毎日記念日小説

8月25日 主婦休みの日 アナウンスさん独り言

楽しいなぁ。
やっぱり雑談って楽しいな。
『雑談部屋』っていい施設だなぁ。
今日も楽しい雑談が待っている。
そう思うとワクワクしてきたなぁ。
今日も楽しく雑談できるかな？
いい話題に出会えるかな？
いい流れが生まれるかな？
いい盛り上がりができるかな？
出来るといいな。
うまくいくといいな。
楽しめるといいなぁ。
昨日は久しぶりで、戸惑ったところがあるけど、今日はもう万全の状態だから、昨日よりも楽しく、昨日よりも簡単に雑談ができるんじゃないかな？
楽観的になって浮足立ちながら、俺は『雑談部屋』に入っていった。





今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。


”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”

やっぱりアナウンスが止んだ。
やはり、雑談部屋で一番無駄な時間なう。
AIはここを修正しないのだろうか？
やっぱ、修正しないかぁ。
修正してくれないかなぁ。
毎回同じこと思ってるなぁ。
ある意味、これがルーティーンみたいなところあるしなぁ。
そう考えると、意味があるのかなぁ？
意味、あったのかな…
このルーティーンやめようかな？
どうしよう。
でも、これをやめて、調子崩したら辛いから、続けるかぁ。
再びアナウンスが鳴った。


”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『平日昼の自宅のリビング』です。
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『九条様』『東様』『村山様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『主婦』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”

アナウンスがやんで、光に包まれた。
主婦か。
主婦かぁ…
母親の話ってこと？
そんな面白い話出るかなぁ。
母あるあるみたいなのを言うってことなのかな？
それとも愚痴合戦になるのかな？
読めないなぁ。
俺としては、愚痴の方にならない方が良いかな。
そっちの方が気持ちよく雑談を追われそうだし。
どうなんだろう？
今回のメンバーは母親に不満があるようなメンバーなのかな？
分からないな。
まぁ、始まっちゃえばどっちの方向に行くのかなんてなんとなく分かりそうだな。
テーマ…どうしよう？
持って行かなくてもいいかな。
どっちの感じになるかもわからないし。
じゃあ、気楽に行きますか。
心が決まったところで、光が収まった。

最初に話し出したのは、元気いっぱい九条だった。
今日もハイスピード雑談になった。

「今日の話題は『主婦』だ！！！みんなって親って好き？仲いい？特に母！！！」
「俺は、割と親子仲いいぞ。母も嫌いではないかな」
「僕は、親子仲は悪くはないと思う。だけど、めっちゃ仲がいいわけではないと思う。母は、うっとおしく感じることは多いと思う。嫌いというほどじゃないと思うけど」
「私は、あまり親子仲はよくないかな。両親はどっちも仕事人間で、私にあまり関心がない感じがするかな。母も、仕事ばかりで関わる時間がほとんどないから、嫌う出来事もないけど好きになる出来事もないって感じかな」
「聞いてなんだけど、みんな、すらすらプライベートなこと言ってくんだね！！！うちは、みんな俺みたいな感じで、声が大きいから、家の中はめっちゃうるさいぞ！！！みんな元気いっぱいで仲はいいぞ！！！母ちゃんは、ご飯を作りすぎるし、ご飯を盛りすぎるところはあるけど、好きだぞ！！！」
「じゃあ、母がよくやる動作とかしぐさとか、口癖とかってあるか？」



それからそこそこ盛り上がった。
愚痴の方に行くんじゃないかと思ったけど、最終的にはなんやかんやあってあるあるの方に行った。
プライベートな話は、反応が難しいから、愚痴とかではなく、あるあるというポップな形になって、より盛り上がった気がした。
昨日よりは盛り上がりは抑えめだったけど、ガス欠を起こすことなくロングランで走りぬいた。
反省会というか振り返るを終えると、アナウンスが鳴った。


”２９分３２秒２４が経過しました。お話の途中かと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。


母親って、一人暮らしをしてみるとすごさが分かりますよね。
家計のやりくりから、家事までどんだけやってるんだよって感じな事が多いですよね。
親に感謝は忘れちゃだめですよ！！


今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”

アナウンスが止んだ。

教室に戻ってきた。
なんか、アナウンスさんの一言みたいなところは、こじつけるのを完全にあきらめたみたいだ。
すごく自由にやっている。
面白いからいいけど。
なんとなく、気持ちよく次の時間の準備を始めた。