毎日記念日小説

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7月2日 一年の折り返しの日

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”これより雑談を始めます。雑談の所要時間は30分、役職等はございません。
それでは始めさせていただきます。

今日の雑談の話題は『真っ二つに分かれるもの』です。

楽しい雑談の時間をお過ごしください。”


アナウンスが終わった。
さぁ、今日も雑談を始めますか。

お!今日のロケーションは珍しい。教室だ。
教室って俺は初めてかも。
夕日がさしてる感じの教室だし、なんとなくエモいね。
放課後教室に残って、時間を忘れて夢中で雑談するみたいなシチュエーションでいいね。
そんなことを考えていたら、九条が話し始めた。
「え、この話題どうゆうこと?!!!『真っ二つに分かれるもの』って物理的なこと?!!!」
九条はちょっとだけあほなところがある。
まぁ、そこが九条のいいところでもあるんだけど。
九条の問いに答えるように、さっきまでスマホをいじっていた野口がスマホをしまいながら話した。
「今日は、一年の折り返しの日らしいですよ。逆にだから、『真っ二つに分かれるもの』って話題なんじゃないですか?逆に、物理的に真っ二つに分かれるものでも別にいだろうし、犬猫とか、よく2つを比較されるようなものの話しでもいいんじゃないかと思いますよ?」
「そうなんだ。さすが、のぐっち分かりやすいじゃん」
岡が感心したように言った。
今日は、珍しく全員男子の回だ。
普通男女混合になるらしいんだけど、よほど今の時間に女子が雑談部屋に入ってこなかったんだろう。
まぁ、体育の終わりの時間だし、女子は着替えとか時間かかるから男子だけになることもあるのかなぁ。
今日は男子だけだし、特に気を使う必要はないか。
「てか、九条。物理的に真っ二つに分かれるものってなんだよ」
おれが、ツッコみとも質問ともとれるくらいの声量で九条に聞く。
「ふぇ?!!!えっと~、真っ二つに分かれるもの…割りばしとか?パ〇コとか?!!!」
九条は、素っ頓狂な声を上げた後、自信なさげに言った。
「それじゃ逆に話題がすぐにつきそうですね」
「割りばしって、何について話すの?」
野口と岡が続けざまに言った。
九条は、二つのことを同じタイミングで言われて、あたふたしてる。
「割りばしだから…えっと…うまく割れないこととか?!!!」
「それじゃあ、真っ二つに分かれるものになってねぇじゃん」
俺は、思わず九条に突っ込んでしまった。
皆テンポがいいな。
九条とか野口とか岡とか、普段はあまり話さないけれど、スムーズに話が進んでる。
なんとなく同姓だけの方がやりやすいって共通認識があるのかなぁ。
「じゃあ、犬猫の話でもする?」
岡がスッと話題を出してくれた。
さすが陽キャのテクニック。
「じゃあまず、九条はどっち派なんだ?」
「俺はね、猫派かな!!!猫って気まぐれで可愛いから!!!」
「なんとも九条らしい理由だな。えっと、野口はどっち派なんだ?」
「俺は、犬派です。忠犬とか、補助犬とか、何かの役に立っている動物ってカッコ良くないですか?逆になんか凛々しいというか、プロフェッショナルっていうか。だから俺は犬派です。」
「あぁ、確かに分からんでもないな。あー、岡はどっち派なんだ?」
「俺はね、犬派だよ。チワワとかトイプードルとか可愛いじゃん。猫も嫌いじゃないけど、うちは家で犬を飼ってるから、犬の方が愛着湧いているし可愛く感じるじゃん」
「へぇ、岡の家には犬がいるのか。ペット飼うのうらやましいな」
いつの間にか俺が回していた。
まぁ、会話がスムーズに進んだからいいんだけどね。
それにしても三人とも、なんかイメージ通りの答えだったな。
何やらかすかわからん九条が猫派なのも納得だし、きっちりしてる野口が犬派なのも納得だ。それに、おっとりしてる岡が犬派なのも何となくわかる。
岡に関しては、猫派って言われても納得する自信があるけど。
「たなかっちは、どっち派なの?」
岡が俺に聞いてくれた。
こういうところで気遣いができるから、岡は陽キャなんだろうなぁ。
「俺はな、猫派だ。犬もかわいいけど、猫にはなんとも言葉にしがたい魅力というか、魅了される感じがあるんだよ」
「たなかっちが熱く語ってるのって珍しいじゃんね」
岡がちょっとだけ驚いて、目をいつもの二割り増しくらい開けている。リアクションもいいし。
それでも普通の人の半分も空いてないけれど。
「それにしてもきれいに二つに分かれたじゃん。これこそ、この『真っ二つに分かれるもの』ってお題にあってるじゃん」
「確かにね」
岡が言って、他の2人もうなずいてくれた。
「ちなみにパ〇コは何味派?俺はチョココーヒー」
「俺は、今だとキウイ!!!」
「俺は、バナナオレじゃん」
「逆に俺は、ホワイトサワー」
「まったく真っ二つに、分かれねぇな。パ〇コって蓋の小さいほうがやけにおいしいよな」
「分かる!!!」
九条が元気よくうなずいて、他二人は軽く首を縦に振っていた。
「意見が割れやすいので、楽しく雑談ができるやつって他にあるか?思想とかで対立を生む系はダメだぞ。宗教とか、左右とか」
俺はいちおう注意喚起をした。
中学校の時に、キノコ、タケノコとかの話の延長線上で、急にクラスで左右の対立が起きたときは地獄だったなぁ。
「さすがにクラスメイトと宗教なんて話さないでしょ!!!そんな繊細な話題」
九条が笑いながら言った。
あの恐ろしさを知らないから言えるんだよ。
「えーっと、犬猫は今やったから…逆にキノコタケノコ、海山、ポ〇モンのタイトル…んー、後は…逆にマ〇クとウィ〇ドーズ、とかですかね?」
野口は真剣に考えてくれたみたいだ。
「そういうのって、食べ物でやることが多いじゃん。今あげてった奴にはあんまりなかったけど。バーべキューと素麺とかどう?」
岡も気の抜けるような声で次の話題の案を上げてくれている。
次の話題を何にするか話し出そうとしたその時、アナウンスが鳴った。

”30分が経過しました。お話の途中かと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。


それでは良い学校生活を”


「じゃあ次は…」
そこまで行ったところで、実際の教室に戻ってきたことに気が付いた。
さっきまでより多いクラスメイト。
夕焼けではなくさんさんの太陽が外では輝いていた。
声を上げてしまったことが少しだけ恥ずかしくなった。




もうちょっと話したかったな。
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