毎日記念日小説

百々 五十六

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8月17日 パイナップルの日 久しぶりにちゃんと雑談

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いやぁ、やっぱ昨日の”(旧)女子大生の日”って話題はないよなぁ。
何回思い返してもあれはないなぁってなるんだよなぁ。
なんであぁ言う話題になっちゃうんだろうなぁ。
”梨”と”(旧)女子大生の日”とか日によって難易度の差がありすぎるよなぁ。
もっと平らにならしてほしいなぁ。
もっと難易度選択とか欲しいなぁ。
選べるならもちろんイージーモードを選ぶよな。
一日経っても、いまだに昨日の話題のチョイスに対して根に持ちながら『雑談部屋』に入っていった。


今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。


”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”

やっぱりアナウンスが止んだ。
やはり、雑談部屋で一番無駄な時間なう。
AIはここを修正しないのだろうか?
やっぱ、修正しないかぁ。
修正してくれないかなぁ。
毎回同じこと思ってるなぁ。
ある意味、これがルーティーンみたいなところあるしなぁ。
再びアナウンスが鳴った。


”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『スーパーのパイナップル前』です。
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『斎藤様』『関様』『矢野様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『パイナップル』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”

アナウンスがやんで、光に包まれた。
パイナップルか。
パイナップルかぁ…
良かったぁ。
今回は、だいぶイージ-寄りだ。
今日はさすがに盛り上がるだろ。
良かったぁ。
みんなで絞り出すように話さなくても何とかなりそうな話題。
安心感がすごい。
ここで、うんうん、うなりながら何かしらのテーマを絞りださなくてもいいという安心感。
今日は、テーマ持ってかなくていいかなぁ。
はぁ、今日は話題ガチャだいぶあたりだな。
よし、全力で楽しむぞ。
気合を入れたところで、光が収まった。
最近では割と早めに光が収まった気がする。
もしかして、ハード目の話題の時は光が眺めになるみたいな設定があるのかな?
光の考察をしていたら、マジ関が話し始めた。
「今日の話題は、パイナップルですね、はい。はい、皆さんパイナップルは食べれますか?」
関が無難にスタートを切ってくれた。
気づいたんだけどさ、話題を改めて確認してから何か話を振る人多いよね。
なんでなんだろう?
『雑談部屋』の設定の時に話題って教えてもらえるのに、雑談が始まる時ってつい話題を言いたくなるんだよね。
癖とかなのかな?
それとも人に備わった本能的な?
今まで違和感なかったのはなんでなんだろう?
みんなが自然にやりすぎてるからかなぁ?
まぁ、急に質問するのも変だし、話し始めとして、一番楽だからみんな話題の確認から入るのかなぁ。
俺がどうでもいい気付きを得ているうちに矢野が関の質問に返す形で会話に入っていった。
「パイナップルはいい感じで酸っぱいから好きだよ、僕はね。僕はね、レモンとかまで行っちゃうと酸っぱすぎて食べれないんだけど、オレンジとか、パイナップルくらいの酸っぱさがちょうどいいんだよ」
矢野の話に関が返してもう一度他の人に振るいつものスタイルになるのかと思ったら、関ではなく、斎藤が話し始めた。
「分かるよ。私も酸っぱすぎるのは苦手よ。でも、パイナップルぐらいの酸っぱさのは好きよ。パイナップルって、何故か食べ放題のフルーツコーナーとかで、オレンジとグレープフルーツと一緒にあって、あるとめっちゃ食べたくなるのよ」
あ、最後俺になっちった。
ここで、関に入られると俺が話し始めるタイミングを完全に失うので、どうにか頭を回転させて最後にはなっちゃったがなんとか会話に入っていった。
「わかるわー。食べ放題のフルーツって、どこでもだいたいその三種類だよな。俺はオレンジばっかりとっちゃうんだよなぁ。パイナップルは口直しというか、味変ぐらいの感じで少しとることが多いな。たまにサラダの皿でフルーツとってきちゃって、少しだけドレッシングの付いちゃったパイナップルとか食べてる時、すごい虚無の顔してる。あ、ちなみに俺はパイナップルは食べられるぞ。すごい好きって程でもないが」
話がセルフで脱線しかけたから、なんとか最後に元の流れに戻した。
ちゃんとエピソードのある話題ってこんなにも楽しいんだな。
二日間抑制された雑談魂が爆発して、5割増しくらい話してしまった。
やっぱ雑談って楽しいわ。
これからは、もっとイージーな話題がいっぱい出てきてくれないかなぁ。
久しぶりに楽しい雑談が始まりそうだと心を躍らせていると、関が次のテーマを投げてくれた。
「みんな、パイナップル食べれるんだ、はい。私は、はい、酢豚のやつ以外ならパイナップルは好きな方だよ。はい、皆は、酢豚のパイナップルはあり?それともなし?」
関の質問を聞いて斎藤が間髪入れずにというか若干食い込むくらいのタイミングでこたえた。
「私は、あれは食べれないわよ。おかずにフルーツが入ってるのは、許せないのよ。あれって必要なのかしら?私は、あれは必要ないと思っているのよ」
斎藤は、すごい熱意というか怨念がこもった声で言った。
相当酢豚のパイナップルが嫌いなんだろう。
そんなに嫌なのか。
熱意にちょっと引いてしまう。
俺が引いている間に矢野が答えた。
「僕はね、酢豚のパイナップルは、あっても別にいいけど、ある必要はないかな?ぐらいの認識だよ。斎藤さんみたいにすごい熱意があるわけでも情熱があるわけでもないけどね、僕はね」
やっぱり俺が最後になってしまった。
まぁ、このメンバーなら最後だからって、何でもないからいいや。
「俺は、酢豚のパイナップルは食べない派だぞ。でも、パイナップルだけ皿に残ってると好き嫌いで残したみたいに映っちゃうから、基本パイナップル入りの酢豚は注文しないんだよなぁ」
俺の発言に三人がうんうんとうなずいてくれた。
それから、関がうんうんとうなずきながら、みんなの発言をまとめるように言った。
「分かるよ、はい。こっちが悪いことしてるみたいになっちゃうから、あんまりパイナップル入りの酢豚を食べたくなくなるよね、はい。初見の店で、酢豚にパイナップルが入っているかどうかが分からないときとか、注文するのをためらうよね、はい」



