毎日記念日小説

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9月26日 台風襲来の日 有益だった雑談

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昨日も頑張った。
今日も頑張ろう。
楽しく雑談するためなら、努力は惜しまない。
その覚悟はある。
けれど、楽ができるなら楽をしたい。
簡単に良い雑談ができるならそっちがいい。
簡単に雑談するための努力をする。
楽しさの次に手軽さ、簡単さは必要だと思う。
今日はどんな話題かな?
簡単な話題かな?
盛り上がる話題かな?
雑談が楽しい話題かな?
具体的には、食べ物の話題かな?
それとも、そこそこ身近で、何かを思ったことがあるようなものがお題かな?
いいお題こないかなぁ。
そう思いながらも、俺は『雑談部屋』に入っていった。








今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。


”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”

やっぱりアナウンスが止んだ。
やはり、雑談部屋で一番無駄な時間なう。
AIはここを修正しないのだろうか?
やっぱ、修正しないかぁ。
修正してくれないかなぁ。
毎回同じこと思ってるなぁ。
ある意味、これがルーティーンみたいなところあるしなぁ。
そう考えると、意味があるのかなぁ?
意味、あったのかな…
このルーティーンやめようかな?
どうしよう。
でも、これをやめて、調子崩したら辛いから、続けるかぁ。
再びアナウンスが鳴った。


”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『シャッターを閉めた屋内』です。
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『森様』『五十嵐様』『関様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『台風』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”

アナウンスがやんで、光に包まれた。
台風か。
台風かぁ…
どうなるんだろうな。
ここら辺は、どでかい台風の被害地みたいなのはここ数年はない。
何について話すのかな?
台風進路予想についてかな?
それとも、暴風の中リポートするアナウンサーについてかな?
それとも、台風で学校が休みになるとかそういうことかな?
何について話すのかなぁ。
好き嫌いから入るような話題でもないしなぁ。
導入が難しそうだなぁ。
どうするんだろうなぁ。
誰かがうまくやるのかな?
テーマは必要かな。
テーマ…テーマ……台風台風……テーマ…台風…台風……テーマ…
やっぱり、台風とかで学校が休みになった時、家で何をしてるのかとかでいいんじゃないかな?
持って行くテーマが決まったところで、光が収まった。
やっぱり、この光。考えがまとまるまで待ってくれてるよね?
やさしいなぁ。

話し出しは、森から。
ここ二日連続でそうだった、ハイテンポ雑談だ。
もしかして、流行ってるのかな?ハイテンポ雑談。

「今日の話題は『台風』ね、うん。台風って怖い?うん。台風の、うん、何が苦手とかある?」
「私は、風の音が苦手です、うん。あれさえなければ、いいんですけど」
「俺は、窓を雨が打ち付ける音が苦手かな。壊れるんじゃないかってぐらいの音が鳴るから」
「うちは、全然雨の音が苦手。雨というより滝みたいな音になると、水が埋まるんじゃないかと全然不安になる」
「案外、みんな台風に苦手要素があるんだね、うん」
「話変わるけど、台風で学校が休みの日、家で何してる?」
「私は、読書とかですかね、はい」
「うちは、全然友達と通話とかしてる。でもたいてい電波が全然悪いし、周りの音も最悪だし、声が聞き取れないことが多いかな」
「私は、期限の近い宿題を消化することが多いです、うん」
「俺は、ゲームをしちゃうことが多いから、五十嵐が言った、電波が悪いっていうのがめっちゃわかる」



それから、台風の時あるあるとか行きすぎると不謹慎になりそうだけど、そこまではいかないいい感じの塩梅で結構盛り上がった。
誰もが経験しているし、結構記憶に残ることが多いから、皆がちゃんと語れて楽しかった。
こういうのもいいかもな。
皆が共通して怖いものとか、嫌いなものの話。
気分を害したりする人さえいなければ、ある程度盛り上がれる気がする。
次衛の展望などを考えていたら、アナウンスが鳴った。




”31分10秒49が経過しました。お話の途中かと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。


台風って風が強いから、学校休みの判断が早いですよね。
あの、平日だけどゆっくりできる感じがいいですよね。
絶対に外に出れない感じもなぞにワクワクしますよね。
あのワクワクってほかじゃ感じないですよね。


今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”

アナウンスが止んだ。

教室に戻ってきた。
楽しかった。
次、台風が来たら実践してみたいことが何個か増えた。
珍しく、有益な雑談だった。
楽しかったなぁ。
いい雑談だった。
気分よく次の授業の準備にうつった。




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