毎日記念日小説

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8月23日 白虎隊自刃の日 分からないものは分からないし、覚えられない

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いやぁ、昨日は楽しかったなぁ。
それに一昨日のリフレッシュのテンションは次の休みまでは確実に持ちそうな気がする。
このテンションで今週やっていけるって、割と最高。
それにしても、昨日の雑談は良かったなぁ。
楽しすぎて少しガス欠気味で、ちょっと短かったけど、その分濃くて楽しい時間だったなぁ。
ずっと話してるタイプの雑談は、体力とテンションが必要だけど、達成感はどれよりも高いから、楽しいんだよなぁ。
楽しく昨日を振り返りながら、俺は、『雑談部屋』に入っていった。


今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。


”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”

やっぱりアナウンスが止んだ。
やはり、雑談部屋で一番無駄な時間なう。
AIはここを修正しないのだろうか?
やっぱ、修正しないかぁ。
修正してくれないかなぁ。
毎回同じこと思ってるなぁ。
ある意味、これがルーティーンみたいなところあるしなぁ。
そう考えると、意味があるのかなぁ?
再びアナウンスが鳴った。


”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『路面電車が通っている感じの道の歩道』です。
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『関様』『東様』『桂様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『白虎隊自刃の日』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”

アナウンスがやんで、光に包まれた。
白虎隊自刃の日か。
白虎隊自刃の日かぁ。
今日は確実に、ハードよりのハードだなぁ。
〇〇の日っていう話題は、もう、ハード確定演出なんだよなぁ。
それに、白虎隊も、自刃もあまり分からないから、これは大変なことになりそうだぞ。
おれは、会話の中で完全なお荷物になる可能性があるな。
桂が知らないのはバカっぽさと、元気な感じでどうとでもなるが、何も知らない俺は、見てられなくなるんじゃないだろうか。
やばい。
不安でいっぱい。
テーマとかまったく思いつきそうにないから、持ってくことも出来ない。
今日は、さすがに他のメンバーに頼りきりになってしまう。
申し訳ない。
けど、頑張ってほしい。俺の分まで。
聞き専みたいな形で、楽しく雑談できるかなぁ?
そこが一番不安だ。
なんとなく、雑談自体はほかの三人が話し出せば、なんとかなる気がしてきている。
不安と信頼が胸の中からあふれだしそうになっているところで、光が収まった。









なんとかなった。
なんとかなったぁ。
今日は完全に、話者側じゃなくて聞き手側に専念してた。
だけど、いつもと違う感じで雑談に参加したから、誰が何を言ったとかまったく覚えてない。
ただただ必死に、皆の話しに相槌を打ってた。
みんなが、俺の立場を容認してくれてよかったぁ。
実質三人で雑談をしなきゃいけないのに、四アイズチタン盗難てOKしたなぁ。
みんな懐が広いなぁ。
話しを聞くだけってこんなにも難しいんだぁって思うくらいには難しかった。
ふだん、ゲストの話を聞き続けているテレビタレント、テレビ司会者のすごさを身をもって知った気がした。
まぁ、でも、白虎隊自刃については、あまり覚えてない。
その時聞くことに必死で、覚える方に集中力を割けなかったから、右耳から入った知識が脳を通さずそのまま左耳から出てった感じがした。
歴史って難しい。
そんな歴史で盛り上がれる人達すごい。
今日、その人たちと、司会者への尊敬度が爆上がりした。
みんなすげぇ。
すげぇ…
すげぇなぁ…
尊敬が爆発しだしたところで、アナウンスが鳴った。










”28分21秒25が経過しました。お話の途中かと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。



出来ないことを潔くあきらめることも重要な力です。
ですが、それをしすぎると、自分のできることしかしなくて、チャレンジ精神の全くない人になってしまいます。
だから、確実に無理なこと、ここはチャレンジするべき場所じゃないところ、意外では頑張ってみましょう。
学校は、頑張ってみる方の場所です。
泥臭くてもあきらめず、頑張って!!
諦め悪く、今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”

アナウンスが止んだ。

教室に戻ってきた。
もどってきたぁ。
なんとか守り切ったみたいなイメージ。
生きて帰ってきたぁって叫びたくなる感じ。
まったく分からない話題から生還するってこんな気分だったんだぁ。
新しい知識が得られて楽しいものだと思ってた。
まさか、自分を崩さず、周りに迷惑を極力かけないようにすることに精いっぱいで、知識とか入れてる暇がないとは思わなかったなぁ。
どうやったら、あの状況で冷静に新しい知識を入れられるんだろう?
そういう大人になりたいなぁ。
なりたい大人像が、少しだけはっきりしてきた気がした。


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