毎日記念日小説

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8月26日 風呂の日 おのれ桂めww

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昨日は眠気でどうかしてたなぁ。
でも、なんであんなに眠かったんだろう?
朝、遅刻しそうになってダッシュで学校に来た疲れとかが、出てたのかなぁ?
理由なんて考えてても仕方がないか。
みんなに迷惑掛かってなかったかな?
理由について考えなくしたら、急に不安の方が襲ってきた。
自責で眠くなってて、他人に迷惑をかけてたらそれはもうDQNというやつなんじゃないだろうか?
ちょっとだけ怖くなってきた。
大丈夫だよなぁ。
迷惑かけてないよなぁ。
自分をDQNと思いながら生活するなんて嫌なんだけど。
まぁ、過ぎたことにとやかく言っても仕方がないし、切り替えていきますか。
完璧に切り替えができたかというとそうとは言い切れないくらいのメンタルで、俺は『雑談部屋』に入っていった。


今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。


”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”

やっぱりアナウンスが止んだ。
やはり、雑談部屋で一番無駄な時間なう。
AIはここを修正しないのだろうか?
やっぱ、修正しないかぁ。
修正してくれないかなぁ。
毎回同じこと思ってるなぁ。
ある意味、これがルーティーンみたいなところあるしなぁ。
そう考えると、意味があるのかなぁ?
再びアナウンスが鳴った。


”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『スーパー銭湯の湯上りに読む漫画コーナー』です。
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『東様』『桂様』『九条様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『風呂』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”

アナウンスがやんで、光に包まれた。
風呂か。
風呂かぁ…
あんまり好きじゃないんだよなぁ。
出来れば、シャワーで済ませたい派なんだよなぁ。
風呂に入ると水に押されているような感覚があるから、あまり好きじゃないんだよなぁ。
ていうか、そもそも身体が水でぬれることがあまり好きじゃないんだよなぁ。
これも、話の一つにできそうだな!
よし、もし好き嫌いの話になったらこれを言うことだけは覚えておこう。
覚えることも出来ちゃったし、テーマとかはもういいかな。
どうせ誰かが持ってきてくれるでしょ。
誰も持ってきてなかったら、その場で誰かが即興で何とかしてくれるでしょ。
無責任に皆に期待したタイミングで、光が収まった。


あ、スーパー銭湯の本コーナーだぁ。
なぜだか分からないけど、どっかのブックカフェとか書斎とか図書館とかには全く見えない。
ザ・スーパー銭湯の本コーナー。
自分から出る湯気の湿度が本に悪いんじゃないかって思うあの場所だ。
その場所でリラックスする姿勢で4人で座っていた。
元気コンビの男の方である九条からまず元気よく話し始めた。

「再現度すごいな!!!もしかして、俺の体から湯気が出てるんじゃないか、ここにある漫画読めるんじゃないかってくらいリアルにできてるんだな!!!雑談とかより、ゆっくりしたいなと少し思ってしまったほどだ!!!」
「分かるけど、雑談しないとだめでしょ!!!話題は『風呂』でしょ!!!ありきたりな質問だけど、皆って風呂好きかを聞きたいでしょ!!!」

九条にあわせて、桂も話始めたから、うるさくて、湯上りみたいなほんわかした雰囲気がぶっ飛んでいった気がする。
それにしてもうるさいなぁ。
二人合わせたら二倍うるさいのかと思ってたけど、それ以上にうるさいなぁ。
混ぜるな危険な二人だったんじゃない?
そんなことより、唯一想定していた質問が飛んできた。
俺は忘れないように最初に話し出した。俺は、覚えた通りのことをそのまま反芻して口から出した。
「俺は風呂は、あんまり好きじゃないんだよなぁ。出来れば、シャワーで済ませたい派なんだ。正直にいうとシャワーすら浴びたくない派なんだけど、清潔にしないとかゆくなっちゃうから仕方なくシャワーを浴びてる。風呂に入ると水に押されているような感覚があるから、あまり好きじゃないんだよ。ていうか、そもそも身体が水でぬれることがあまり好きじゃないんだよなぁ。」

考えていたことをそのまま話したので、少し早口になってしまった。
まぁ、伝わっただろうから大丈夫でしょ。
それにしても我ながら変な理由だなぁ。
みんな好きって言って、「風呂嫌いな日本人とかいないでしょ」っていう計画だったのかな?桂が少しだけひきつったような顔をしている。
あ、すぐに表情がいつもの元気な感じに戻った。
もしかして、俺が想定外のことを言ったから、素が出ちゃったのかな?
桂って、ビジネス元気だったってこと?
それとも、驚くと叫ぶとか通り越して、ああいう表情になっちゃう癖でもあるのかな?








それから、桂のあの表情が気になって皆の話しが右から左に抜けていってしまった。
風呂上がりのほんわかしているときの会話みたいに、頭の中には何も残っていなかった。
恐るべし桂。
ここまで、考えさせられるとは。
まぁ、結局出た結論は、ビジネス元気か、天然元気かは、本人にしか分からないか、本人にすら分からないよなことなんだから、こっちが気にする必要はないよねってなった。
桂が元気を出すなら、元気キャラに対する感じの対応でいいんじゃないかという結論にもなった。
心の中のもやもやが何となく晴れた気がしたところでアナウンスが鳴った。









”29分16秒21が経過しました。お話の途中かと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。



別のことをしてても考えちゃうくらい集中して夢中になっちゃうものがあることは素晴らしいことですが、それをされた周りの人はたまったもんじゃないです。
人とかかわっているときに。集中しすぎないように、ぜひお気を付けください。
授業も、それくらい熱中してほしいものです。
授業に夢中になるくらい、今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”

アナウンスが止んだ。

教室に戻ってきた。
あぁ…
あぁ…
いつの間にか雑談が終わってしまっていた。
この時間を楽しみに一日を頑張っているのに。
おのれ桂め。
なんてことをしてくれたんだ。
俺は、八つ当たり気味な考えのなか、次の授業の準備を始めた。
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