いやぁ、楽しかったなぁ。
久しぶりにただただ楽しかったなぁ。
やっぱ、簡単な話題最高。
難しい話題は、議論とかするためのものであって、雑談するためのものじゃないんじゃないかな?
盛り上がったなぁ。
昨日とかは、なんとかつないで最後までなんとかしたみたいな意識だったけど、今日は、楽しくていつの間にか終わってたみたいな感じだったなぁ。
半分くらい酢豚のパイナップルの悪口になってしまったけど、まぁ、楽しかったなぁ。
明日も、こんな感じで楽しく雑談できるといいなぁ。
楽しかったなぁを前面に出しているとアナウンスが鳴った。









”32分42秒15が経過しました。お話の途中かと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。



何かの悪口を言うことは簡単ですが、悪く思っていることの良いところを見つけることはとても困難なことです。
悪く思えてしまうと、良いところも悪く見えてしまうことが多いです。
是々是々ではなく、非々非々でもなく、是々非々で物事を見ていけるようにしましょう。
その力を身に着けるために、今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”

アナウンスが止んだ。

教室に戻ってきた。
いやぁ、楽しかったなぁ。
考えながらとかそういうことをせずに楽しむだけの雑談はいいなぁ。
英気が養われた気がする。
今日は頑張れそうだぞ。
よし、このいい気分のまま、今日一日頑張っていきますか!!!


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