毎日記念日小説

百々 五十六

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9月1日 キウイの日 慰められた…

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今日はどうかな?どうかな?
楽しい雑談ライフが待っているのかな?
ルンルン気分。テンション高め。
今日は、いい目覚めで朝から心も体もテンション高め。
今日は、失敗する気がしないなぁ。
朝の目覚めが違うだけで、こんなにも楽しく生活できるんだなぁ。
今日も、楽しい雑談がしたいなぁ。
窮屈な雑談とか、知らないことについて無理に話すとか、そういうのじゃなくて、話が盛り上がるようなそんな話題ならいいのになぁ。
そんな話題だけならいいのになぁ。
ルンルン気分でのほほんと、俺は『雑談部屋』に入っていった。






今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。


”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”

やっぱりアナウンスが止んだ。
やはり、雑談部屋で一番無駄な時間なう。
AIはここを修正しないのだろうか?
やっぱ、修正しないかぁ。
修正してくれないかなぁ。
毎回同じこと思ってるなぁ。
ある意味、これがルーティーンみたいなところあるしなぁ。
そう考えると、意味があるのかなぁ?
意味、あったのかな…
再びアナウンスが鳴った。


”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『南国のキウイ畑』です。
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『関様』『村山様』『渡辺様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『キウイ』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”

アナウンスがやんで、光に包まれた。
キウイか。
キウイかぁ…
微妙だなぁ。
どっちか分からないなぁ。
これは盛り上がるのか?
盛り上がりそうな感じもするし、盛り上がらなさそうな感じもするし。
どうなんだろう、この話題。
話す人次第だなぁ。
誰でも盛り上がるって程イージーではないけど、何を話せばいいのか分からないくらいハードでもない。
うーん…
このくらいのレベル帯ならテーマを一つくらい保険で持ってった方が良いかもしれないなぁ。
テーマかぁ…
テーマ…テーマ……キウイ…テーマ……キウイ…キウイ…キウイ…
キウイってうまく剥かないと、口がかゆくなる。
これで行こう。
あるあるネタを一個携えるだけで、安心する自分がいる。
テーマも持てて安心したところで、光が収まった。

なんとなく太陽が高い気がするキウイ畑。
キウイの屋根の下にあるベンチで、4人座っていた。
最初に話し始めたのは渡辺。
このタイミングで話し出せるならこの話題、なんとかなりそうな気がしてきた。

「話題は『キウイ』じゃね。みんな、キウイ好きじゃね?俺は、めっちゃキウイ好き。あれめっちゃうまくね?あれ最強じゃね?」

やっぱり無難に好き嫌いから入るよなぁ。
ここまでは、いつも通り。
この質問が、何対何に分かれるのかによって、今後の広がり方が変わってくる。
今日はどんな展開になるのかな?
まだ誰もこたえなさそうだったから、割と早めに俺が答えた。

「俺は、キウイ好きだぞ。当たりの甘いやつも好きだし、外れのやつ引いて予想外の酸っぱさをくらのも面白いから好きだぞ」
「私は、キウイはちょっと苦手です、はい。私は田中君とは逆で、味が予想できないところが、ちょっと苦手です、はい。でも、嫌いって程でもないです、はい」

俺が言ったのに続いて、関も言った。
へぇ、関は、キウイ苦手なんだ。
あのランダムな感じが嫌な人もいるんだぁ。
なんか今日の運試しができて楽しいと思いながら食ってたから、意外。
最後に満を持して村山が口を開いた。

「僕は、キウイは好きだと思います。緑と黄色があるってのも面白いと思いますし、ふさふさの中にあんなに甘いものがあるってことも面白いと思うので、好きでだと思います」




それから話はあるあるの方に進んでいった。
俺が持って行った、キウイは上手く皮をはがさないと口がかゆくなるは、ややウケだった。
もうちょっとウケてもよかったんじゃないだろうか?
そこだけ少し悔いが残っている。
それ以外は話も盛り上がったし、大変楽しい雑談だった。
もしかしたらこの話題は微妙な盛り上がりになるかもしれないと思っていたけど、その不安を吹き飛ばすくらいには楽しかった。
いやぁ、今日の雑談も楽しかったなぁ。
今日の雑談のセルフ振り返りが終わったタイミングでアナウンスが鳴った。




”30分16秒43が経過しました。お話の途中かと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。



私はすごくいいあるあるだと思いましたよ『キウイは、、上手く皮をはがさないと口がかゆくなる』。
だから元気を出してください。
自信を持ってください。
今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”

アナウンスが止んだ。

教室に戻ってきた。
アナウンスさんに慰められてしまった。
こんなに直球に語り掛けられたのは初めてかもしれない。
いつもは全体の総括みたいなことを言っているのに、今日はひたすら慰められた。
なんか、ちょっとだけ悲しくなった。
慰めてくれたアナウンスさんも頑張れって言っていたし、まぁ、今日も頑張りますかぁ…

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