毎日記念日小説

百々 五十六

文字の大きさ
上 下
104 / 147

10月11日 ウィンクの日 ウィンクって完璧にできないよね!

しおりを挟む
今日も右肩上がりに良い雑談になるのかな?
最高の『雑談部屋』になるのかな?
どうなんだろう?
今日こそは、地獄みたいな空気の雑談にドンと落とされるんじゃないかという恐怖もある。
どうしよう、25分黙りこくる雑談だったら。
この後の生活に影響でそう。
なんとか、良い雑談でありますように。
最高の雑談とまではいかなくても、十分楽しめる雑談でありますように。
話題がどうとかよりも、楽しさを優先で!!!
俺は不安のぬぐい切れぬ中、祈りながら『雑談部屋』に入っていった。








今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。


”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”

やっぱりアナウンスが止んだ。
やはり、雑談部屋で一番無駄な時間なう。
AIはここを修正しないのだろうか?
やっぱ、修正しないかぁ。
修正してくれないかなぁ。
毎回同じこと思ってるなぁ。
ある意味、これがルーティーンみたいなところあるしなぁ。
そう考えると、意味があるのかなぁ?
意味、あったのかな…
このルーティーンやめようかな?
どうしよう。
でも、これをやめて、調子崩したら辛いから、続けるかぁ。
再びアナウンスが鳴った。


”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『公園のベンチ』です。
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『佐藤様』『村山様』『関様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『ウィンク』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”

アナウンスがやんで、光に包まれた。
ウィンクか。
ウィンクかぁ…
まず、比較的イージーなことが多い、食べ物系の話題ではないな。
だからといって、難しいものが多い、概念系の話題でもない。
動作1つ。
この話題は、果たして盛り上がれる話題なんだろうか?
どうなんだろう?
狩りに盛り上がりづらい話題だとしても、俺たちで盛り上げればいいのだ。
そういうマインドセットが重要なんだ。
よし!!
話題の批評なんてしている暇はないな!
テーマをちゃんと考えなきゃ。
もう、無難に”ウィンクできるか?”でいいと思う。
無難な奴が一番安定感があっていいと思うぞ!!
持って行くテーマも決まったところで、光が収まった。

話し出しは、関だった。
いつも通りのハイテンポな雑談が始まった。

「今日の話題は、『ウィンク』ですね、はい。皆さんは、ウィンクできますか?はい」
「これってできてるのかな?僕的にはできていると思うんだけど」
「厳密に言うとできているんだろうけど、見た目的には、急に明るいところに出た人みたいになってるぞ。眉間にしわが寄っていて、ウィンクの明るく柔らかい感じが台無しになってる気がするぞ!」
「そんなになの?僕的には、右目がぱっちり空いてるウィンクをしていると思ってるんだけど。ちゃんと前も見えてと思うし!」
「じゃあ、次、私のウィンクできてるかな?はい。こんな感じなんだけど、はい」
「出来てると思うぞ。若干、右目が閉じかけてるけど」
「85点ぐらいだと思います…」
「僕も出来てると思うよ」
「やったわ!はい。ウィンクには自信があったんですよ、はい」
「俺はできてるかな…こんな感じで…」
「100点のできです、はい。お手本みたいです、はい」
「僕も100点のウィンクだと思う。綺麗に目が開いてると思うし。佐藤君のウィンクを見て、関さんのウィンクが85点だっていうのが何となくわかったと思う」
「俺も、一番うまいと思うぞ!じゃあ、最後に俺のウィンクを見てくれ!」
「「「普通!」」」
「なんか、ぱっちり開いてるわけでもなく、かといって閉じてるわけでもない感じです、はい」
「僕も同じ感想を抱いたと思う」
「うまくもないし、下手でもないです…」



それから思いのほか雑談は盛り上がった。
昨日までとはいかないけど、十分盛り上がった部類だと思う。
雑談の運が、このまま綺麗に落ち着くといいな。
そんなことを考えているとアナウンスが鳴った。








”32分02秒15が経過しました。お話の途中かと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。



ウィンクって難しいですよね。
私がウィンクをすると、「目に砂でも入った?」とよく言われます。
いつか、マスターしたいです!!



今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”

アナウンスが止んだ。

教室に戻ってきた。
今日ぐらいでいいんだ。
今日の楽しさが、毎日続けばいいんだ。
100か0かよりも、常に85点を出せるようになりたい!!







しおりを挟む
お読みいただきありがとうございます。よろしければ、いいね、エール、お気に入り登録よろしくお願いします!!!!
感想 0

あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》

小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です ◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ ◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます! ◆クレジット表記は任意です ※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください 【ご利用にあたっての注意事項】  ⭕️OK ・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用 ※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可 ✖️禁止事項 ・二次配布 ・自作発言 ・大幅なセリフ改変 ・こちらの台本を使用したボイスデータの販売

処理中です...