毎日記念日小説

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7月22日 著作権制度の日

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今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。
”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”
やっぱりアナウンスが止んだ。
やっぱり、雑談部屋で一番無駄な時間なう。
再びアナウンスが鳴った。
”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『事務所』
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『九条様』『五十嵐様』『矢野様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『著作権』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”

アナウンスが止み、光が包む。
最近、難しめの話題、多くない?
高校生になったから、そういう方向にシフトチェンジしたのかな?
難しい話題ってだいぶ話が広がったとしても、30分よりちょっと巻きで終わっちゃうから、何となく寂しい。
まぁ、難しめの話題でも30分近く雑談ができるって、俺たちがちゃんと成長してるってことなのかなぁ?
そんなことを考えていたらすでに光は収まっていた。
出た先は、法律事務所の客室みたいな雰囲気の部屋だった。
部屋は知性を感じさせる落ち着いた雰囲気。
なんとなく荘厳さが溢れている感じがする。
それにしても、今回の場所は、こっちの事務所だったんだ。
芸能事務所みたいなきらびやかな場所か、誰かが事務仕事をするための地味な場所に飛ばされるのかと思っていた。
参加メンバーもちょっとだけ緊張しているようだ。
表情と空気から伝わってくる。
緊張感のある空気の中、それをぶち破ったのはやっぱり九条だった。
「著作権って、曲とか小説とか絵とかの権利のやつだろ?!!!」
二日連続の九条のこの感じ。俺はだいぶ慣れたんだなぁ。
昨日なんていきなりでかい声出すもんだから体がちょっとだけビクッとしてしまったなぁ。
昨日今日で慣れた俺が九条の相手をする感じで会話に入っていった。
「あぁ、だいたいそんなもんだ。九条賢くなったな」
「そうでしょ!そうでしょ!!!俺だって日々成長してるんだよ!!!今回はなんかテレビで見たことがある気がするから知ってたんだ」
九条の異常な元気さに圧倒されていた矢野は、ちょうど今正気に戻ったのか会話に入るタイミングを探っている。
一呼吸分ぐらいテンポが遅かったがいい感じのタイミングで、矢野も会話に参加していく。
「九条君もそういう教育系、知識系の番組を見るんだね。ちょっと意外だった」
真面目に言っているんだろうが、冷静に聞くとちょっと煽っているようなことを言う矢野君。多分彼は天然なんだろう。
そして同じく天然の九条はまったく煽られているという意識はないのだろう。そもそも、煽られているようなことを言われたって認識できてない気がするなぁ。
九条って、簡単に詐欺とかで騙されそうで怖いよなぁ。
「親が見てたのをふろ上がりに偶然見かけてね!!!!その時に偶々著作権の話をしてて、なんとなく覚えてたんだよ!!!!!!」
いつもはリーダーシップを取って皆を引っ張っていく五十嵐さんは、九条の元気にあっけにとられていたのか、ちょっとだけ遅れて、会話に参加してきた。それにしても男3対女子1でやりづらくないのかなぁ。
「話がちょっとだけ変わっちゃうけど、皆って何か著作物あるの?自作の絵とか小説とかって書いているの?」
俺は中学校時代の黒歴史を思い出し、ちょっとだけ顔が赤くなりながら言った。
「俺は中学校の時いわゆる中二病ってやつで、その時に書いたポエムを戒めとして部屋に封印状態で保存してるよ」
なんで俺はこんなことを言っちゃってるんだろうか。
ここまでプライベートなところまでいう必要もないのになぁ。
皆の顔色を窺うと、引いている人はいなく、そういう話聞いたことあるみたいな顔をしていた。
黒歴史ですら個性を出せないって悲しいなぁ。
俺が悲しみに暮れたタイミングで、五十嵐が話を動かし始めた。
「田中君はポエムを書いていたのね。それも立派な著作物ね。私はそういう経験がないんだけど、九条君はあるのかしら?」
前も思ったけど、話をうまく進められる人って何を考えながら話しているのだろう。
仮に教えてもらったとしても、俺にはいくら練習したところでできる気がしないけどな。
「俺は、そういうのよく分かんない!!何かを生み出すのとか苦手なんだよな!!!だからそういうことができる人は、尊敬する!!!!」
九条の素直な言葉を、五十嵐はどうまとめるのだろうか。
ちょっとだけ考える仕草をした後、五十嵐が再び話を進めるように話し出した。
「九条君は、出来ないからリスペクトをしてるのね。自分のできないことをする人をリスペクトするのってすごく大切なことだよね。私も創作活動とかできないからできる人は素直に尊敬するわ。最後に矢野君は何か著作物ってある?もしくは過去にあった?」
順番に聞くって大切だなぁ。
答える側もがつがつしなくて済むし、聞く側も一気に言われないから分かりやすいのだろう。
ちょっと存在感薄めだった矢野が話し始めた。
「僕は、短歌と川柳を少し読んでいますよ。専用のSNSとかがあってすごく楽しいですよ」
矢野は短歌かぁ。
それにしても、できる2対できない2でバランスがいいなぁ。でも、できる側もジャンルが結構違うけど。
五十嵐は、ちょっとだけ考えるような仕草をした後、総括をするのか軽く息を吸い話し始めた。
「矢野君は短歌や川柳を読んでいるんですね。あの音の数に合わせる作業って、すごく語彙力を使いそうですね。私にはとてもまねできません。それにしても専用のSNSがあるんですね。私はROM専になってしまうけど一回覗いてみようかな。今回皆に聞いて著作権て案外身近なんだなぁって思ったね」
遅れて、会話に参加した五十嵐さんが全部持って行った気がするけど、俺はなんとなく満足しているしまぁ、いっか。矢野も褒められてまんざらでもない顔してるし、九条も何も知らない顔で楽しそうにやっている。
それにしても、五十嵐さん、終わりの時のアナウンスみたいなことを言ってたなぁ。
そんなことを思っていたら終わりのアナウンスが鳴ってしまった。




”26分59秒29が経過しました。お話の途中かと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。



著作権とは、努力した人がバカを見ることがないためのものです。著作者が報われるための権利だと思います。勉強も努力した分だけ結果が出ますし報われます。決してバカを見ることはないので、今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”

アナウンスが止み教室に戻ってきた。
五十嵐さんに散々褒めてもらったし、今日の残り時間ぐらい頑張ってみるかぁ。
それから俺はいつも以上に気合を入れて授業に臨み、ペースを乱してしまい決意から3時間後には撃沈していた。


空回りって良くないね。


これからは、適度に努力していこうかな。

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