毎日記念日小説

百々 五十六

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9月18日 カイワレ大根の日 知らなくても盛り上がれるんだ。

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今日は、配慮とかが必要ないような話題がいいなぁ。
もしくは、配慮の必要がないメンバーがいいなぁ。
それなら楽だなぁ。
それならいいんだけどなぁ。
配慮とか考えずに雑談したいなぁ。
気を使うと気疲れするんだよなぁ。
楽しくないわけじゃないんだけど、終わった後にすごい疲れを感じるんだよなぁ。
まぁ、雑談中が楽しければいいから、出来ればってぐらいの話なんだけどね。
配慮がいらなければ、終わった後まで気分よく行けるってだけだからね。
楽しい雑談がしたいなぁ。
話題がどうのこうのより、どれだけ盛り上がれるのかを考えた方が良いんじゃないかな?
何かに配慮するような思考になってきたところで、俺は『雑談部屋』に入っていった。





今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。


”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”

やっぱりアナウンスが止んだ。
やはり、雑談部屋で一番無駄な時間なう。
AIはここを修正しないのだろうか?
やっぱ、修正しないかぁ。
修正してくれないかなぁ。
毎回同じこと思ってるなぁ。
ある意味、これがルーティーンみたいなところあるしなぁ。
そう考えると、意味があるのかなぁ?
意味、あったのかな…
このルーティーンやめようかな?
どうしよう。
でも、これをやめて、調子崩したら辛いから、続けるかぁ。
再びアナウンスが鳴った。


”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『いい感じの町の定食屋』です。
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『関様』『九条様』『佐藤様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『カイワレ大根』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”

アナウンスがやんで、光に包まれた。
カイワレ大根か。
カイワレ大根かぁ…
食べたことないなぁ。
どんな料理に使われているのか分からないなぁ。
なんとなく節約系の人が育ててそうなイメージだけはあるなぁ。
皆は食べたことあるのかな?
それ、気になるなぁ。
じゃあ、食べたことがあるのか、ないならどんなイメージがあるのかを皆に聞いてみよう。
良かったぁ。スムーズにテーマが決まった。
今日は調子がいいのかもしれない。
気分が上がってきたところで、光が収まった。
そういえば、最近シチュエーションに心の中でコメントをしている暇がないくらい話し出しが早いんだよなぁ。
流行りなのかな?

今日も早い話しだし。
今日の一番槍は関だった。

「今日の話題は『カイワレ大根』です、はい。皆さんって、カイワレ大根を食べたことはありますか?はい」

俺が持ってきたテーマのまんまのことを関に言われた。
やっぱり被るよなぁ。
無難なところだしなぁ。
話し出しに使いやすいよなぁ。
まぁ、聞きたいことを聞けるんだから、被ったからといって後悔とかはない。
関の問いに最初に答えたのは佐藤だった。

「俺は、何回か食べたことがある…サラダに入ってたのを食べたことがありますよ…家では出ないけど、外食の時に数度食べたことがある…」

「俺は、食べたことはない!!!食べてみたい!!!アレルギーとかってわけでも、野菜嫌いってわけでもないから!!!」

佐藤が言った後に間髪入れずに九条が言った。
へぇ、カイワレ大根ってサラダに入っているんだ。
そういわれると食べたことがあるような、ないような。
まぁ、カイワレ大根を意識してないんだし、多分食べたことはないんだろう。
俺は、2人からワンテンポおいて話しだした。

「俺も食べたことはないかな。植わっているときの見た目はめちゃくちゃ見たことがあるんだけど、何の料理に使われているとかも知らないかな」

「食べたことがある方いるんですね、はい。私も食べたことがなかったので、一度食べてみたいとはうっすら思っているんですよ」

それから、なんとなく、佐藤からカイワレ大根の味を聞いたり、それを聞いて何の料理に合うのかをなんとなく出し合ったり、結構盛り上がった。
4人のうち3人がカイワレ大根を食べたことがないとは思えないくらい盛り上がった気がする。
自分を、自分たちをほめていると、アナウンスが鳴った。






”31分53秒26が経過しました。お話の途中かと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。


食べたことがないもの。恐れずに食べてみたいと、好奇心を見せているところ、素晴らしいですね。
何か新しいものを知る、体験することへの好奇心をもって、今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”

アナウンスが止んだ。

教室に戻ってきた。
結構楽しかったなぁ。
家に帰ったら、母さんにカイワレ大根を食べてみたいって言ってみようかな。
どんな味なのか気になってきたし。
雑談が盛り上がって楽しい気分で、次の授業の場所へと移動していった。





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