十六

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10月30日 卵かけご飯の日

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今日の雑談はどんな雑談だろう?
昨日は先生達の研修で雑談部屋が使えなかったしなぁ。
今日は目一杯楽しみたいなぁ。
楽しい雑談になるかな?
雑談欲求がたまってるよ!!
この欲求を今日の雑談に、今日の『雑談部屋』にぶつけてみるよ!!!
今日はどんな雑談になるかな?
どんな話題が来るかな?
この欲求は解消されるのかな?
楽しみだなぁ。
楽しみだなぁああ!!
テンションを上げて、俺は『雑談部屋』に入っていった。







今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。


”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”

やっぱりアナウンスが止んだ。
やはり、雑談部屋で一番無駄な時間なう。
AIはここを修正しないのだろうか?
やっぱ、修正しないかぁ。
修正してくれないかなぁ。
毎回同じこと思ってるなぁ。
ある意味、これがルーティーンみたいなところあるしなぁ。
そう考えると、意味があるのかなぁ?
意味、あったのかな…
このルーティーンやめようかな?
どうしよう。
でも、これをやめて、調子崩したら辛いから、続けるかぁ。
再びアナウンスが鳴った。


”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『食卓』です。
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『九条様』『森様』『中川様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『たまごかけごはん』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”

アナウンスがやんで、光に包まれた。
卵かけご飯か。
卵かけご飯かぁ……
いい話題だな。
食べ物の話題という比較的話が広がりやすくて盛り上がりやすい話題。
その中でも、卵かけご飯は、こだわるポイントや独自性を出すポイントであふれている。
何より、身近な食べ物だということがいい。
誰でも話せる。
誰でも何か思い出のある話題。
最高の話題だなぁ。
今日は勝ったな。
絶対に盛り上がるでしょ。
盛り上がっているところが簡単に想像できる。
今日はどんなに手を抜いても盛り上がるそんな日だな。
まぁ、一応テーマを決めるか。
”卵かけご飯のこだわり”とかでいいんじゃないかな?
これくらいふわっとしたテーマの方がどんどん話が広がっていい気がするな。
話題が決まったところで、光が収まった。

話しだしは、俺だった。

「今日の話題は『卵かけご飯』だな。みんなの卵かけご飯のこだわりは何だ?俺は、最後にこしょうを振るのがこだわりだな。ちょっとした刺激になっておいしいぞ」
「私は、こだわりってほどじゃないんだけど、めんつゆでたまに食べることがあるかな、うん。気軽に味変ができるところが、卵かけご飯のいいところだよね」
「俺は、手軽に食べることがこだわりだな!!!白身をいじったり、黄身をいじったり、ご飯をいじるなんてことをせず、その場にあるご飯と、その場にある卵、そしてその場にある調味料、これを使って食べるのがこだわりだな!!!」
「あたしは、やっぱ醤油で食べるのがこだわりかな。一周してやっぱ醤油に戻ってきたよ」



予想通り。もしくは予想以上の盛り上がりになった。
みんなの卵かけご飯のこだわりから始まり、卵かけご飯にまつわる思い出や、一番好きな卵かけご飯の作り方まで、幅広い話をすることができた。
大体30分が、一瞬のように感じた。
やっぱり雑談はいいなぁ。
そう思っていると、アナウンスがなった。









”34分34秒39が経過しました。お話の途中かと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。


卵かけご飯っておいしいですよね。
醤油をかけたり、めんつゆをかけたり、塩を振るなんていうのもいいですよね。
単純な料理だから、カスタム性があっていいですよね。
だけど、卵かけご飯においてもう一つ重要なことは、手軽さですよね。
ご飯と卵があれば簡単に作れちゃうという手軽さが、卵かけご飯の魅力ですよね。
すごくこだわって時間をかけて作る卵かけご飯もいいですが、パパッと作ってささっと書き込む卵かけご飯には別の魅力がありますよね。
あぁ、どっちの卵かけご飯も食べたくなってきた。
めっちゃ豪華な卵かけご飯を作っている間に、ささっと卵かけご飯でも食べようかな。
それもいいかもしれませんね。




今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”

アナウンスが止んだ。

教室に戻ってきた。
今日の雑談は最高だったな。
毎日これぐらい盛り上がってこれくらい中身のある雑談だったらいいのにな。
そう思いながら、次の授業の準備を始めた。








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