毎日記念日小説

百々 五十六

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9月21日 ファッションショーの日 フワフワのままでは、ね?

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ワンテーマで話すのも楽しかったなぁ。
でもなぁ、最後の方の失速感はすごかったなぁ。
一つのテーマだけで行くと、後半は、なんとなく次のテーマに行きづらい雰囲気があったんだよなぁ。
だから、シンプルでノーマルな雑談が一番楽でいいんだよなぁ。
やっぱり個性的な雑談は、どこかに難があるから、シンプルに簡単で盛り上がるような話題の雑談がいいなぁ。
それがいいんだよなぁ。
たまになら、ワンテーマでもちょっと難しい話題でもいいけれど、やっぱり通常の毎日やるようなことは、簡単でシンプルな雑談がいいなぁ。
今日もいい話題が来ますように。
ちょっとしたお祈りをした後、俺は『雑談部屋』に入っていった。







今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。


”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”

やっぱりアナウンスが止んだ。
やはり、雑談部屋で一番無駄な時間なう。
AIはここを修正しないのだろうか?
やっぱ、修正しないかぁ。
修正してくれないかなぁ。
毎回同じこと思ってるなぁ。
ある意味、これがルーティーンみたいなところあるしなぁ。
そう考えると、意味があるのかなぁ?
意味、あったのかな…
このルーティーンやめようかな?
どうしよう。
でも、これをやめて、調子崩したら辛いから、続けるかぁ。
再びアナウンスが鳴った。


”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『ランウェイがきれいに見える席』です。
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『佐々木様』『五十嵐様』『関様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『ファッションショー』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”

アナウンスがやんで、光に包まれた。
ファッションショーか。
ファッションショーかぁ…
見たことは、ないな。
イメージはなんとなくある。
あとは、モデルウォークとかはテレビでやってたから知ってる。
それくらいの知識だけど大丈夫かな?
なんちゃらコレクションみたいなやつを見たことないけど、大丈夫かな?
不安だなぁ。
とりあえず持って行くテーマを考えるかぁ。
どうしようなぁ。
まぁ、知らない系統のことだし、もし一つも話が始まらなかったらぐらいのところに持って行く感じで考えようかな。
それなら、ファッションショーを見に行ったことがあるか、とかでいい気がするなぁ。
何も始まらないなら、こういう話題でいい気がする。
お願い、誰か雑談を始められるぐらいファッションショーについて話せますように。
天に願っていると、光が収まった。

五十嵐が話し出してくれた。
良かったぁ。

「今回の話題は、『ファッションショー』。うちは全然行ったことないけど、皆は行ったことある?」

おぉ。五十嵐が出したテーマが俺が持ってきたテーマと全く同じだった。
へぇ、五十嵐もファッションショーに行ったことないんだ。
なんとなく見に行ってそうな感じがしたけど。
そもそもファッションショーって見に行けるようなものなのかな?
それすらしならないなぁ。
一人考えていると、関が話に入っていった。

「私もファッションショーに行ったことないはです、はい。テレビとかで見るファッションショーに出てるモデルさんって、なんかかっこいいですよね、はい」

関に続くような形で、佐々木も会話に入っていった。

「俺もファッションショーとか行ったことないな。たまにニュース番組で報道されるやつを見たことがあるくらいだな」

俺も乗り遅れまいと会話に入っていく。

「俺も行ったことない。そもそもファッションショーって一般の人がいけるような場所なのか?それすら知らないんだが」




それからは、なんとなく盛り上がった。
なんとなくは盛り上がったがそこまで爆発的に盛り上がったってわけでもない。
頼みの綱だった女子二人は、あまりファッションショーについて知らないらしく、みんなふわふわしたまま雑談することになった。
「~なのかな?」「~な感じがする」「~な気がする」「~なイメージがある」こういう言葉だらけの雑談になった。
楽しかったけど、会話があまり続かなかったのはちょっとだけ心残り。
一人反省会をしていると、アナウンスが鳴った。




”28分13秒02が経過しました。お話の途中かと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。


ファッションとか芸術とかって難しいですよね。
何がよくて何が悪いのかを習った記憶がないですよね。
そこらへん、難しいですよね。


今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”

アナウンスが止んだ。

教室に戻ってきた。
最近、アナウンスさんの終わりのアナウンスで感想というか意見だけ言うことが多くない?
こじつけるのに疲れちゃったのかな?
まぁ、別にあそこにそこまで興味を持っていなかったから、いいんだけれど。
いつものが聞けないのは何かちょっとだけ物足りない感はあるなぁ。
そんなことを思いながら俺は次の授業の準備に取り掛かった。
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